動植物の機能の遺伝的背景を理解する

アグリゲノム論文

The draft genome of the grass carp (Ctenopharyngodon idellus) provides insights into its evolution and vegetarian adaptation.(ソウギョのドラフトゲノムとその草食適応への進化の手掛かり)

Wang Y, Lu Y, Zhang Y, Ning Z, Li Y, Zhao Q, Lu H, Huang R, Xia X, Feng Q, Liang X, Liu K, Zhang L, Lu T, Huang T, Fan D, Weng Q, Zhu C, Lu Y, Li W, Wen Z, Zhou C, Tian Q, Kang X, Shi M, Zhang W, Jang S, Du F, He S, Liao L, Li Y, Gui B, He H, Ning Z, Yang C, He L, Luo L, Yang R, Luo Q, Liu X, Li S, Huang W, Xiao L, Lin H, Han B, Zhu Z

Nat Genet 47
625-31

2015

抄録 イルミナによる要約

抄録

ソウギョ(Ctenopharyngodon idellus)は重要な養殖魚で、世界的には淡水魚の水産養殖のうちおよそ16%を占めている。また、草食の食性を持つ。今回、我々は雌性発生のメス成魚のゲノム0.9 Gb、および野生状態から得たオス成魚のゲノム1.07 Gbのドラフト配列を報告する。ゲノムアノテーションにより、メス個体のゲノムから27,263個のタンパク質をコードする遺伝子モデルを同定した。114個のscaffold(全体で573 Mb)を24個の連鎖群に落とし込んだ。ソウギョとゼブラフィッシュの分岐は、5400万年〜4900万年前に起こったと見積もられる。ゼブラフィッシュとの比較により、ソウギョでは染色体融合が起こっており、ソウギョのX染色体とY染色体の間で頻繁な交差が起こったことを見つけた。また、肝臓でのメバロン酸経路とステロイド合成の転写の活性化が、ソウギョでの肉食から草食への適応に関連していることを発見した。ソウギョゲノムが、ゲノムアプローチによる繁殖の品質向上に向けた第一歩を踏み出すための基盤となることを確信している。

イルミナによる要約

ソウギョは、世界的に淡水魚の水産養殖のうちおよそ16%を占めている重要な養殖魚である。この論文では、雌性発生のメス成魚のゲノム0.9 Gb、および野生状態から得たオス成魚のゲノム1.07 Gbのドラフト配列が報告されている。著者らは、イルミナのHiSeq 2000システムで高スループットシーケンスを行って、野生のソウギョから得られたソウギョDNAのシーケンスを行い、アセンブルされた二つのゲノムを解析してタンパク質コード遺伝子のアノテーションとソウギョの進化過程における他の種との比較を行った。系統発生解析では、肝臓でのメバロン酸経路とステロイド合成の転写の活性化が、ソウギョでの肉食から草食への適応に関連していることが明らかとなった。

Evolution of Darwin's finches and their beaks revealed by genome sequencing.(ゲノム塩基配列解読で明らかになったダーウィンフィンチ類とそのくちばしの進化)

Lamichhaney S, Berglund J, Almén MS, Maqbool K, Grabherr M, Martinez-Barrio A, Promerová M, Rubin CJ, Wang C, Zamani N, Grant BR, Grant PR, Webster MT, Andersson L

Nature 518
371-5

2015

抄録 イルミナによる要約

抄録

ガラパゴス諸島とその近海のココス島に生息するダーウィンフィンチ類は、進化の研究、中でも特に種分化を研究するための象徴的なモデルである。今回、ダーウィンフィンチ類の全ての種とそれらに近縁な2種の計120個体についての包括的ゲノム塩基配列解読の結果を報告する。系統発生解析から、形態に基づいた分類との重大な相違が明らかになった。放散を通じて種間遺伝子流動が発生していたことを示す広範な証拠が見いだされた。交雑によって系統が入り混じった種が生じていた。頭蓋顔面の発生に影響を及ぼす転写因子の遺伝子ALX1を含む240kbのハプロタイプが、ダーウィンフィンチ類の全種にわたって、くちばし形状の多様性と強く関連しており、また、環境の変化に応じてくちばしの形状が急速に進化したガラパゴスフィンチ(Geospiza fortis)の種内でも同様に強く相関していることが明らかになった。このALX1ハプロタイプは、ダーウィンフィンチ類の中でくちばし形状の多様化に寄与し、食物資源の利用範囲を広げる一因となった。

イルミナによる要約

ガラパゴス諸島とその近海のココス島に生息するダーウィンフィンチ類は、進化の研究、中でも特に種分化を研究するための象徴的なモデルである。この研究は、ダーウィンが提唱した表現型特性ではなく、イルミナのHiSeqシステムを用いて全ゲノムシーケンスを行いガラパゴスフィンチ類の系統発生を調べることを目的とした。常染色体ゲノムシーケンスに基づいて得られた系統は、複数の種においてダーウィンによる表現型に基づく系統とは異なっていた。著者らは、くちばし形状が明らかに異なる2つの近縁種のゲノムを15キロ塩基単位で比較し、くちばし形状に関連する遺伝子座を特定した。このアプローチでは、頭蓋顔面の発生に影響を及ぼす転写因子をコードする遺伝子ALX1を含む240キロ塩基のハプロタイプが明らかとなった。

Specialized insulin is used for chemical warfare by fish-hunting cone snails.(特殊なインスリンを化学兵器として用いて魚を捕獲するイモガイ)

Safavi-Hemami H, Gajewiak J, Karanth S, Robinson SD, Ueberheide B, Douglass AD, Schlegel A, Imperial JS, Watkins M, Bandyopadhyay PK, Yandell M, Li Q, Purcell AW, Norton RS, Ellgaard L, Olivera BM

Proc Natl
Acad Sci U S
A 112 1743-8

2015

抄録 イルミナによる要約

抄録

100種以上の有毒性イモガイ(イモガイ族)は、非常に優秀な魚の捕食者である。これまでに同定され機能解析が明らかとなった毒液成分のほとんどは、獲物、捕食者、または競合者の神経系にある受容体、イオンチャネル、および輸送体を特異的にターゲットとした神経毒である。本論文では、根本的に異なるメカニズムであるエネルギー代謝をターゲットとする毒液成分について報告する。魚を捕食する2種のイモガイ(アンボイナガイ(Conus geographus)およびシロアンボイナ(Conus tulipa))は、産生する毒液の主な成分として特殊なインスリンを進化させてきた。これらのインスリンは、軟体動物ホルモンよりも魚インスリンと近いという点、およびコノトキシンの翻訳後修飾の特性(ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸)が存在するという点で独特である。これらの毒性インスリンは、魚に注入すると、危険なレベルまで血糖が低下する状態である低血糖ショックを引き起こす。今回得られたエビデンスにより、一部のイモガイはインスリンをまき散らして網漁のように獲物を捕捉しており、武器としてインスリンを特に使用していることが示された。インスリンは、これらの毒液に含まれているニルヴァーナ・カバル(nirvana cabal)と呼ばれる毒素混合物に含まれると考えられている。イモガイはこの毒素混合物を水中に放出して小さな魚の群れを混乱させ、網の役割を果たす口のように見える器官を広げて、そこから簡単に魚を飲み込めるようにしている。魚の群れ全体で同時に低血糖ショックが発生していれば、捕食者であるイモガイによる捕獲が非常に容易になる。

イルミナによる要約

有毒性イモガイ(イモガイ族)は、非常に優秀な魚の捕食者である。イモガイは、魚の神経系をターゲットとして、毒液に含まれるコノトキシンを利用することが知られている。この研究では、著者らは毒液の主な成分として特別なインスリンを使い、魚のエネルギー代謝をターゲットとして魚を捕食する2種のイモガイについて報告している。毒性インスリンは、危険なレベルまで血糖が下がる状態である低血糖ショックを引き起こす。著者らは、質量分析法により毒液成分を同定し、イルミナのRNAシーケンスを使用して同定した成分の発現特性解析を行った。

The genome sequence of the orchid Phalaenopsis equestris.(ヒメコチョウランのゲノム塩基配列解読)

Cai J, Liu X, Vanneste K, Proost S, Tsai WC, Liu KW, Chen LJ, He Y, Xu Q, Bian C, Zheng Z, Sun F, Liu W, Hsiao YY, Pan ZJ, Hsu CC, Yang YP, Hsu YC, Chuang YC, Dievart A, Dufayard JF, Xu X, Wang JY, Wang J, Xiao XJ, Zhao XM, Du R, Zhang GQ, Wang M, Su YY, Xie GC, Liu GH, Li LQ, Huang LQ, Luo YB, Chen HH, Van de Peer Y, Liu ZJ

Nat Genet

2014

抄録 イルミナによる要約

抄録

ラン科は、その見事な花とさまざまな生殖適応と生態適応が見られることで有名であり、最も多様性に富んだ植物グループの一つである。今回、ラン交配の交配親として使用されることの多い熱帯着生ランであるヒメコチョウラン(Phalaenopsis equestris)のゲノム配列を報告する。ヒメコチョウランは、ベンケイソウ型酸代謝(CAM)を利用する植物として初めてゲノム配列が解明された。アセンブルしたゲノムには、タンパク質コード遺伝子と予測されるものが29,431個含まれていた。ヘテロ接合性が原因でアセンブルされない可能性のあるコンティグが自家不和合性経路に関与する可能性のある遺伝子では多くなっていることを確認した。大部分のラン分岐群の放散に先行してラン特有の古倍数性イベントが発生した証拠が確認され、得られた結果からは、ヒメコチョウランにおけるCAM型光合成の進化には遺伝子重複が貢献していた可能性が示唆された。最終的に、ランの花の高度に分化した形態に寄与した可能性のあるMADSボックスのC/Dクラス遺伝子、BクラスのAP3遺伝子、およびAGL6クラス遺伝子の遺伝子ファミリーの拡大と多様化が確認された。

イルミナによる要約

ラン科は、その見事な花とさまざまな生殖適応と生態適応が見られることで有名であり、最も多様性に富んだ植物グループの一つである。この研究では、ラン交配の交配親として使用されることの多い熱帯着生ランであるヒメコチョウラン(Phalaenopsis equestris)のゲノム配列が報告されている。著者らは、イルミナのHiSeq 2000を使用して、インサートサイズが160bpから20kbpの範囲のライブラリーを高スループットでシーケンスした。遺伝子含量を調べるためにゲノムアノテーションを行い、ベンケイソウ型酸代謝(CAM)遺伝子の進化を解明するために系統発生解析で評価した。

Caste-specific RNA editomes in the leaf-cutting ant Acromyrmex echinatior.(ハキリアリ(Acromyrmex echinatior)における階級特異的RNAエディトーム)

Li Q, Wang Z, Lian J, Schiøtt M, Jin L, Zhang P, Zhang Y, Nygaard S, Peng Z, Zhou Y, Deng Y, Zhang W, Boomsma JJ, Zhang G

Nat Commun
5 4943

2014

抄録 イルミナによる要約

抄録

真社会性昆虫は、一つのゲノムから異なる形態表現型、生殖表現型、および行動表現型を持つ成体を発生させる能力を進化させた。最近の研究では、RNAの編集により遺伝子産物の多様性が転写後レベルで高められ、特に神経系における機能的変化が誘発されている可能性があることが示唆されている。ハキリアリ(Acromyrmex echinatior)の頭部サンプルを用いて、真社会性階級全体でRNAエディトームを比較し、女王アリ、大型ワーカー、および小型ワーカーにおける約11,000のRNA編集部位を同定した。同定された編集サイトは、神経伝達、概日リズム、温度応答、RNAスプライシング、およびカルボン酸生合成の機能が高い800の遺伝子に位置している。ハキリアリのほとんどの編集部位は種に特異的であるが、8~23%はアリ亜科間で保存されており、アリの真社会性の進化にとって重要であった可能性が高い。編集レベルは同じ部位であっても階級間で異なることから、RNA編集はアリの階級行動を形成する一般的なメカニズムである可能性が示唆される。

イルミナによる要約

真社会性昆虫は、一つのゲノムから異なる形態表現型、生殖表現型、および行動表現型を持つ成体を発生させる能力を進化させた。この研究では、著者らはハキリアリのメス階級の頭部組織サンプルでイルミナのHiSeq2000のストランド特異的なRNAシーケンスを使用し、ゲノム配列が分かっている他のアリから得られたデータを用いて階級間の機能遺伝子の分化調節においてRNA編集が持つと考えられる役割を評価した。同定された編集サイトが、神経伝達、概日リズム、温度応答、RNAスプライシング、およびカルボン酸生合成の機能が高い800の遺伝子に位置していることが見出された。編集部位の大部分は種特異的であることが確認され、RNA編集はアリにおいて階級行動を形成する一般的メカニズムである可能性が示唆された。また、RNA編集はアリの階級行動を形成する重要なメカニズムであるが、その重要性が十分に理解されていない可能性があることも確認された。

Genomic analyses provide insights into the history of tomato breeding.(ゲノム解析はトマト品種改良の歴史を知る手掛かりとなる)

Lin T, Zhu G, Zhang J, Xu X, Yu Q, Zheng Z, Zhang Z, Lun Y, Li S, Wang X, Huang Z, Li J, Zhang C, Wang T, Zhang Y, Wang A, Zhang Y, Lin K, Li C, Xiong G, Xue Y, Mazzucato A, Causse M, Fei Z, Giovannoni JJ, Chetelat RT, Zamir D, Städler T, Li J, Ye Z, Du Y, Huang S

Nat Genet 46
1220-6

2014

抄録 イルミナによる要約

抄録

作物の栽培化や品種改良の歴史はそのゲノムの中に記録されている。トマトは植物生物学や育種のモデル種であるが、そのゲノムを変える選択を人類がどのように行ってきたかは、ほとんど明らかになっていない。今回、トマトゲノム配列として登録された360の配列を用いて、トマトの進化を包括的に解析したので報告する。我々の解析では、栽培化と改良が二つの独立した一連の量的形質遺伝子座(QTL)に集中した結果、現代のトマトの果実は祖先に比べて約100倍大きくなっている証拠が得られた。さらに、現代の加工用トマトの主要なゲノムシグネチャーを発見し、ピンクの果実色を与える原因となる変異を同定し、自然発生の遺伝子移入に関連するリンケージドラッグを詳細に可視化した。この研究では歴史的な選択の成果だけでなくコストについても説明しており、さらなる改良に向けた分子的な手掛かりが得られる。

イルミナによる要約

作物の栽培化や品種改良の歴史はそのゲノムの中に記録されている。この研究では、Tomato Genetics Resource Centerで登録された360のゲノム配列に基づくトマト進化の包括的解析が報告されている。著者らは、イルミナのHiSeq 2000を用いてDNAシーケンスを行い、二つの独立した一連の量的形質遺伝子座(QTL)に焦点をあてて一塩基多型を解析した。そして現代の加工用トマトの主要なゲノムシグネチャーを発見し、ピンクの果実色を与える原因となる変異を同定し、自然発生の遺伝子移入に関連するリンケージドラッグを詳細に可視化した。

抄録 イルミナによる要約

抄録

雲南松と思茅松につくガの幼虫であるDendrolimus houi LajonquièreおよびDendrolimus kikuchii Matsumura(鱗翅類:カレハガ科)は、近縁種であり、中国南西部の針葉樹林に同所的に存在する害虫である。この2種の昆虫の嗅覚通信システムは、経済的に重要であるため大きく注目されてきた。しかしながら、これらの昆虫における臭気検出の分子的側面についてはほとんど分かっていない。また、鱗翅目種は昆虫における嗅覚の研究で広く使用されてきているが、嗅覚認識メカニズムに関して姉妹種間で比較した研究はほとんどない。この研究では、これら二種の蛾の触角トランスクリプトームの次世代シーケンスが実施され、主な嗅覚遺伝子が同定された。これらのガにおける触角トランスクリプトームの比較から、非常に類似性の高い転写産物関連GOタームを持つことが確認された。両種で化学受容体遺伝子ファミリーをさらに解析した。その結果、D. houiで23種類の推定匂い結合タンパク質(OBP)、17種類の化学感覚タンパク質(CSP)、2種類の感覚ニューロン膜タンパク質(SNMP)、33種類の嗅覚受容体(OR)、および10種類のイオンチャネル型受容体(IR)が同定され、D. kikuchiiでは27種類の推定OBP、17種類のCSP、2種類のSNMP、33種類のOR、および9種類のIRが同定された。これらの転写産物はすべて完全長またはほぼ完全長であった。予測されたタンパク質配列を、以下に挙げる鱗翅類の別の種やモデル昆虫のオルソログと比較した:カイコ(Bombyx mori)、タバコススメガ(Manduca sexta)、オオタバコガ(Heliothis virescens)、オオカバマダラ(Danaus plexippus)、イネヨトウ(Sesamia inferens)、コドリンガ(Cydia pomonella)、およびキロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)。D. houiおよびD. kikuchiiのオルソロガス遺伝子には非常に高い配列相同性がある。さらに、嗅覚遺伝子を発現レベルで分類し、発現レベルの高い遺伝子を対象としてさらに機能解析を行った。興味深いことに、発現レベルの高い遺伝子の多くがD. houiとD. kikuchiiのオルソログ遺伝子である。また、古典的なOBPはモチーフごとにさらに三つのグループに分けられることも見出した。このことは今後の機能研究の役立つであろう。驚くべきことに、これらDendrolimus属の2種ではフェロモン受容体は確認されなかったが、これはDendrolimus属にはフェロモンを特定する特別なメカニズムが存在することを示している可能性がある。我々の研究により、フェロモンおよび宿主からの揮発性物質を認識する遺伝子のさらなる機能性研究が進み、害虫管理の新たなターゲット候補の獲得が可能となる。

イルミナによる要約

雲南松と思茅松につくガの幼虫であるDendrolimus houi LajonquièreおよびDendrolimus kikuchii Matsumura(鱗翅類:カレハガ科)は、近縁種であり、中国南西部の針葉樹林に同所的に存在する害虫である。この2種の昆虫の嗅覚通信システムは、経済的に重要であるため大きく注目されてきた。本論文では、著者らはイルミナのHiSeq2000のシーケンスを使用してこれら2種類の同じ森林に生息するガの触角トランスクリプトームの包括的解析を実施した。ガの嗅覚受容体の分子経路および機能の理解がさらに進んだことで、今後の害虫管理の新しい目標が得られるであろう。

抄録 イルミナによる要約

抄録

昆虫では嗅覚系のさまざまな要素が解明されているが、甲殻類においては分子レベルでの研究は実質的には行われていない。甲殻類の中には、外寄生生物に分類される種類もあり、これらは魚の水産養殖産業に影響を与える。したがって、これらの外寄生生物が宿主認識で使用するシグナル伝達経路を同定し理解することが急務である。この研究では、RNAシーケンスとqPCR解析を利用して、サケジラミ(Caligus rogercresseyi)の各発生段階におけるトランスクリプトームの発現パターンに加えて、サケジラミの嗅覚系に関与する新しい転写産物が発見された。イルミナのシーケンサーで生成したトランスクリプトームライブラリーから、イオンチャネル型受容体にアノテーションされたコンティグおよび嗅覚系に関与するその他の遺伝子を同定し、抽出した。イオンチャネル型グルタミン酸受容体25からは3923塩基の完全長mRNAが得られ、カイニン酸型グルタミン酸受容体2からは2737塩基の完全長mRNAが得られた。さらに、カイニン酸型グルタミン酸受容体2に似ていると特定された二つの転写産物が見つかった。サケジラミの各発生段階における転写発現のIn silico解析を実施し、RPKM値に基づいてクラスターを生成した。遺伝子転写データをイオンチャネル型受容体においてqPCRで検証したところ、コペポティド期に関連したグルタミン酸受容体25の発現が確認され、成体、特にオスの成体ではカイニン酸型グルタミン酸受容体2およびカイニン酸型グルタミン酸受容体2に似た転写産物が確認された。さらに、イオンチャネル型受容体の遺伝子転写解析では、サケの食餌へのマスキング物質や免疫賦活物質の添加に応じた過剰発現が確認された。この反応は、in vivo負荷後のサケジラミ感染の低減と相関していた。マスキング物質が添加された食餌では、最高25%のサケジラミ寄生の低下が確認された。本研究は、この外寄生生物の化学感覚系に関する理解を深めるのに貢献し、サケジラミ(C. rogercresseyi)の宿主発見プロセスの理解に役立つ新たな要素をもたらした。

イルミナによる要約

甲殻類の中には、外寄生生物に分類される種類もあり、これらは魚の水産養殖産業に影響を与える。情報物質の認識などのさまざまなメカニズムを利用して宿主を見つけることが知られている種類もある。この研究では、著者らはイルミナのMiSeqプラットフォームを使用してトランスクリプトーム解析を実施し、サケジラミ(Caligus rogercresseyi)の嗅覚系について調べた。イオンチャネル型受容体について、サケの食餌へのマスキング物質や免疫賦活物質の添加に応じた過剰発現が確認された。この反応は、in vivo負荷後のサケジラミ感染の低減と相関しており、マスキング物質が添加された食餌では最高25%のサケジラミ寄生の低下が確認された。

抄録 イルミナによる要約

抄録

RNAシーケンス(RNA-seq)ではトランスクリプトームを詳細に調べることができるが、一般的なシーケンス深度では包括度が低下する場合が多い。本研究では、トウモロコシ実生サンプルから、合計341Gbの配列となった30億近くのRNA-Seqリードを生成した。この深度では、トランスクリプトームのほぼ完全なスナップショットが確認され、発現レベルの低い転写因子を含めた転写産物の90%以上がアノテーションされた。de novoアセンブリとリファレンスを用いたアセンブリを組み合わせた新しいハイブリッド戦略では、88%が既知遺伝子の発現である126,708個の転写産物が完全長にアセンブルされたトランスクリプトームが得られた。我々は、これまでアノテーションされていない転写産物バリアント4,842個と多くの新しい特徴(トウモロコシの転写産物212個と遺伝子201個、トウモロコシ系列に特異的な遺伝子融合だけでなく実生において未報告の潜在的役割を持つ遺伝子10個)を追加して、現在のアノテーションを向上した。我々は、高品質のトランスクリプトームを生成することで、大規模トランスクリプトーム研究のためのディープシーケンスの能力を証明したが、これにより、研究リソースの充実が実現する。

イルミナによる要約

トウモロコシ(Zea Maiys)のゲノムは、ゲノムの同定とアノテーションに関連して多くの課題があるため、植物トランスクリプトーム研究にとって優れたモデルである。この研究の目的は、トウモロコシ実生mRNAサンプルのトランスクリプトームのシーケンスによるアセンブルとアノテーションの包括度におけるシーケンス深度の影響を調べることであった。サンプルは、イルミナのGenome AnalyzerとイルミナのHiSeqを併用してシーケンスされた。30億近くのRNA-Seqリードから合計126,708個のトランスクリプトームが検出された。これまでにアノテーションされていなかった4,842個の転写産物バリアントがトウモロコシゲノムへ追加されたことで現在のアノテーションが向上し、著者らにより低発現の転写産物の検出におけるディープシーケンスの有能性が証明された。

抄録

抄録

マメ科植物(Leguminosae)には約17,000の種類が含まれている。 インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、およびキマメ(Cajanus cajan)などの一部のマメ科植物は、世界中の約3億人の人々にとってタンパク質源となっている重要な食物である。 その他の大豆(Glycine max)やアルファルファ(Medicago sativa)などは、動物の飼料として主に使用される重要な作物である。また、マメ科植物は生物窒素にも大きく貢献しており、根粒菌と共生関係を構築して大気中の窒素を固定し、次の作物期で使われる窒素の最高30%を供給している。ゲノムシーケンスプロジェクト、ゲノムリシーケンス(DNA-seq)、およびトランスクリプトームシーケンス(RNA-seq)などの高スループットゲノム技術を植物研究分野で応用することで、ゲノム進化、ゲノム構造、および栽培化に関する主要な知見が得られた。

イルミナによる要約

シングルセルゲノム解析およびシングルセルトランスクリプトーム解析は、単一細胞について全ゲノムスケールで調べる強力なツールとして使われるようになった。この画期的な論文では、著者らが包括的なトランスクリプトームとゲノムの解析を実施するために同一のセルからDNAとmRNAの両方を抽出した方法について述べられている。シーケンスに準線形的増幅法とイルミナHiSeqを使用することで、著者らのアプローチの効率がゲノムDNAまたはmRNAのいずれかのシングルセルシーケンスを行う既存の方法とほぼ同じであることが示されている。さらに、転写産物数の細胞間のばらつきが大きな遺伝子はゲノムコピー数が少なく、ゲノムコピー数の少ない遺伝子はばらつきが大きいことが見出された。

抄録 イルミナによる要約

抄録

microRNA(miRNA)は、ターゲット遺伝子の3'-UTRに作用するため、転写後制御において重要な役割を担っている。マレック病抵抗性の表現型を持つ6.3系およびマレック病感受性の表現型を持つ7.2系の二つの近交系の白色レグホン系統を対象として、低分子RNAの高スループットシーケンサー(HTS)を使用し、これらの系統で壊死性腸炎(NE)の誘発後のmiRNAの発現に差があるかどうかを調べた。12個のmiRNAは、NE誘発後に最も下方制御されるmiRNAと最も上方制御されるmiRNAから選ばれ、リアルタイムPCRでその発現が確認された。選択されたmiRNAのうち、miR-215、miR-217、miR-194、miR-200a、miR-200b、miR-216a、miR-216b、およびmiR-429は7.2系から得られた腸管で大量に発現していたが、miR-1782およびmiR-499は下方制御されていた。脾臓では、6.3系ではmiR-34bおよびmiR-1684が最も上方制御されていた。特に、六つのターゲット遺伝子のうちCXCR5、BCL2、GJA1、TCF12、およびTAB3の五つは6.3系と7.2系の間で発現に差があり、マレック病感受性系統では抑制されていた。これらの遺伝子の発現レベルは、HTSと定量的リアルタイムPCRから得られたmiRNAの発現レベルと逆相関していた。これらの結果から、一部のmiRNAはNEに応答して特異的に変化し、二つの近交系統においてターゲット遺伝子の発現を調節していることが分かった。まとめると、NEが誘発された異なる疾患表現型を持つ近交系ニワトリ2系統から得られた腸管内miRNAのHTS解析により、miRNAにより制御される宿主免疫遺伝子が同定された。宿主におけるこれらのmiRNAの機能とターゲット遺伝子に関する今後の研究では、NEにおける宿主病原体相互作用を制御する分子メカニズムがさらに明らかになるであろう。

イルミナによる要約

壊死性腸炎(NE)は、ウェルシュ菌の感染が原因で発生する家禽の主な腸疾患である。この研究では、二つのニワトリ近交系におけるNE疾患の進行を、イルミナのHiSeq2000プラットフォームを使った低分子RNAシーケンスを行って調査した。著者らは、miRNA発現を2系統で比較し、一部のmiRNAはNEに対して特異的に変化しており、ターゲット遺伝子の発現を調節していることを確認した。まとめると、NEが誘発された異なる疾患表現型を持つ近交系ニワトリ2系統から得られた腸管内miRNAのHTS解析により、miRNAにより制御される宿主免疫遺伝子が同定された。

抄録 イルミナによる要約

抄録

鳥病原性大腸菌(APEC)は、鶏肉産業における多大な経済的損失の原因である。本論文では、病原菌負荷なし(NC)、軽度の負荷(MD)、および重度の負荷(SV)のニワトリグループ間で、脾臓におけるDNAメチロームを調査し、APECに対する宿主応答に関連したDNAメチル化の機能的変化を同定した。DNAメチル化は、遺伝子本体と反復配列で多くみられた。プロモーターとCGIは低メチル化されていた。統合解析では、DNAメチル化と遺伝子発現が逆に変化した遺伝子がNCとMDとの比較では22個、NCとSVの比較では87個、およびMDとSVの比較では9個確認された。これらの遺伝子にはIL8、IL2RB、およびIL1RAPL1が含まれていた。遺伝子ネットワーク解析では、炎症応答に加えて、生物体への損傷や異常、細胞シグナル伝達や分子輸送などの別のネットワークや経路がAPEC感染に対する宿主応答に関連している可能性があることが示唆された。さらに、細胞周期過程におけるメチル化の変化は、MDとSVの間の病変の表現型の違いに寄与している可能性がある。

イルミナによる要約

鶏大腸菌症(APEC)は、鶏肉産業の多大な経済的損失の原因であり、最も多く発生する感染症の一つである。この研究では、著者らはAPEC感染に対する脾臓のDNAメチロームについて調べた。著者らは、MeDip-seqプロトコールを使用してライブラリーを調製し、イルミナのHiSeq2000を使用してシーケンスを実施した。炎症応答に加えて、生物の損傷や異常、細胞シグナル伝達や分子輸送などの別のネットワークや経路がAPEC感染に対する宿主応答に関連している可能性があることが見出された。

抄録 イルミナによる要約

抄録

転位因子(TE)および反復配列は、イネ(Oryza sativa)ゲノムの35%以上を占めている。宿主は、DNAメチル化、ヒストンH3K9メチル化、およびヒストンH3K4脱メチル化などの異なるエピジェネティックなメカニズムにより、異なるTEの活性を制御している。TEは、宿主遺伝子の発現にも影響を与える。たとえば、散在する高コピー数のDNA型TEであるminiature inverted repeat TE(MITE)は、周辺の遺伝子の発現に影響を与える。植物では、24ヌクレオチド長(24-nt)の低分子干渉RNA(siRNA)は主に反復配列とTE由来である。しかしながら、24-nt siRNAと関連するTE(特にMITE)が遺伝子発現にどの程度影響するかは、まだ解明されていない。本論文では、イネのDicer-like 3ホモログであるOsDCL3aが24nt siRNAのプロセシングの主な原因であることを示す。RNA干渉によりOsDCL3aの発現を阻害することで、矮化、止葉の傾斜角度増大、および二次枝数の減少など、重要な農業的特性に影響を与える表現型が発現した。低分子RNAディープシーケンスを行って535,054個の24-nt siRNAクラスターを同定した。これらのクラスターのうち、約82%はOsDCL3a依存性であり、MITEが著しく増加していた。OsDCL3a機能の低下により、主にMITEから24-nt siRNAsが減り、周辺の遺伝子の発現が増大した。OsDCL3aは、ジベレリンとブラシノステロイドの恒常性に関与する遺伝子を直接ターゲットとするため、OsDCL3aの欠乏によりこれらの遺伝子が影響を受け、矮化と止葉の傾斜角度増大という表現型が発現した可能性がある。我々の研究により、MITE由来のOsDCL3a依存性24-nt siRNAsが遺伝子発現の微調整を行う幅広い機能を持つ制御因子として同定されたが、この結果は多数の反復配列やTEが存在するゲノムを持つ高等植物において保存されているエピジェネティックなメカニズムを反映している可能性がある。

イルミナによる要約

転位因子(TE)および反復配列は、イネ(Oryza sativa)ゲノムの35%以上を占めている。24-nt siRNAと関連するTE、特にMITE、が遺伝子発現にどの程度影響するかは、まだ解明されていない。この論文では、イネのDicer-like 3ホモログであるOsDCL3aが24nt siRNAのプロセシングの主な原因であることが示されている。著者らはイルミナの装置を用いてディープシーケンスを行って535,054個の24-nt siRNAクラスターを同定し、そのうち約82%はOSDCL3a依存性であり、miniature inverted repeat TEの数が有意に多くなっていることを確認した。

抄録

抄録

果実の熟成は、葉緑体の有色体への分化と同時に発生する遺伝子にプログラムされている複雑なプロセスで、果実の官能特性の変化が伴う。本研究では、トランスクリプトームとプロテオームの統合解析を行って、自然晩生変異株(Fengwanオレンジ(Citrus sinensis L. Osbeck))およびその野生株(Fengjie 72-1)における果実の熟成にかかわる重要な制御因子と経路が同定された。転写レベルでは、RNAシーケンスアプローチにより、628個の遺伝子で変異株と野生株の間に2倍以上の発現レベルの差が確認された。タンパク質レベルでは、iTRAQ(isobaric tags for relative and absolute quantitation)解析により、130のタンパク質で相対存在量に1.5倍以上の差があることが確認された。トランスクリプトームとプロテオームのデータを比較することで、オレンジ果実の熟成中の代謝制御のいくつかの側面が明らかとなった。まず、多数の分化遺伝子が植物ホルモン経路および細胞壁関連代謝に属していることが確認された。次に、熟成関連転写産物と糖代謝物の間の相関を見出したが、このことからこれらの代謝経路が果実熟成において重要であることが示唆される。さらに、多くの遺伝子が転写レベルとタンパク質レベルとの間で一致していなかったことから、転写後イベントが発生していることが示唆された。これらの結果により、柑橘類の熟成中には熟成に関するイベントが複数発生していることが明らかとなり、柑橘類の熟成制御ネットワークの根底にある分子メカニズムの新たな洞察が得られた。

イルミナによる要約

シングルセルゲノム解析およびシングルセルトランスクリプトーム解析は、単一細胞について全ゲノムスケールで調べる強力なツールとして使われるようになった。この画期的な論文では、著者らが包括的なトランスクリプトームとゲノムの解析を実施するために同一のセルからDNAとmRNAの両方を抽出した方法について述べられている。シーケンスに準線形的増幅法とイルミナHiSeqを使用することで、著者らのアプローチの効率がゲノムDNAまたはmRNAのいずれかのシングルセルシーケンスを行う既存の方法とほぼ同じであることが示されている。さらに、転写産物数の細胞間のばらつきが大きな遺伝子はゲノムコピー数が少なく、ゲノムコピー数の少ない遺伝子はばらつきが大きいことが見出された。

DNA Res

2014

抄録 イルミナによる要約

抄録

アジアで栽培されているイネ(Oryza sativa)は、栽培化および適応において進化した複雑な遺伝子構造を持ち、生理学的および形態学的に非常に大きな多様性が見られる。本論文では、高度に分化した品種間の配列および構造の変化をさらに理解するために、高度な次世代シーケンス(NGS)技術を用いて行ったイネの早生種Kasalathの全ゲノムのディープシーケンスについて説明する。de novoアセンブリされたKasalath配列は、ゲノムの91.1%(330.55Mb)を占め、RNAシーケンスでアノテーションされた35,139の発現する遺伝子座が含まれていた。Kasalath種とNipponbare種の間では2,787,250個の一塩基多型(SNP)と7,393個の大きな挿入/欠失(indel)のある部位(>100bp)が検出され、Kasalath種と93-11種の間では2,216,251個のSNPと3,780個の大きなindelが検出された。これらの品種間で遺伝子含量を広範に比較した結果、遺伝子獲得と遺伝子喪失の速度はほぼ同じであることが分かった。Nipponbare種の参照ゲノム配列との比較で、Kasalathゲノム上で7.39Mb以上の挿入配列と40.75Mb以上のマッピングされていない配列が検出された。50個のイネ登録配列から得られた公表されているNGSショートリードのマッピングにより、Nipponbareの配列のみを使用する場合は発見できない配列多型を把握するためにKasalathの全ゲノム配列をもう一つの参照として使用する必要性と有用性が証明された。

イルミナによる要約

アジアで栽培されているイネ(Oryza sativa)には、生理学的および形態学的に非常に大きな多様性が見られる。この研究の著者らは、高度に分化した品種間の配列および構造の変化をさらに理解するために、イルミナのGAIIxとHiSeq全ゲノムシーケンサーを使ってイネの早生種の配列を調べた。50個のイネ登録配列から得られた公表されているNGSショートリードのマッピングにより、Nipponbareの配列のみを使用する場合は発見できない配列多型を把握するためにKasalathの全ゲノム配列をもう一つの参照として使用する必要性と有用性が証明された。

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