ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプル由来のRNAは、ホルマリン固定の過程で断片化されたり、化学的に修飾されたりするため、解析が困難とされてきました。
イルミナでは、RNAキャプチャーテクノロジーを活用することで、その課題を克服しました。
ここでは、RNAキャプチャー法を成功させるための実験のポイントや対象製品について解説します。
既存のTruSeq RNA Library Prep Kitとキャプチャーテクノロジーを活用したTruSeq RNA Access Library Prep Kitを比較したお客様事例をご覧ください。
A. RNA 品質の指標として使用されている RIN 値とライブラリー収量(濃縮前)では、相関が認められませんでした。
B. DV200 とライブラリー収量(濃縮前)とでは、高い相関が認められ(R2=0.91)、RNA 品質の指標としての有用性を示しています。
C. DV200 に基づき、推奨のRNAインプット量を設けています。
詳細は、FFPE サンプル由来の RNA 品質の評価 テクニカルノートをご覧ください。
A. TruSeq Stranded Total RNA Kitに比べ、TruSeq RNA Access Library Prep Kitでは、8分の1のリード数にも関わらず、エクソン領域で深いカバレッジが認められました。
B. TruSeq RNA Access Library Prep Kit により得られたデータのうち 85% 以上が転写産物(コード領 域および UTR 領域)にアライメントされました。
TruSight RNA Fusion Panel | TruSight RNA Pan-Cancer Panel | TruSeq RNA Access Library Prep Kit | TruSight Tumor 170 | |
特長 | 507の融合遺伝子をターゲットとしたパネルスタンドアロンタイプの解析ソリューションもご提供 | 507の融合遺伝子を含む1385のがん関連遺伝子にフォーカスしたパネル、MiSeqでも8サンプルのRNAシーケンスが可能 | ヒトコーディング領域(45Mb)をキャプチャーするため、 包括的な発現解析が可能 |
固形腫瘍関連170遺伝子を対象として、DNAとRNAからの変異を同時に検出 |
インプット量 | 高品質サンプル 10ng FFPEサンプル 20ng~ |
高品質サンプル 10ng FFPEサンプル 20ng~ |
高品質サンプル 10ng FFPEサンプル 20ng~ |
高品質サンプル DNAおよびRNA 40ng FFPEサンプル DNA ~120ng、RNA ~85ng |
推奨リード数 | 600万リード | 600万リード | 5000万リード | - |
MiniSeq 1ランあたりのサンプル数 | 8サンプル | 8サンプル | 1サンプル | - |
MiSeq 1ランあたりのサンプル数 | 8サンプル | 8サンプル | 1サンプル | - |
NextSeq 1ランあたりのサンプル数 | 24サンプル(中出力キット) | 24サンプル(中出力キット) | 4サンプル(中出力キット) 16サンプル(高出力キット) |
24サンプル(高出力キット) |
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本は、レトロスペクティブな遺伝子解析において非常に有用なサンプルです。
日本病理学会の『ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程』において定められているFFPE標本作製・保管方法に関する注意点、 さらにはイルミナが提供するFFPEサンプル解析ソリューションを解説したNGSミニハンドブックが完成しました。