第15回日本エピジェネティクス研究会年会(2022/6/9-10)は九州大学医学部百年講堂で開催され、イルミナは6月10日のランチョンセミナーを共催しました。
演者には、熊本大学大学院生命科学研究部分子脳科学講座・健康長寿代謝制御研究センターの岩本和也先生をお迎えしました。
本セミナーの冒頭に弊社マーケティングの増尾康朗より、いくつかの研究分野からメチル化研究の事例とイルミナのメチル化アレイソリューションラインナップを紹介しました。岩本先生には「精神疾患のエピゲノム解析の現状と展望について」というタイトルでご講演いただきました。以下に先生のご発表内容を紹介します。
躁うつ病や統合失調症をはじめとする精神疾患は生涯罹患率が高く、疫学研究からは一卵性双生児での発症一致率が約70%を示すなど、高い遺伝率を示すことが知られているものの、確実な原因遺伝子は同定されていない現状をご説明いただきました。これまでの研究で、レアバリアントや多くの遺伝因子が関与するポリジェニックな疾患である可能性を示唆する報告や、それだけでは説明しきれない部分にエピジェネティクな変化が関与する可能性を示唆する報告をご紹介いただきました。 また、統合失調症患者ではメチロームデータを集約し算出するエピジェネティックエイジ(生物学的年齢)が実年齢よりも加速している報告や、ポリジェニックリスクスコア(PRS)とメチレーションリスクスコア(MRS)の相関性を示す要因の共通性、抗精神薬がメチル化状態に働きかける傾向など、興味深い知見に関してもご説明いただきました。
本研究会年会は、オンサイトとライブ配信とのハイブリット形式で行われました。2年ぶりのオンサイト開催で、弊社セミナーには現地で約120名、オンラインから約70名と計200名近い方が参加されました。講演後の質疑応答では活発なディスカッションが行われ、大変有意義なセミナーになりました。