かずさDNA研究所は、植物ゲノムを収集し、誰でも利用できるようにするオンラインデータベース「Plant GARDEN」の取り組みをリードしています。磯部祥子博士によると、既存のデータベースの多くは研究者向けのものです。一方で、Plant GARDENは科学者や育種業界関係者、さらに教育者、そして植物や遺伝子の構成に単に興味のある一般の人々をも呼び込むことを目的にしています。
シロイヌナズナをモデルとして始まった植物ゲノミクスは、その対象を非モデル植物にまで広げ、いまや植物においても個体レベルでゲノム解析を行う個体ゲノミクスの時代を迎えつつあります。次世代シークエンス技術の向上により、個体のゲノムデータは容易に取得できるようになりましたが、データ解析はまだ誰もが簡単にできるとは言えない状況です。特に植物研究者には、膨大な量のデータを高速に処理できる計算機資源も必要となります。本講演では、かずさDNA研究所の白澤健太博士に、個体ゲノミクスの時代を乗りこなすための術として導入されたDRAGEN™を活用したデータ解析事例に加えて、植物の個体ゲノミクスから見えてきた今後の課題についてもご紹介いただきます。
Noel Cogan博士は、メルボルンのラトローブ大学のAgriBio, Centre for AgriBioscienceを拠点とするAgriculture Victoria社で、分子遺伝学のチームを率いています。チームは、小麦、大麦、キャノーラ、レンズ豆、エンドウなどの主要農作物の育種業者を含む、オーストラリアの農業のあらゆる分野の遺伝学的研究に取り組んでいます。Cogan博士は、ゲノム解析の継続的な進歩のおかげで、植物の育種業者は回復力に優れた生産性の高い農作物をさらに効率的に開発できると話します。
このウェビナーでは、ソウル国立大学植物科学部のByoung-Cheorl Kang教授が、唐辛子の新種開発を促進するうえで、主要形質の分子マーカーが果たす重要な役割について説明します。Capsicum属の3種を対象としたショートリードシーケンスによるゲノムシーケンスアセンブリが開発されており、遺伝学的研究や分子育種に利用できます。
Kang教授が、研究チームで複数の量的形質に関する量的形質遺伝子座(QTL)解析と全ゲノム関連解析(GWAS)を実施し、Dempseyゲノムの有用性を実証した手法について紹介します。高品質な染色体スケールのDempseyゲノムは、唐辛子の品種改良を目的とした遺伝子解析とゲノム育種に、強力で新しいゲノミクスリソースをもたらします。
アレイベースのSNPジェノタイピングプラットフォームは、シーケンスによるジェノタイピング(GBS)テクノロジーに比べ、ジェノタイプエラーと欠損データの割合が低くなっています。研究と育種の両方のアプリケーションに使用するハイスループットで低コストかつフレキシブルなジェノタイピングアッセイを作成する際のデザインの決定は、成功の鍵となります。今回は、Infinium wheat-barley 40K SNPアレイの開発で使用した新規デザイン手法について、導入の話とともに紹介します。
International Wheat Genome Sequencing Consortium主催のこのウェビナーでは、AgriBio Australia社のシニアリサーチサイエンティストのGabriel Keeble-Gagnere氏が、研究および育種の幅広いアプリケーションにおいて、このアレイがコスト効率に優れていることを説明します。
毎年実施しているGreater Good Initiative grantにおいて、2022年はInternational Institute of Tropical Agriculture (IITA)とDr. Ranjana Bhattacharjeeが受賞者となりました。彼らの研究は、西アフリカの低所得の食糧不足国の食糧不安に対処するために、この地域の食生活の主食であるヤムイモの品種改良に役立っています。