集団ゲノミクス

集団ゲノミクスとは?

集団ゲノミクスプログラムは、ラーニング・ヘルス・システムにおいて臨床情報とゲノムデータを大規模に組み合わせることで、ヘルスケアを変革し、発見を加速することを目指しています。1このようなプログラムでは、日常的な臨床ケアにおいて根底にある生物学的側面をより深く分析することで、現在の患者の差し迫ったニーズを満たすだけでなく、将来の患者を救うための手掛かりを得るのに利用できるデータベースを構築することができます。2-4

成功する集団ゲノミクスプログラムでは、医学界や研究団体が政府や業界と共に協力して戦略をまとめ上げ、転帰の改善、公衆衛生管理の効率化、およびトランスレーショナル研究を介した発見の加速が実現します。

また集団ゲノミクスは、特に製薬部門、バイオテクノロジー部門、およびデータ部門において、業界の関与と投資の基盤となります。多様な大規模データセットを統合し、高度コンピューティング技術(人工知能や機械学習など)を使用することで、医療制度と医療従事者は、生活とケアの質を高め、経済成長を促すとともに、ゲノムの力をさらに発揮させるのに最適な立場にあります。

拡大モーダル

イノベーションの原動力としての集団ゲノミクス

Genomics Englandが10万人ゲノムプロジェクトで示したように、 イノベーションは集団ゲノミクスプログラム全体の主要な目的の1つです。その主な目標は、 患者ケアの改善、研究基盤の提供、国民保健サービス(NHS)におけるヘルスケアの変革、 コストの管理とプレシジョンメディシンの実現により経済成長を促進する 全ゲノムシーケンス(WGS) の利点を実現することでした。

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10万人ゲノムプロジェクト

稀な、未診断の遺伝性疾患や腫瘍学におけるWGSの臨床的有用性を実証し、 NHSを変革させた革新的なパイロットプログラムです。

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10万人ゲノムプロジェクトの歴史

イルミナの副社長兼チーフサイエンティストであるDavid Bentley博士が、 10万人ゲノムプロジェクトの歴史と、 NHS、Genomics England、 イルミナの補完的かつ相乗的な関係について説明します。

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ゲノミクスが集団医療に与える影響

ゲノム医療の発展は、英国のNHSと世界の研究コミュニティの両方に大きな影響を及ぼしています。5-9

ゲノム検査ディレクトリの一元化

ゲノミクスを医療に取り入れ、より個別化された医療ソリューションを患者に提供する国家ゲノム基盤の構築

発見フォーラムの100社以上の企業

製薬、データ、バイオテクノロジー分野の産業成長を促進する、官民パートナーシップのための整合化、標準化されたインターフェース

世界3030人の研究者

データに積極的にアクセスし、データから発見を行うグローバルな研究コミュニティ

5年間で50万人のゲノム

世界的なリーダーとしての地位を保っている英国は、今後5年間で50万人のゲノム、場合によっては500万人のゲノムまで拡大することを公約に掲げています。

ゲノミクスが国家ビジョンに与えた影響

世代ゲノム

Dame Sally C. Davies教授によるNHSの年次報告では、ゲノミクスの 役割、10万人ゲノムプロジェクト、臨床ケア改善の可能性について説明しています。

ライフサイエンス産業戦略

この英国の戦略的ビジョンには、科学的支援、産業界の 成長、患者ケアの向上、デジタル化、ヘルスケアイノベーションの将来的な 需要に応えるために必要な助成が含まれています。

NHS長期計画

この将来を見据えた計画は、より多くの患者のシーケンスを行って、WGSを 一次臨床治療に取り入れる計画を含む、 より適切な患者ケアを促進するNHS全体での取り組みを説明しています。

Topol博士のレビュー

Eric Topol博士は、NHSの将来のトレンドを強調し、 デジタルの未来に向けた医療システムの準備に役立つ提言を行いました。

グローバル集団ゲノミクスプログラム

英国の10万人ゲノムプロジェクトに加え、世界各地で同様の集団ゲノミクスプログラムが展開されています。

図は以下から改作されました。Stark Z, Dolman L, Manolio TA, et al. Integrating genomics into healthcare: a global responsibility. Am J Hum Genet. 2019;104(1):13-20.

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NIHのAll of Us研究プログラムのビジョン

Scripps Research Translational Institute所長で 、Scripps Research分子医学の教授であるEric Topol医学博士は、 人間の疾患と病気についてより深く知ることを 目標として複数の縦断的データポイントを統合した、 この種のものとしては最大かつ最も多様なデータリソース構築の利点を強調しています。

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集団ゲノミクスのニュース

Genomics England、500万人のゲノムシーケンス

10万人ゲノムプロジェクトの成功を受けて、Genomics Englandは5年以内に500万人分のゲノムシーケンスを決定する目標を発表しました。

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オーストラリア、遺伝子研究に5億豪ドルを拠出すると発表

オーストラリア政府は、より優れた疾患の検査、診断、治療を目指す研究に10年間で5億豪ドルを投資する予定です。

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NIHのAll of Us研究プログラムの最新情報

この取り組みは2015年に始まり、2019年7月時点で175,000人超の参加者が採用され、その80%は、歴史的に研究にとりあげられることが少なかった人々から構成されています。

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集団ゲノミクスの可能性

「NHSは、世界最大の統合医療システムとして、生涯の医療情報と全ゲノムシーケンスデータを結びつけることができるのです。この組み合わせは、患者さんに利益をもたらすと同時に、疾患の理解を深め、早期発見・早期治療を可能にする製品開発での英国の競争優位性を示しています。」

「ゲノム医療は、治療の的を絞り、有効性を最大化して副作用を低減することによって、コストを削減して、医療の質を向上させる可能性を持っています。」

「将来の医療制度における最終目標は、より予知的で予防的な医療アプローチを採ることであり、これは、特定の疾患を発症しやすい個人の遺伝子構造を理解することによって可能になります。」

DRAGEN Bio-ITプラットフォーム
DRAGEN Bio-ITプラットフォームを用いた集団遺伝子データの処理

DRAGENプラットフォームは、コホート解析向け簡素化されたワークフローを備え、高精度な集団コールセットを柔軟かつ効率的に提供します。

このテクニカルノートは、大規模なPopGenプロジェクトに一般的な3つのユースケースで、DRAGENプラットフォームを用いたジョイントジェノタイピング性能を評価した過程と結果を概説したものです。

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集団ゲノミクスにおけるパートナー

イルミナとグローバルコミュニティの専門知識を結集して、ベスト プラクティスに関する助言を行い、利害関係者とパートナーを調整し、世界中の集団ゲノミクスの 取り組み全体の成功を支えています。

経験

イルミナは次世代シーケンサー(NGS)ソリューションを提供しています。当社は、ファクトリー規模、臨床グレードのシーケンスオペレーションとダウンストリームデータ アーキテクチャの設計と構築において 豊富な経験を有しています。当社はまた、グローバルな集団ゲノミクスプログラムの経験から、 プログラムのガバナンス、利害関係者の関与、経済性、 プログラムを成功させる技術以外の要因についての助言も行うことができます。当社のアドバイザリーサービスには、ラボのワークフロー設計、インフォマティクスの インフラとデータアーキテクチャ、医療経済、産業界の関与、プログラムガバナンス、 臨床研究戦略などが含まれます(ただし、これらに限定されません)。

グローバルコミュニティ

集団ゲノミクスプログラムは、規格とデータアクセシビリティをめぐる世界的な話題となっています。当社は、 グローバルイベントや地域イベント、Global Alliance for Genomics and Healthなどの国際コンソーシアムを通じて、 コラボレーションを促進し主要な学習に対処することにより、この対話を支援しています。

パートナーシップエコシステム

当社には、世界各地のプログラムにおいて数多くのパートナーと協働した経験があります。当社は、ゲノミクス・ラーニング ・ヘルス・システム向けの技術的能力や構成品を提供したり、大規模なシステム運用のための実装や認定のニーズを支援したりできる 一連の業界パートナーと御社を結びつけることができます。

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イルミナが支援いたします。

電子メール(populationgenomics@illumina.com)で イルミナの担当者にご連絡ください。

参考文献
  1. Stark Z, Schofield D, Alam K, et al. Prospective comparison of the cost-effectiveness of clinical whole-exome sequencing with that of usual care overwhelmingly supports early use and reimbursement. Genet Med. 2017;19(8):867-874.
  2. Jaitovich Groisman I、Hurlimann T、Shoham A, Godard B. Practices and views of neurologists regarding the use of whole-genome sequencing in clinical settings: a web-based survey. Eur J Hum Genet. 2017;25(7):801-808.
  3. Stavropoulos DJ, Merico D, Jobling R, et al. Whole genome sequencing expands diagnostic utility and improves clinical management in pediatric medicine. NPJ Genomic Medicine. 2016;pii:15012. doi: 10.1038/npjgenmed.2015.12.
  4. Willig LK, Petrikin JE, Smith LD, et al. Whole-genome sequencing for identification of Mendelian disorders in critically ill infants: a retrospective analysis of diagnostic and clinical findings. Lancet Respir Med. 2015;3(5): 377–387.
  5. Davies SC. Annual report of the Chief Medical Officer 2016: generation genome. July 4, 2017. 2019年5月30日にアクセス。
  6. Gallagher P. NHS genomic testing service 'will transform patients' lives'. iNews. 2018年9月19日。2019年9月16日に アクセス。
  7. Prime Minister's Office, 10 Downing Street. DNA tests to revolutionise fight against cancer and help 100,000 NHS patients. December 10, 2012. 2019年5月30日にアクセス。
  8. Couzin-Frankel J. U.K. unveils plan to sequence whole genomes of 100,000 patients. Science. 2012年 12月10日 2019年5月30日にアクセス。
  9. Rabesandratana T. U.K.'s 100,000 Genomes Project gets £300 million to finish the job by 2017. Science. 2014年8月 1日 2019年5月30日にアクセス。
  10. Russell P. How routine genomic medicine 'will change people's lives.' Medscape. 2018年7月11日 2019年6月 27日にアクセス。