心血管ゲノミクス

ゲノムシーケンスによる心血管疾患の理解

心臓遺伝子とバリアントの包括的なカバレッジの必要性

遺伝子バリアントの同定

心血管疾患の遺伝子バリアントを同定することの重要性

心血管ゲノミクス研究により、心血管関連疾患に関連する多くの遺伝子バリアントが同定されています。研究により、原因遺伝子のバリアントの多くは家族性バリアントであることが示されており、1したがって見られる頻度も低いことが示されています。2さらに、臨床検査で使用される小型パネルは、遺伝性心疾患に関与する原因遺伝子バリアントを見落とす可能性があります。

心血管ゲノミクスのための包括的な次世代シーケンサー(NGS)パネルは、疾患との関連が知られている心疾患関連遺伝子を幅広くカバーしています。時間と費用のかかる繰り返し検査につながり得る単一遺伝子アッセイや小型パネルとは異なり、NGSパネルは複数の心臓遺伝子を同時に評価します。

心血管疾患を理解するためにゲノミクスを使用するケースが増えている

心血管疾患の多くの原因はライフスタイルや習慣と関連している可能性がありますが、遺伝子のバリエーションが疾患にどのように寄与するかについては、まだわかっていないことも多くあります。心疾患についての理解を深めるために、いくつかの一般的な事実をご紹介します。

心血管疾患は世界最大の死因であり、毎年約1,790万人の命を奪っています3

心血管疾患を患う人の数は、1990年から2019年にかけて2億7,100万から5億2,300万へと2倍近くに増加しました4

冠動脈疾患の遺伝率は40%~60%と推定されています5

遺伝に関係があることが知られている特定の心血管疾患

米国心臓協会(AHA)は、不整脈、心筋症、血管疾患、脂質異常症(家族性高コレステロール血症など)を含む遺伝性心血管疾患に関する遺伝子検査の最新のベストプラクティスをまとめています。遺伝性心血管疾患と臨床的に診断された患者でも、遺伝子検査の恩恵を受ける可能性があります。これは、原因となるバリアントを同定し、管理、治療、カスケード検査の指針として役立つ可能性があるためです6

不整脈のアイコン
2,000人に1人以上

不整脈は、心拍リズムの異常を引き起こす心血管疾患であり、2,000人に1人以上が影響を受けています7

心筋症のアイコン
500人に1人

心筋症は500人に1人が罹患しています。心筋疾患とも呼ばれる心筋症は、最も一般的な遺伝性心疾患です。8 この疾患は、心臓が血液を効率的に全身に送り出すことができない原因となります。

大動脈障害のアイコン
10万人に16人

家族性大動脈障害は、大動脈の異常な変化を特徴とし、10万人に16人以下の患者がいます9

高コレステロール血症のアイコン
300人に1人

家族性高コレステロール血症は、高コレステロール血症を引き起こす遺伝性疾患であり、300人に1人が影響を受けています10

心血管ゲノミクスのトピックをチェック
心血管疾患の研究
心血管疾患の研究

シーケンシング、マイクロアレイ、マルチオミクスを活用し、最先端の心血管研究を推進しましょう。研究を加速できる心臓遺伝子シーケンスやその他のゲノミクスソリューションについて学びます。

医療従事者のための心血管情報
医療従事者のための心血管遺伝学

心血管疾患ゲノム情報が患者の診断、管理、治療に与える利点についてご説明します。主な医療専門団体が発表する最新のガイドラインをご覧ください。

心疾患は遺伝するのか?
心疾患は遺伝するのか?

遺伝子検査が診断、管理、治療の選択肢にどのように役立つかをご説明します。

ソートリーダーシップ

注目の心血管ゲノミクス研究者

インタビュー:心血管疾患治療のファーマコゲノミクス
心血管疾患治療のファーマコゲノミクス

ファーマコゲノミクスは、個人が薬物にどのように反応するかを明らかにすることができます。このインタビューでは、Dr. Marie-Pierre Dubé (PhD) が、コレステロール薬への薬物応答者と非応答者の遺伝子型を同定した臨床研究について話します。

ウェビナー:心血管疾患の予後と遺伝子検査
遺伝子検査は心血管系疾患の転帰を改善できるか?

このウェビナーではDr. Joshua Knowlesが、家族性高コレステロール血症における遺伝子カスケード検査の重要性と、ポリジェニックリスクスコアを導入する利点について解説しています。

ポッドキャスト:心臓発作のリスクを予測する遺伝学
心臓発作のリスク予測に遺伝学を活用する

Dr. Guillaume Paréが、家族性高コレステロール血症と若年性心血管系疾患のリスクを持つ人々を同定するために、遺伝学がどのように役立つかを論じています。

関連コンテンツ

プレシジョンゲノミクス

ゲノミクスによるプレシジョンメディシンは、疾患関連バリアントの同定、疾患の根本的な遺伝的原因の特定、管理と治療法の最適化に役立ちます。

ポリジェニックリスクスコア

このスコアは、ある個人が持つ、特定疾患の悪化リスクを高める遺伝子バリアントの数を表しています。重要な検討項目と今後の活用方法を見てみましょう。

注釈
  1. Ackerman MJ, Priori SG, Willems S, Berul C, Brugada R, et al. HRS/EHRA expert consensus statement on the state of genetic testing for the channelopathies and cardiomyopathies. Europace. 2001;13(8):1077-1109.
  2. Ashley EA, Hershberger RE, Caleshu C, Ellinor PT, Garcia JGN, et al. Genetics and cardiovascular disease: a policy statement from the American Heart Association. Circulation. 2012;126(1)142-157. Epub 2012年5月29日
  3. World Health Organization. 2023. Cardiovascular diseases.
  4. Roth GA, Mensah GA, Johnson CO, et al. Global Burden of Cardiovascular Diseases and Risk Factors, 1990-2019: Update From the GBD 2019 Study [published correction appears in J Am Coll Cardiol. 2021 Apr 20;77(15):1958-1959]. J Am Coll Cardiol. 2020;76(25):2982-3021. doi:10.1016/j.jacc.2020.11.010
  5. McPherson R, Tybjaerg-Hansen A. Genetics of Coronary Artery Disease. Circ Res. 2016;118(4):564-578. doi:10.1161/CIRCRESAHA.115.306566
  6. Musunuru K, Hershberger RE, Day SM, et al. Genetic Testing for Inherited Cardiovascular Diseases: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circ Genom Precis Med. 2020;13(4):e000067. doi:10.1161/HCG.0000000000000067
  7. rarediseases.org/rare-diseases/romano-ward-syndrome/?filter=ovr-ds-resources
  8. cdc.gov/heartdisease/cardiomyopathy.htm
  9. Olsson C, Thelin S, Ståhle E, Ekbom A, Granath F. Thoracic aortic aneurysm and dissection: increasing prevalence and improved outcomes reported in a nationwide population-based study of more than 14,000 cases from 1987 to 2002. Circulation. 2006;114(24):2611-2618. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.106.630400
  10. Tada H, Takamura M, Kawashiri MA. Familial Hypercholesterolemia: A Narrative Review on Diagnosis and Management Strategies for Children and Adolescents. Vasc Health Risk Manag. 2021;17:59-67. Published 2021 Feb 17. doi:10.2147/VHRM.S266249