次世代シーケンサー(NGS)

NGSテクノロジーの仕組みと、その活用によって何が実現できるかをご紹介します

片手で透明な液体で満たされたピペットを持ち、もう片方の手でチューブを持つ女性サイエンティスト。背景には移動している不鮮明なサイエンティスト。サイエンティストの後ろのラボベンチでは2台のMiSeq i100装置が稼働中。

次世代シーケンサーとは?

次世代シーケンサー(NGS)とは、超高スループット、スケーラビリティ、スピードを実現する大規模並列シーケンス技術です。DNAまたはRNAの全ゲノムやターゲット領域におけるヌクレオチドの順序の決定に用いられます。NGSは生物科学に革新をもたらし、さまざまなアプリケーションの実施や生物学的システムの解析を、これまでにない規模と精度で可能にしました。

今日の複雑なゲノム解析の課題には、従来のDNAシーケンス技術では得られない詳細な情報が求められています。NGSはそのギャップを埋めるテクノロジーとして、こうした課題の解決を支える日常的な研究ツールとなっています。

NGSのアプリケーション

次世代シーケンサーテクノロジーは、サイエンティストが取り組める課題や解明できる疑問の幅を大きく広げました。また、革新的なNGSサンプル調製キットとデータ解析オプションにより、多様なアプリケーションに対応できるようになりました。例えば、次世代シーケンサーを用いることで、以下のような解析が可能です。

  • 迅速な全ゲノムシーケンス

  • ターゲット領域にフォーカスしたディープシーケンス

  • ヒトにおける微生物多様性の研究

  • ゲノムワイドなDNAメチル化やDNA-タンパク質相互作用などのエピジェネティック因子の解析

  • 希少体細胞バリアントや腫瘍サブクローンなどの研究のためのがんサンプルのシーケンス

  • RNAシーケンス(RNA-Seq)を用いた、RNAの新規バリアントやスプライスサイトの発見および遺伝子発現解析のためのmRNAの定量

  • 新規病原体の同定

Male and female scientists touching start screen to begin run on the NovaSeq X. Consumables on lab bench next to the instrument and close up blurry image of a scientist walking in the foreground.

NGS入門ガイド

NGSの基本、および最初の実験の計画作成のためのチュートリアルとヒントをご紹介します。

イルミナNGSの仕組み

イルミナのNGSテクノロジーは、従来のサンガーチェインターミネーション法とは根本的に異なるアプローチを採用しています。中核となるSequencing by Synthesis(SBS)ケミストリーは、DNA鎖の複製時に付加される標識ヌクレオチドを大規模並列方式で追跡します。

次世代シーケンサーテクノロジーは、大量のDNAシーケンスデータを生成できるため、従来のサンガーシーケンスと比べてコストや時間の削減が可能です。1、2 イルミナのシーケンスシステムは、装置の種類や設定に応じて、1ランあたり300キロベースから数テラベースまでのデータ出力を実現します。

サムネール

NGS入門 eBook

eBook「次世代シーケンサー入門ガイド」をダウンロードして、NGSのアプリケーションや利点をご覧ください。また、NGS導入をご検討のラボ向けに、サンプル分離、ライブラリー調製、シーケンス、データ解析までを網羅した実践的なワークフローをご紹介します。

NGSワークフロー

次世代シーケンサーのワークフローには、ライブラリー調製、シーケンス、データ解析の3つの工程があります。

1
ライブラリー調製
2
シーケンス
3
データ解析

NGSの主な利点

アクセスしやすい全ゲノムシーケンス

ヒトゲノムプロジェクトでは、キャピラリー電気泳動を用いたサンガーシーケンス法により、10年以上の歳月と約30億ドルの費用をかけてヒトゲノムの解読が実施されました。

一方、次世代シーケンサーは、大規模全ゲノムシーケンス(WGS)をより身近で利用しやすいものにしました。ヒトゲノム全体を1回のシーケンス実験で解析できるほか、年間数千から数万のゲノムをシーケンスすることも可能です。

発現プロファイリングに適した広いダイナミックレンジ

NGSを用いたRNA-Seqは、マイクロアレイなどの従来のテクノロジーに伴う性能面やコスト面の制約を克服する強力な方法です。マイクロアレイによる遺伝子発現解析には、低シグナル領域ではノイズの影響を受けやすく、高シグナル領域ではシグナル飽和が生じるという課題があります。

一方、次世代シーケンサーは個々のデジタルシーケンスリードカウントを定量するため、より広いダイナミックレンジを提供します。3,4,5

ターゲット化NGSのための柔軟な解像度設定

ターゲットシーケンスでは、遺伝子のサブセットや関心のあるゲノム領域にNGSの能力を集中させることで、効率的かつコスト効率に優れたシーケンスを実現できます。NGSは高い拡張性を備えており、実験ニーズに応じて解像度を調節可能です。複数のサンプルを対象に浅いスキャンを実施することも、特定領域に存在する希少バリアントを検出するために少数のサンプルを高深度でシーケンスすることもできます。

以下の内容をご覧ください。

NGSテクノロジーの進歩

ベンチトップシーケンス

ロースループットおよびミッドスループットのアプリケーションや、大規模研究前のライブラリー品質管理(QC)に適した、コスト効率に優れた使いやすいソリューション。

ハイスループットシーケンス

先進的なケミストリー、光学技術、およびインフォマティクスによってNGSアプリケーションを強化し、大幅に多くのデータを生成することで、より深い洞察が得られます。

データ品質の向上

デュプレックスシーケンスでQ70、シンプレックスシーケンスでQ50の品質スコアを目標として開発中のシーケンスソリューション。

サイエンティストによるNGSの活用

様々な分野の研究者が、次世代シーケンサーを活用してどのような画期的な発見を実現しているのかをご覧ください。

微生物研究による創薬の進歩

NGSを用いた全ゲノムショットガンシーケンスやトランスクリプトミクス解析は、研究者や製薬企業に、創薬および開発の精度向上に役立つデータを提供します。

マルチオミクスで研究を拡大

ゲノミクス、トランスクリプトミクス、エピジェネティクス、プロテオミクスのデータを統合することで、疾患、細胞応答、発生に寄与する分子変化をより包括的に理解できます。NGSを活用したマルチオミクス実験により、バイオマーカーの同定や遺伝型と表現型の関連付けなどを実施できます。

NGSの使用を開始する

システム導入ガイド

以下のリソースでは、次世代シーケンサーの導入を検討している研究者に向けた有益な情報をご覧いただけます。

NGSプラットフォーム比較表はこちら

ベンチトップ型からプロダクションスケールまで、幅広いシーケンサーのラインアップや機能比較をご覧いただき、研究ニーズに最適なNGSプラットフォームの選定にお役立てください。

購入者ガイド

NGSシステム導入ガイドをお読みいただき、システム導入前に検討すべきポイントをご確認ください。

NGS実験に関する考慮事項

リード長、カバレッジ、品質スコアなど、シーケンスランの計画に役立つ重要な検討事項について学びましょう。また、インタラクティブなツールを活用して、プロジェクトに最適な製品や手法を選択できます。

NGSラボ向けの資料

シーケンス手法

全ゲノムシーケンスからmRNA-Seq、エクソームシーケンス、シングルセルシーケンスまで、幅広い手法を探索します。

ハイスループットシーケンス

最新の大規模シーケンサーを用いることで、より多くのサンプルを処理して統計的検出力を向上させ、データ量の多いアプリケーションをコスト効率よく実行できます。

ライブラリー調製の自動化

NGSライブラリーの大量調製を支援するために設計された自動リキッドハンドリングソリューションをご覧ください。

学習用ウェビナー

次世代がん研究のためのマルチオミクスの洞察

Washington University School of MedicineのDr David SpencerとDr Richard Capperが、がん研究を前進させるマルチオミクスリキッドバイオプシーおよび空間トランスクリプトミクスの可能性について語ります。

Perturb-Seqによるヒト遺伝学の変革

イルミナのRami MehioとDr Kyle Farhが、先進的なインフォマティクスプラットフォームとAIがヒト遺伝学をどのように変革しているかを探ります。日常的な臨床研究ワークフローから国家規模のプロジェクトまで、幅広い取り組みへの影響についてご紹介します。

NGS FAQ

Sequence by Synthesisは、蛍光標識された可逆的ターミネーターを取り込み、イメージングし、切断することで、他のシーケンスケミストリーや前世代の方法と比較して高いデータ精度を達成します。伸長中のDNA鎖からこれらを除去することで、塩基ごとのシーケンスが可能になります。この厳密に制御されたプロセスは、最終的にベースコールの精度を向上させ、反復ヌクレオチド(ホモポリマー)の連続に伴うミスコールを減らします。1

XLEAP-SBSケミストリーによるSBSテクノロジーの進化をご覧ください。これは、これまでで最も高品質かつ高速で、堅牢性に優れたイルミナのSBSケミストリーです。6

再構築されたシーケンスに関するウェビナーでは、画期的なイルミナのシーケンスイノベーションについてご覧いただけます。

NGSは、がん研究において、ゲノムバイオマーカーの特定や、リキッドバイオプシーや包括的ゲノムプロファイリング(CGP)などを通じた腫瘍の分子プロファイルの特徴づけに活用されています。ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、エピゲノムの一部を対象とした従来のロースループットツールはありますが、NGSは1回の実験であらゆる「オーム」の全体、あるいはその大部分を特徴づけることができます。さらに、発がんや腫瘍増殖、転移に関連する低頻度の分子変異の検出も可能であり、従来の分子解析手法では見逃される可能性のある疾患ドライバーの発見に貢献します。7

次世代がん研究ウェビナーでマルチオミクスから得られる洞察をご覧いただき、マルチオミクスががん研究をかつてない規模でどのように前進させているかをご確認ください。

NGSによるがんゲノミクス研究の進歩についてご覧ください。

NGSを活用したマルチオミクスアプローチは、複数の「オーム(ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームなど)にわたるデータを統合することで、生物学的複雑さを特徴づけます。このアプローチにより、遺伝子変異にコンテキストを追加し、DNA変異を遺伝子発現やタンパク質活性と結びつけることができます。さらに、これらの生物学的システムが様々な条件下でどのように相互作用するかを明らかにすることで、複雑な制御ネットワークの解明を支援します。8

今後のマルチオミクスプロファイリング研究と解析を可能にするNGSソリューションに関する詳細はマルチオミクスページよりご覧ください。

ラボでは、システムアップグレード、ラボラトリーオートメーション、アプリケーションの汎用性、およびロバストなインフォマティクスパイプラインのデータインフラストラクチャを通じて、複数の柱にわたってスループットを増加させ、NGS機能を拡張できます。

  • 装置アップグレード:小規模研究用のロースループットベンチトップシーケンスシステムから、ランあたりのデータ出力を増加させる生産規模の高出力システムへの移行(例:1回のランで数百から数千のサンプル)
  • ラボラトリーオートメーション:リキッドハンドリングとライブラリー調製の自動化を実装して、ハンズオンタイムを減らし、再現性を改善
  • アプリケーションの汎用性:全ゲノムシーケンス(WGS)からシングルセルRNA-Seq(scRNA-Seq)まで、メソッドの大規模なエコシステムに対応するための汎用性と拡張性を提供するシステムの選択
  • データインフラストラクチャ:ラボ情報管理システム(LIMS)とバイオインフォマティクス機能を拡張し、高性能コンピューティング(HPC)またはクラウドベースのパイプラインを使用して、二次解析、保存、およびNGSデータの共有を管理します。

ラボの増大するシーケンスニーズに対応するために、イルミナは、スケーラブルなシーケンスシステムとワークフローサポートからなる包括的なエコシステムを提供しています。これには、ベンチトップ型および生産規模のハイスループット構成、高効率のライブラリー調製キット、高度なデータ解析ソリューション、ならびにお客様のシーケンス要件を支援する学習用ガイドが含まれます。

研究目標とラボのニーズを満たすNGSシステムを選択するためのガイダンスについては、当社のシーケンスプラットフォームページをご覧ください。

NGS実験を計画する場合は、シーケンスのニーズに基づいていくつかの重要な要因を考慮する必要があります。

  • 入力量:開始核酸の必要な品質と量
  • リード長:リードごとにシーケンスされる塩基対の数 
  • シーケンス深度:特定の領域が読み取られる回数
  • スループット:シーケンスランごとに生成される総データ量
  • データ解析:アライメント、定量化、解釈を支援するコンピューティングリソース、ストレージ容量、バイオインフォマティクスツール9

NGSへの移行を成功させるために、最初のNGSプロジェクトの計画と準備に関するウェビナーをご覧ください。

カバレッジ深度に関する推奨事項のページにアクセスして、シーケンスカバレッジの深度を推定する方法と、NGS実験の計画に役立つその他のヒントをご確認ください。

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ゲノミクスニュース

補足資料

RNAシーケンス(RNA-Seq)

RNA-Seqは、次世代シーケンサー(NGS)を使用してトランスクリプトーム全体の発現を解析し、既知または新規の特徴を検出し、RNAの定量を実現します。

シーケンスサービス

高速かつ信頼性の高い次世代シーケンサーサービスを利用して、高品質なデータを取得し、幅広い科学的知見を導き出すことができます。

NGSおよびマイクロアレイのトレーニング

イルミナの認定インストラクターによる実践的なハンズオントレーニングをご利用いただけます。また、オンラインコース、ウェビナー、動画、ポッドキャストなどもご用意しております。

お問い合わせ

NGSの詳細については、こちらからご相談ください。

参考文献

  1. Bentley DR, Balasubramanian S, Swerdlow HP, et al. Accurate whole human genome sequencing using reversible terminator chemistry. Nature. 2008;456(7218):53-59. doi:10.1038/nature07517 
  2. Shendure J, Ji H. Next-generation DNA sequencing. Nat Biotechnol. 2008;26(10):1135-1145. doi:10.1038/nbt1486
  3. Wang Z, Gerstein M, Snyder M. RNA-Seq: a revolutionary tool for transcriptomics. Nat Rev Genet. 2009;10(1):57-63. doi:10.1038/nrg2484
  4. Wilhelm BT, Landry JR. RNA-Seq-quantitative measurement of expression through massively parallel RNA-sequencing. Methods. 2009;48(3):249-257. doi:10.1016/j.ymeth.2009.03.016
  5. Zhao S, Fung-Leung WP, Bittner A, Ngo K, Liu X. Comparison of RNA-Seq and microarray in transcriptome profiling of activated T cells. PLoS One. 2014;9(1):e78644. Published 2014 Jan 16. doi:10.1371/journal.pone.0078644
  6. Compared to standard Illumina SBS chemistry. 
  7. Isaic A, Motofelea N, Hoinoiu T, et al. Next-Generation Sequencing: A Review of Its Transformative Impact on Cancer Diagnosis, Treatment, and Resistance Management. Diagnostics (Basel). 2025;15(19):2425. Published 2025 Sep 23. doi:10.3390/diagnostics15192425 
  8. Ren Y, Bai H, Wang J, Yang Y, Wang Y. Deep Learning-Enabled Multi-Omics Integration: A New Frontier in Precise Drug Target Discovery. Biology (Basel). 2026;15(5):410. Published 2026 Mar 2. doi:10.3390/biology15050410 
  9. Maljkovic Berry I, Melendrez MC, Bishop-Lilly KA, et al. Next Generation Sequencing and Bioinformatics Methodologies for Infectious Disease Research and Public Health: Approaches, Applications, and Considerations for Development of Laboratory Capacity. J Infect Dis. 2020;221(Suppl 3):S292-S307. doi:10.1093/infdis/jiz286