腫瘍がどのように自然免疫反応を回避するかについて詳細な理解が進むにつれ、がん免疫療法(イムノオンコロジー)は、新たな分野としてがんとの闘いにおいて大きな進歩を遂げています。がん免疫療法を牽引する主要な研究者たちは、NGSテクノロジーを利用して個別化医療のアプローチに適した新たな解析用ツールを発見しています。
腫瘍が免疫反応を阻害する機序に関する研究では、環境の変化にある不均一な腫瘍を完全に特性付けることにより、治療に対する腫瘍の反応に何が影響を及ぼすかについて継続的に手掛かりが得られているため、有望な治療標的が見つかっています。
ゲノムに基づいた手法によって新たな情報が豊富に得られることで、免疫系の能力を高めてがんの変異を標的にしたり、腫瘍の能力を制限して自然免疫反応を回避するなど、免疫反応の操作が有望な治療法につながっています。
主な患者反応と関連する可能性があるバイオマーカーの同定を科学者たちが重ねていくにつれて、免疫療法研究は大きな成長を見せています。NGSのスループット能力によって、この研究がどのように進歩しているかをご覧ください。
19世紀後半、がん免疫研究の分野では免疫システム、およびがんの発生、進行、治療について研究されてきました。一世紀以上にわたる数々の発見に導かれ、この10年間で急速にがん免疫研究の成果が新しい治療法へとつながり、その多くは前例のない成功を収めました。
ビデオを見る有望な治療法の新たな進化に伴い、がんの免疫療法を適切に行う手引きとなりうるバイオマーカーの検出に対するニーズも増えています。NGSは、腫瘍増殖や治療に反応して発現する免疫マーカーをリアルタイムで高感度にモニターし、がんゲノムの綿密な解析を行い、免疫レパートリーを効率的に評価することができます。
IRCCSの研究者は、遺伝子発現解析を行って間質細胞が原因となる大腸がんのトランスクリプトームを同定しています。
がんのエクソームシーケンスまたはトランスクリプトームシーケンスを行うことにより、腫瘍が免疫反応を回避する能力の特定や、T細胞媒介性の免疫を高める新生抗原の同定に役立つと考えられる突然変異に関する重要な情報が得られています。ターゲットシーケンス法は、全ゲノムシーケンス法に代わる効率的で、コスト効率のよい手法です。
新たな分野として期待される免疫療法研究および研究を推進させるNGSの利用法についての概要。
特定の療法に対する腫瘍反応は、突然変異荷重、エピジェネティクス、腫瘍の微小環境、そして微生物叢など、数多くの要因に影響されることが明らかとなっています。このようにダイナミックな相互作用をNGSに基づいたいくつかの手法でリアルタイムに高感度な解析を行ってモニターし、適切な療法の開発に活用することができます。
がんおよび免疫学研究のほか、個別化免疫療法の開発における高スループットシーケンスの注目すべき利用例をご紹介します。
イルミナでは、がん免疫研究に対応したデータ解析オプションが利用できるライブラリー調製およびシーケンスオプションを複数ご用意しています。効率化されたワークフローとフレキシブルなキット構成で、さまざまな研究デザインに対応しています。
世界中で得られるシーケンスデータのおよそ90%が、傑出したデータ品質を実現するイルミナの1塩基合成(SBS)ケミストリーに基づいて産出されています。*
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TruSeq Exomeライブラリー調製キットは、非常に高い精度を誇るコスト効率のよいライブラリー調製およびエクソーム濃縮ソリューションです。
Nextera Rapid Capture Exome and Expanded Exome Kitsわずか4Gbのデータ量で、ライブラリー調製とエクソーム濃縮がたった1.5日で行えます。
TruSeq RNA Accessライブラリー調製キットは、少量サンプルや低品質サンプルから抽出したヒトRNAの解析が低コストで行えるソリューションです。
フレキシブルな構成で、ランあたり最大12エクソームをサポートした解析が可能です。
HiSeq 2500システムランあたり数十から数百ものがんエクソームのシーケンスが行える最大のスループットが特長です。
整列化フローセルテクノロジーにより、高スループット、1サンプルあたりの低コスト、および高速度、高性能を実現しました。
NovaSeqシリーズほぼすべてのゲノム、シーケンス手法、およびプロジェクト規模に対応したスケーラブルなスループットと柔軟性。
がん免疫に関わるフィルターを使ったRNAシーケンス解析が行えます。
Isaac Genome Alignment SoftwareとIsaac Variant Callerを使ったエクソームデータ解析が行えます。
Karolinska InstituteのDr. Emilie Hultinと研究チームは、イルミナのシーケンサーを用いて、非黒色腫性の皮膚がんに関連する新種のHPVを同定しています。
*Data calculations on file.Illumina, Inc., 2015