2026年2月11日
16歳のとき、Fraserは自分の人生で何をしたいのか明確な目標はありませんでした。そのような時、イギリスのブリストルの自宅近くにある地元の大学のラボで働く機会を見つけたのでした。そこでは、大腸菌を寒天プレートにプレーティングしたり、バッファーを調製したりするなどの簡単な作業に携わりました。「これは素晴らしい経験で、将来もここで働きたいなと思いました」 と言います。「テクノロジーやサイエンス、そして新しいものを発見することが本当に楽しかったのです」
その早い段階での経験により、生化学のPhDを修める進路に進みました。しかし、大学での研究は少し孤独なものでした。Fraserはチームワークを好み、バイオテクノロジーの方が自分に合っていると判断しました。「実際、大学を卒業したばかりの人を受け入れてくれるところを見つけるのはかなり大変でした」とFraserは語ります。幸運なことに、DNAシーケンシング企業で後に2007年にイルミナに買収されたソレクサの科学者がチャンスを与えてくれました。ライブラリー調製グループのエントリーレベルのPhD取得科学者として採用されたのです。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの最先端の研究室で学んだ後、配送トラックの荷積み場にあるソレクサの簡素なオフィススペースに移ったのは衝撃的な体験でした。イルミナの買収後数年間には、同僚の増加、新たなリーダーシップ、そしてシーケンスのイノベーションをこれまで以上に推進するためのリソースの拡大など、驚くべき変革を目の当たりにしました。
Fraserは、初めての正社員職が、イルミナでの20年間の仕事に変わるとは思ってもいませんでした。現在は、イルミナのアッセイ研究開発のアソシエイトディレクターを務め、イルミナの最先端のライブラリー調製ソリューションの立ち上げに尽力しています。Fraserは、全ヒトゲノムシーケンスのための事前のライブラリ調製ワークフロー全体を排除するIlluminaマップリードシーケンステクノロジーであるTruPath Genomeの、今後の市場へのリリースに特に期待を膨らませています。
以前はコンステレーションマップリードテクノロジーとして知られていたTruPath Genomeは、フローセル表面で「タグメンテーション」を実行します。タグメンテーションとは、結合と断片化のプロセスです。これにより、ハンズオン調製時間が劇的に短縮され、エラーが発生する可能性が低くなり、新しいバイオインフォマティクスパイプラインを使用して、より長いゲノムシーケンスの再構成が可能になります。全ゲノムシーケンスを簡素化し、より完全なゲノムを提供します。Fraserは、このイノベーションを実現させてきたサイエンス分野のリーダーのひとりです。
「DNAをシーケンサーに乗せることができる状態にするには、現在、ライブラリー調製ステップを行う必要がありますが、これは複雑です。専門知識が必要です」とFraserは説明しています。TruPath Genomeでは、シーケンサーがすべての作業を行い、ユーザーはライブラリー調製の必要なく、DNAを装置に直接配置するだけです。
ライブラリー調製はフローセル表面上で直接行われるため、元のストランド上のDNA断片が物理的に互いに近接していると、フローセル上でも互いに近接したままになる傾向があります。高度なバイオインフォマティクスアプローチを適用することで、サイエンティストはこの「近接」情報を抽出し、ゲノムの複雑な「暗い」領域を解き明かすことができます。
サイエンス分野における女性や少女の顕彰
イルミナのTruPathチームは、世界中に100名を超えるサイエンティストを擁し、それぞれが独自の専門知識を活用して最先端のソリューションを開発しています。
2月11日は、2015年に国連総会が宣言した年次イベントである、科学における女性と女児の国際デーです。 2026年のテーマは、STEMにおけるジェンダーギャップを埋めることに焦点を当てています。ユネスコの2024年の報告書によると、STEMにおける女性の定着率は、施設や職場の状況に大きな影響を及ぼします。
Fraserは、キャリアのこの時点において、性別がサイエンティストまたはリーダーとしてのアイデンティティの決定的な要素になると考えていません。「私は多くの素晴らしい女性サイエンティストや男性サイエンティストと仕事をしています」と彼女は語ります。「もしかしたら、私は運がいいのかもしれませんね」 Fraserにとって普通なのは、互いに敬意を持って接する男女混合チームです。しかし、バイアス要素が若年女子のサイエンスの追求を妨げる可能性があることも理解しています。
若い世代のためにバイアス要素と戦う
数年前、彼女とチームのスタッフサイエンティストであるVicki Thomsonは、地元の小学校の「Genomics 101 in the Classroom」イベントに招待されました。白衣に身を包んだ彼女とThomsonは、100人の児童が集会に列をなして入ってくるのを目の当たりにしました。「最前列に座っていた子が、とても驚いた様子で他の子供にこう言いました。『えっ、女の人が二人いる』」と振り返ります。「このとき、この子供が男性を期待していたことに私たちはショックを受けたのでした」
その児童のために、FraserとThomsonは、どのような人がサイエンティストになるのかというこれまでの思い込みに疑問を投げかけました。レプレゼンテーション(代表性)は、今でも重要です。女性サイエンティストに研究成果を発表する機会を与えることは、自分がSTEM分野で働くことを想像したこともない女子にとって目を見張るような出来事となる可能性があります。
「サイエンスはみんなのものなのです」 Fraserは語ります。「誰であるか、どこの出身であるかは問題ではありません。大事なのは、それを追い求める情熱を持っていることだけです」
Fraserが、最初の寒天培地からTruPathの立ち上げまで専心してきたシーケンスの簡素化は、この立ち上げを後押しするだけでなく、次世代のサイエンティストへの扉を開くことにも役立ちます。
TruPath Genomeの詳細はこちらをご覧ください。
マップリードテクノロジーに関するGenomics Research Hubの記事については、このリンクをご覧ください。


