Skip to content

がん研究

TruSight® RNA Fusion:遺伝子融合を検出するがんパネル

遺伝子融合に関連する500以上の遺伝子の詳細な評価を簡潔なレポートで提供

TruSight® RNA Fusion:遺伝子融合を検出するがんパネル
2016/11/01

遺伝子融合は1980年代初頭に初めて発見されましたが、その多くは腫瘍増殖の要因になっています。融合を同定するのは容易ではありません。次世代シーケンス(NGS)技術を用いたRNAシーケンス(RNA-Seq)では、1回のアッセイで融合転写産物を検出することができます。よりターゲットを絞った手法を用いれば、研究者が興味を持っている重要な遺伝子に的を絞り込めるだけでなく、新規の融合因子を検出することもできます。アレイをベースとした従来の手法に比べ、高精度なターゲットRNA-Seqは、より広いダイナミックレンジにより少量の転写産物を確実に検出します。

臨床研究者が、がんの分化および進行における融合に関する理解を深めることができるように、イルミナはお客様と協力して、このTruSight RNA Fusion Panelを開発しました。本製品を用いれば、公開データベースに引用されている、固形がん、軟部組織がん、血液系腫瘍などの様々ながんに関連する507の遺伝子の詳細な評価ができます。また、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織などのように量が限られたり、分解されたりしたサンプルでも、コスト効率の良い解析を、MiSeq®またはMiniSeq™などのベンチトップ型シーケンサーで行えます。同梱している解析ソフトウェアを使用すれば、細胞遺伝学的な座位やあらゆる既知の疾患との関連性1と共に、検出された融合について記載された簡潔なレポートを得られます。このソフトウェアソリューションは直感的に操作できるので、次世代シーケンス(NGS)が初めての方でも、TruSight RNA Fusion Panelを使用できます。

オーガスタ大学のジョージア医科大学病理学部助教で、Georgia Esoteric & Molecular Labs所長のRavindra Kolhe氏(MD、PhD)にお話を伺いました。同氏はTruSight RNA Fusion Panelの開発に携わりました。オーガスタ大学のジョージア医科大学は、ジョージア州で唯一の公立医科大学で、米国で最も歴史が長く規模の大きな医科大学の1つです。MCG-AUのGeorgia Esoteric and Molecular Pathology Labsの使命は、重点的3領域における同大学の使命、教育、臨床診断と治療、およびトランスレーショナル研究と一致しています。

どのような疾患を研究対象としていますか?

Ravindra Kolhe氏(MD、PhD):私たちが重視している分野はがんの遺伝子融合研究ですが、特に力を入れているのは骨と軟部組織の腫瘍、血液系腫瘍です。また、婦人科がん、特に子宮内膜肉腫における変性についても研究しています。非腫瘍分野では、婦人科領域の発生学の応用、特に子宮奇形についての研究を行っています。子宮奇形については、以前の研究で、重要な遺伝子融合機構も研究対象としていました。この非常に広範で包括的なアプローチで、これらの疾患の病因に関わる新規の遺伝子融合を同定できる可能性があります。

TruSight RNA Fusion Panelをどのように使用していますか?

RK:Georgia Esoteric and Molecular Pathology Labsは、TruSight RNA Fusion Panelを使用してコンテンツを同定するためにイルミナと共同研究を行い、主に病理学分野のトランスレーショナル研究に応用してきました。

新世代の遺伝子検査オプションに注目すると、2つの方法があります。1つはNGSで、もう一方はマイクロアレイです。これらを用いてゲノム異常を検査します。しかし、マイクロアレイでは遺伝子融合を同定できませんし、ターゲットDNAシーケンスでも容易には同定できません。したがって私たちは、検出測定器で遺伝子融合は同定できないと認識していたのです。このことがきっかけでイルミナと共同研究を開始し、様々な疾患における遺伝子融合の評価ができる広範な(507)遺伝子パネルの開発に至ったのです。

TruSight RNA Fusion Panelを使用する目的は何ですか?

RK:概して、この技術を用いる目的は4つあります。1つ目は、本製品に融合を検出する能力があるのか、蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)検査の補完または代わりとして使用できるのかを評価すること。2つ目は、ターゲットとなり得る融合、つまり様々な治療法または薬剤の標的となり得る融合を同定すること。3つ目は、がんに関連する融合を発見し、それが腫瘍形成にどのような役割を果たしているのか解明すること。最後は、おそらくこれが最も重要な目的ですが、全く新しい発見をすることです。最終的には、新規の融合を同定できるか確かめてみたいのです。それが腫瘍形成に重要な役割を果たすなら、病因とおそらくは新しい治療介入法の解明までも可能とする新しいターゲットを同定することができるかもしれません。現在までのところ、このような大きな規模でこれらのバリアントを調べた者はいません。私たちは507の遺伝子を評価し、がん研究における遺伝子融合の重要性を見極めることができるでしょう。このユニークで革新的な手法を用いれば、がん研究者は、これまで腫瘍形成の解明や有望なターゲットの発見ができなかった多くのがんに対して、包括的で戦略的な解析を、実行することが初めて可能となります。

研究を通じてどのような発見をしたいと考えていますか?

RK:これまで述べた腫瘍や子宮奇形の原因および病因をより深く理解したいと考えています。例えば、ある特定の種類の白血病を引き起こしている原因は何か?疾患の原因の他にも、同定した融合がターゲットとなり得る融合でもあるのか、即ち特定の薬剤の標的となり得る融合なのか解明するよう努めています。それが達成できれば理想的です。

TruSight RNA Fusion Panelを使用する利点は何ですか?

RK:TruSight RNA Fusion Panelを用いてRNAシーケンスを行う利点は、興味の有る遺伝子を用意すればよいということです。そして、このユニークな技術で、転座に関与する他の遺伝子の同定ができます。これは新規の融合の同定を促進する驚くべき発見ツールです。その融合は、対象とする特定の疾患のがん発生機序または発症に関わるものかもしれません。がん研究における遺伝子融合の同定は、腫瘍に特異的な全く新しい情報を必ずもたらすことになります。

これまで融合検出の標準的手法であった蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)の使用上の難点は、発見領域が限られていることです。一般的に、1回で1つの遺伝子しか検出できないからです。この手法のもう1つの難点は、適切なプローブをデザインするために、ターゲットに関する十分な情報を用意しなければならないことです。また、この技術では高精度の分子同定ができません。FISHプローブはサイズが大きいのでDNA領域を同定できますが、ほとんどの場合は実際の遺伝子の同定はできませんし、この遺伝子情報こそ融合因子の解明に必須なのです。

RNAシーケンス技術を用いれば、融合因子や切断点に関する情報が事前に得られなくても、1回のシーケンスアッセイでパネル上の全遺伝子の融合の同定を正確に行うことにより、これらの問題を克服することができます。本製品は、ほとんどのサンプルタイプ、特にFFPE組織に適用できます。バリデーションセットの私たちの全サンプルではありませんが、そのほとんどはFFPEサンプルからのものでしたが、極めて正確な結果が安価に得られました。

TruSight RNA Fusion Panelを使用して、現在までにどのような経験をされましたか?

RK:それは本製品の開発から使用に至るまでです。最初に、私たちはイルミナと密接に協力してコンテンツを実際に開発し、本製品に含めるべき遺伝子を特定しました。最終的に、507の遺伝子を決定し、包括的な全がん種に対応する融合パネルを開発したのです。それは、全ての遺伝子ではありませんが、腫瘍性疾患と非腫瘍性疾患に関わらず多くの疾患に関与するほとんどの遺伝子に対応できるものです。

そこからは3つの段階を踏みました。トレーニング、バリデーション、そして一連の未知のケースの確認です。私たちはかつて、PCRを用いて遺伝子融合パネルの検証を行ったのですが、その一連のケースをトレーニングセットとしました。バリデーションは、未知の因子の有無に関わらずFISHを用いて行いました。血液系疾患および肉腫においても、トレーニング段階とバリデーションセットには100パーセント相関が認められました。2016年3月にシアトルで行われた米国カナダ病理学会議において、本データ1,2,3を発表しました。

本製品を使用して、どのように研究を推進していきますか?

RK:長年、既存の技術と手法では、がんの発生に関連する新規の遺伝子融合を同定する能力が限られていました。イルミナのTruSight RNA Fusion Panelは、ユニークで革新的であり、1つのアッセイで大量の遺伝子集合体を評価できる、507の遺伝子パネルです。本製品は、FISHを用いて1つか2つの遺伝子パネルを使用するのとは対照的に、時間と労力を軽減するだけでなく、コストを大幅に削減します。最終的には、これらの手法に関する知見を高めることで、臨床的応用を目的とした新しい診断パネルの開発およびデザインが可能となるでしょう。それによって、患者さんの治療の未来に重要な影響をもたらすことができるでしょう。

1 Mitelman database (http://cgap.nci.nih.gov/Chromosomes/Mitelman)に準じる

本製品の使用目的は研究に限定されます。診断での使用はできません。

Recent Articles

Introducing the Illumina–University of Melbourne Genomics Hub
Introducing the Illumina–University of Melbourne Genomics Hub
NextSeq 550Dx Approved for Clinical Use in China
NextSeq 550Dx Approved for Clinical Use in China
Transforming Diagnoses and Care for Acute Myeloid Leukemia
Transforming Diagnoses and Care for Acute Myeloid Leukemia