次世代シーケンサーによる食品安全性向上の可能性を検討するプロジェクトにMiSeq®を採用
2012年9月18日サンディエゴ（BUSINESS WIRE）――イルミナ・インク（Nasdaqコード：ILMN）は本日、同社の次世代シーケンサーMiSeqシステムおよび試薬を納入する契約を米国食品医薬品局（FDA）から請けたことを発表しました。農作物やその周囲環境に存在するサルモネラ菌および志賀毒素産生性大腸菌の全ゲノム解析を目的としたもので、5年総額で1,700万ドル相当の契約となっています。
FDAはすでに複数台のMiSeqを導入しており、ひとつの概念実証（proof-of-concept）計画の一環としてリソースやトレーニングの提供能力を増強することにより全ゲノム解析技術の向上を図っています。さらに緊急の課題として、今後大規模な食中毒を引き起こす可能性のあるサルモネラ菌に関して、その発生源の特定に必要不可欠なデータを収集するとしています。
「FDAの国立および州立研究所では多種多数の腸内病原菌の検出・単離・処理を行っており、既存の病原菌標本や米国各地で食中毒発生源から採取した細菌から高品質の全ゲノム配列を得ることがMiSeqの導入により可能となります。配列データは米国立生物工学情報センター（NCBI）が管理するデータベースにリアルタイムでアップロードされ、原因菌検索用のデータとして蓄積されていきます。全ゲノム解析により原因菌を検出、同定するとともにその発生源を追跡し、結果をオンラインリソースとして迅速に提供するという概念の初期実証がこのデータをもとに行われます。
イルミナのゲノム・ソリューション部門Christian Henry上級副社長（SVP）兼統括マネージャーは、「全ゲノム解析をより本格的に業務に取り入れることを決めるなど、食の安全性を確保する体制の強化に向けたFDAの取り組みを当社では高く評価しています」としたうえで、「今回の一大プロジェクトのプラットフォームとしてMiSeqが採用されたことを非常に喜ばしく思います。要求に応えられるだけの準備はできています。MiSeqは解析速度と正確性に優れ、使いやすいシステムですし、しかも当社には確かな実績もあります」と話しています。
シーケンサーにより細菌の正確なサブタイプ分析とクラスター分析を行い、その結果をもとに食中毒事例を調査、発生源となった食品あるいは環境を追跡する試みですが、従来の分子タイピングツールは分離能が低いため非常に近縁の複数の菌株を判別できず、サルモネラ菌等、一部の細菌では遺伝子による区別に限界があります。MiSeqはそのスピードやシンプルなワークフロー、高い分離能と正確性により非常に近縁の菌株の同定能力が高く、原因菌のスクリーニングに最適なシステムとなっています。
今回のプロジェクトは、米国の食糧供給における汚染食品の特定・排除のための基本データを作成し、それにより人々の健康を守るというFDAの方針を推し進めるものです。米国では現在、食中毒の原因の第1位がサルモネラ菌となっています。
イルミナについて
イルミナ（www.illumina.com） は、遺伝子多型や遺伝子機能の大規模解析を行うためのライフサイエンスツールおよび包括的システムの開発、製造、販売を行っている主要企業です。当社はジェノタイピング、コピー数多型解析、メチル化研究、遺伝子発現プロファイリングのほか、DNA、RNA、タンパク質の低マルチプレックス解析を行うための革新的なシーケンシングソリューションおよびアレイベースソリューションを提供しています。このほか、ゲノム科学や診断学の発展を促すツールやサービスを提供しています。当社のテクノロジーや製品は遺伝子解析研究やその応用を加速させ、分子医学への道を切り開き、最終的には医療を変革しています。
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