2026年1月22日
Dubai Healthは、病院、外来医療センター、モハメッド・ビン・ラシッド医学・健康科学大学(MBRU)、およびアル・ジャリラ財団のネットワークから構成されています。ドバイ初の統合学術医療システムとして、Dubai Healthはゲノミクスを日常の医療に導入する画期的なイニシアチブを主導し、患者の生涯にわたる予防医療と個別化医療に対するアラブ首長国連邦の取り組みを強化しています。Dubai Healthは現在、遺伝性疾患が疑われる新生児や小児患者を対象に、都市全体で検査を提供しています。また、出生前スクリーニングと親の婚姻前スクリーニングも提供しています。
Dubai Healthのゲノム医学センターは最近、これまでターゲット遺伝子検査と全エクソームシーケンスによって行われていたすべての希少疾患の遺伝子検査を、単一の包括的な全ゲノムシーケンス(WGS)検査に統合しました。希少な遺伝性疾患が疑われる多くの患者に対して、WGSを汎用的な第一選択診断ツールとして採用することで、Dubai Healthは診断過程を大幅に短縮し、診断率と臨床有用性を向上させながら、遺伝子ラボの運営を合理化しています。この統一されたアプローチは、世界中の主要な遺伝子検査ラボにおける標準的慣行に合致するものです。これにより、疾患の原因となるバリアントをより幅広く、より正確に検出することができ、医療制度全体にわたり患者医療と研究への準備を強化する、スケーラブルで効率的なフレームワークを構築できます。
Dubai Healthはまた、重症の新生児にラピッド全ゲノムシーケンス(rWGS)を採用しました。Genome Medicineで発表されたパイロット研究では、このアプローチによる救命の可能性が示され、50%を超える診断率を達成し、Little Falconイニシアチブを通じてイルミナとの継続的なコラボレーションへの道を開きました。現在、rWGSはNICUの第一選択の診断ツールとして確立されています。進行中にある中東初の大規模研究がNature Medicineで取り上げられました。
同センターでは、特定の染色体異常や微小欠失や重複を検出するために非侵襲的な出生前検査(NIPT)を導入しました。検査は主に、妊娠とその転帰を管理するために、ハイリスクな妊娠に対して提供されています。NIPTでは、妊娠10週から簡単な採血を行う必要があり、約99.9%の感度と特異度で一般的な異数性の高い検出率が得られています。1,2臨床洞察を改善し、反復検査を回避することで、NIPTは不要な侵襲的診断手順によるリスクへの胎児の曝露を減らします。8国際ガイドラインおよび学会も、NIPTの使用を推奨しています。最近では、米国産科婦人科学会(ACOG)は、NIPTを一般的なトリソミー疾患に対する最も感度が高く、特異度の高いスクリーン検査の一つとして認識し、リスクレベルに関係なく、NIPTをすべての女性の選択肢とすべきであるともしています。3,4,5,6,7
NIPTは、診断検査ではありません。検査結果を診断の唯一の根拠として使用しないでください。
婚姻前遺伝子検査を義務付け:世界初
2025年1月現在、アラブ首長国連邦の法律は、すべてのUAE国民が結婚前に包括的な遺伝子検査を受けることを義務付けています。このスクリーニングでは、次世代シーケンサーにより570の遺伝子を網羅し、潜性遺伝性疾患を自身の子どもに受け継がせるリスクのあるカップルを同定します。アラブ首長国連邦は、このような広範な婚姻前スクリーニングを義務付けた世界初の国です。需要の高まりに対応するため、Dubai Healthは検査能力を倍増させ、ゲノムサイエンティストとカウンセラーのチームを拡大しました。この投資により、ターンアラウンドタイムが数週間からわずか13日に短縮されました。また、親ゲノムデータへのアクセスによって、将来の診断が加速し、リピートシーケンスの必要性が排除されています。
Dubai Healthのゲノム医学センターのディレクターであるAhmad Abou Tayoun博士は、「結婚証明書が発行される前に検査が完了している必要があります」と述べています。「どちらのパートナーも同じ遺伝子に病原性バリアントを保有している場合は、遺伝カウンセリングを受け、将来の家族計画の指針となる詳細なレポートを受け取ります」
Abou Tayoun博士らは、最近発表されたNature Medicineの論文において、婚姻前のスクリーニングが地域住民のリスク増加を効果的に軽減できる方法について考察しています。
地域の遺伝学コミュニティーの構築
Dubai Health内のゲノムデータを一元化することで、研究用の変革的なリソースを確立し、グローバルな遺伝学研究に中東の国々の国民が十分に含まれていないという問題に対処します。このイニシアチブは、UK Biobankが提供するものと同等の機会をもたらし、ヒトの遺伝学に対する包括的かつ世界の国々の人々からのデータがより良く反映された洞察を取得するものとなります。
Abou Tayoun博士は、UAE、カタール、サウジアラビア、エジプト、イラン、およびトルコの各専門家とともに、Nature Geneticsに公開された説得力のある見解について共同執筆しました。この論文では、遺伝子発見のための自然研究室としての当該地域でのユニークな可能性を強調しつつ、包括的で網羅的な研究フレームワークを開発するための戦略的アプローチについて概説されています。著者らの協力的な取り組みは、当該地域の豊かな遺伝的多様性を解き放つことを目指しており、それによって個別化医療を推進し、ヒトの健康に対するグローバルな理解を深めています。
さらに、Abou Tayoun博士らは、研究者、臨床医、遺伝カウンセラー間の協力を促進するために、Middle East Society for Human Genetics(中東ヒト遺伝学会)を設立しており、地域と世界中の人々に利益をもたらす包括的でインパクトのある研究を推進することを目的に、地域固有の遺伝的多様性を活用することがその使命として掲げられています。
参考文献
1 Wellesley D, Dolk H, Boyd PA, et al. Rare chromosome abnormalities, prevalence and prenatal diagnosis rates from population-based congenital anomaly registers in Europe. Eur J Hum Genet. 2012;20(5):521-526.
2 American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening for fetal aneuploidy. Practice Bulletin No. 163. Obstet Gynecol. 2016; 127(5):e123-37
3 Dondorp W, De Wert G, Bombard Y et al: on behalf of the European Society of Human Genetics (ESHG) and the American Society of Human Genetics (ASHG): non-invasive prenatal testing for aneuploidy and beyond: challenges of responsible innovation in prenatal screening. Eur J Hum Genet; e-pub ahead of print 18 March 2015; doi:10.1038/ejhg.2015.57
4 Gregg AR, Skotko BG, Benkendorf JL, et al. Noninvasive prenatal screening for fetal aneuploidy, 2016 update: a position statement of the American College of Medical Genetics and Genomics. Genet Med. 2016;18(10):1056-1065. 6.
5 Benn P, Borrell A, Chiu R, et al. Position statement from the Chromosome Abnormality Screening Committee on behalf of the board of the International Society for Prenatal Diagnosis. Prenat Diagn. 2015;35(8):725-734.
6 Gregg AR, Gross SJ, Best RG, et al. ACMG statement on noninvasive prenatal screening for fetal aneuploidy. Genet Med. 2013;15(5):395-398.
7 Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Practice Bulletin No. 226. American College of Obstetricians and Gynecologists. Obstet Gynecol 2020(印刷前に公開)。
8 Hui L and Bianchi DW Fetal Fraction and noninvasive prenatal testing: What clinicians need to know. Prenat Diagn 2019; DOI: 10.1002/pd.5620


