2022年2月15日
「世界希少・難治性疾患の日」(Rare Disease Day、以下RDD) に先立ち、イルミナは世界の4つの希少疾患患者団体に注目しました。ASridは今月シリーズでご紹介する3番目の団体です 。
河越奏さんが通う小学校のクラスの子供たちは、初めて見るポラロイドカメラに興味津々でした。奏さんの母直美さんは次のように話してくれました。「スマートフォンのカメラで写真を撮られることに慣れている子供たちは、ポラロイドカメラから写真が出てくるのを目を輝かせて待っていました。子供たちのこの様子は、とても印象深い光景でした。」河越さんご家族は、希少疾患と共に生きる日常を写真に撮ってきてくれました。
直美さんの長男奏さんは、MECP2重複症候群を患っています。さまざまな症状を伴う神経発達障害で、治療法はまだありません。直美さんは、MECP2重複症候群の遺伝子治療に関する論文が発表されたことを知った日のことを、今でも忘れられないと言います。「その時までは、対症療法しかないと思っていました。息子がいつか完治するかもしれないと思うと、興奮と感激で胸がいっぱいになり、言葉では言い表せないほどの喜びを感じました。」
河越さんご家族は、東京を拠点とする非営利団体ASrid(Advocacy Service for Rare and Intractable Diseases(希少・難治性疾患分野におけるサービスの提供))に参加しています。2014年に設立されたASridは、希少疾患患者さんとご家族を、支援グループ、研究者、医療従事者などにつなげる橋渡しをしています。また、啓発活動やイベントの開催も行っています。
希少遺伝性疾患は6,000種類以上存在しますが、個々の希少疾患を集合的に捉えれば、一般的な病気であるとも言えます。遺伝性疾患の罹患者は世界中で約3億人に上り、そのうちの大部分は子供たちです。
2008年、74カ国における984の希少疾患患者団体を代表する非営利同盟、EURORDIS-Rare Diseases Europe(欧州希少疾患患者協議会)は、「希少疾患を抱える人々の社会的機会、医療、診断および治療へのアクセスの公平性実現」のために、RDDを制定しました。 RDDは毎年2月28日(うるう年では最も「希少」な日である2月29日)に開催されます。ASridは今年、日本国内で50件を超える公認RDDイベントを開催します。これは、これまでで最も多いイベント数です。
イルミナは、さまざまな団体に注目し支援するため、RDDをたたえてこの日を2月の1カ月間に延長しました。今年は、米国のSLC6A1 Connect、日本のASrid、ルーマニアのNoRo、南アフリカのRare Diseases South Africaに焦点を当てました。 イルミナの患者支援チームは、この4つの団体にポラロイドカメラを送り、希少疾患患者さんのご家族の日常を撮っていただくようお願いしました。4カ国のご家族から、逸話と共に数百枚もの写真を受け取りました。その一部をこのページでご紹介しています(他の写真も今月シリーズでご覧いただけます)。これらの写真を通じて、ご家族の日常における良いことも困難なこともお伝えできればと思います。河越直美さんは次のように語りました。「RDDは多様なつながりが生まれる日、世界が広がる日でもあるのです。」