TruSight Cardioパネルを用いた遺伝性循環器疾患の初期スクリーニングと病態解明

TruSight Cardioパネルを用いた遺伝性循環器疾患の初期スクリーニングと病態解明

愛媛大学医学部附属病院
循環器病センター 准教授
大木元 明義 様
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Q. TruSight Cardioを使いたいと思われたのはなぜですか?

遺伝性循環器疾患の1つである心筋症では拡張型心筋症と拡張相肥大型心筋症、左室緻密化障害、不整脈源性右室心筋症などの表現型がオーバーラップすることが少なくありません。また、それらの原因遺伝子もサルコメア構成蛋白をはじめ多数の遺伝子が報告され、さらに複数の原因遺伝子変異をもつと重症化することも報告されています。サンガー法による既知の変異を中心としたシーケンスでは、極めて効率が悪いため、MiSeqを用いた TruSight Cardio パネル解析(遺伝性循環器疾患17疾患,174遺伝子,0.572 Mb)を利用したいと思いました。

Q. TruSight Cardioの利点は何だと思われますか?

遺伝性循環器疾患の既知の候補原因遺伝子をほぼカバーできているため、第一段階としての遺伝子変異スクリーニングを容易にできることだと思います。また、原因遺伝子の検出(推定)と同時に他の循環器疾患の遺伝子も同時に解析できるため、それらの遺伝子変異・多型(rare variants)の表現型への影響も評価できる可能性があります。私はMiSeqの使用は初めてで、膨大なデータのフィルタリングに大きな不安がありましたが、無料で使用できる変異解析ソフト(VariantStudio)は初心者でも容易に使用することができました。また、イルミナ・サポートウェビナーでe-learningも利用できます。ユーザーのレベル(初心者・中級・上級)にあわせたタイトルがupされており、サポート体制もとても充実していると思います。

Q. 実際にTruSight Cardioで得られた結果はいかがでしたか?

初期24サンプルの解析結果は、カバレッジ(20x)が97.66%と満足のいく結果が得られました。 VariantStudioを使用して、アジア人1%未満でフィルターをかけると原因遺伝子の可能性がある8-3個の変異が抽出できています。 これらを即、原因遺伝子とは断定できませんが、初期スクリーニングまた病態解明のうえでたいへん有益な結果が得られていると思います。