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ダブリンからの洞察:より良好な患者転帰のための高精度腫瘍学の促進

ECP 2023では、イルミナは包括的ゲノムプロファイリングの価値とバイオマーカーの診療への取り込みに焦点を当てています

ダブリンからの洞察:より良好な患者転帰のための高精度腫瘍学の促進
The Illumina team and booth at ECP 2023 | Photo: Michael Rowland
2023年9月10日

9月9日~13日にアイルランドのダブリンで開催される第35回European Congress of Pathology(ECP)は、100ヶ国以上の病理学者が注目する中心地となり、この分野における最新の進歩のプラットフォームとして機能します。

イルミナは、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)の重要性と希少なバイオマーカーの日常的な臨床診療への導入に焦点を当てたシンポジウムを開催します。このシンポジウムでは、日常的な臨床診療におけるCGPの価値と、最適な患者ケアのための早期検査と治療の重要性を強調し、がん治療の道のりを追求します。CGPは、患者ケアに影響を与える可能性のある重要ながんのバイオマーカーなど、多数の遺伝子評価に単回検査を採用した次世代シーケンサーです。今年のシンポジウムの中心的な焦点である遺伝子融合をはじめ、さまざまな遺伝子変異に関する洞察を提供します。

ミュンヘン工科大学病理研究所の分子病理診断ユニット長であるDr. Nicole Pfarrは、広範囲パネルを持つ複雑なバイオマーカーの評価と報告に関するセミナーにおいて、患者のゲノムプロファイル中のがんのバイオマーカーの同定についての発表を行います。Pfarr氏と彼女のチームは、さまざまな分子腫瘍学会から入手した遺伝情報を管理する全国データベースの構築に携わっています。彼女は、すでに大学のデータベースに約1,500例の患者のデータを収蔵しており、他の分子腫瘍学会からさらに10,000~20,000件の記録を取り込むことができると述べています。この野心的な取り組みは、治療判断の指針となる大規模なデータセットとして機能することで、腫瘍学の分野に多大な影響を与えることを意図しています。

Pfarr氏の研究の重要な側面の1つに、特に、彼女のチームが高いHRDスコアを発見した膵臓がんや肉腫などの組織型に対する相同組換え修復欠損(HRD)検査があります。HRDの同定は、患者の治療戦略をカスタマイズする上で不可欠です。プラチナベースの化学療法薬に対する感受性は、患者がHRD検査を受けるべきかどうかを決定する上で極めて重要な役割を果たします。

ECPの開催前に、Pfarr氏に複雑なバイオマーカーの評価の課題についてインタビューしました。「どれがターゲットとして適しているか見分けるのは、常に非常に難しいことです」と、彼女は言います。「時に2つの変異や増幅があったり、BRCA変異があったりすることもあります。どれを最初にターゲットにすべきか決める必要があります」 2時間の分子腫瘍会議では、Pfarr氏は同業者と10~30例の症例について意見を交わします。

ドイツでは、医師は事前に多くの検査を実施していると、彼女は付け加えます。German Network for Personalized Medicineの一部門であるラボは、定期診断の一環としてエクソームシーケンスと全ゲノムシーケンスの実装を開始しようとしています。また、Pfarr氏はバリアントの発見と解釈に挑戦することを楽しみにしています。ECPでは、彼女は他の医療システムがどのように同様のデータ量やデータタイプを処理し、解析しているのか知りたいと考えています。

タスクは膨大かつ非常に重要なものですが、Pfarr氏は常に成功の見込みがあると考えています。彼女は、当初、余命数週間と告げられたポリメラーゼイプシロン変異がある患者のことを覚えています。患者の専門家チームは、患者の腫瘍変異負荷が非常に高いことを発見し、チェックポイント阻害剤を処方することができました。「数年後の現在、彼はまだ生きており、小さなお子さん達もいます」と、彼女は教えてくれました。「患者が標的治療を受けて非常に良い反応を示し、日々の生活が改善すること。それが私の活力となっています。患者さんの日々の生活を改善するために、まだまだ多くのことができると考えています」

ダブリンのECPから得られる洞察によって、腫瘍学の有望な未来を垣間見ることができるでしょう。その未来には、遺伝子情報が個別化治療における判断の中心的役割を果たし、医療従事者は良好な患者転帰の飽くなき追求によって突き動かされていることでしょう。