生殖医学

胎児の染色体異常を研究で詳しく調べる

科学トランスレーショナルメディシンで発表された論文

胎児の染色体異常を研究で詳しく調べる
2017年8月31日

8月30日にScience Translational Medicineに発表された新しい研究では、母体血漿セルフリーDNA(cfDNA)の全ゲノムシーケンス(WGS)を使用して、胎盤、胎児、または妊婦の染色体異常を特定するために24の染色体すべてを評価する方法を調べました。母体血液中の胎児DNAの遺伝子解析は現在、一般的な慣行となっていますが、標準的な臨床検査では、一般的に一般的な染色体状態である21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー、性染色体異数性のみをスクリーニングします。    

 共同筆者であるVictorian Clinical Genetics Services、Murdoch Childrens Research Instituteの生殖遺伝学部門長であるMark Pertile Ph.D.と、イルミナのNorthern California Services Laboratory(現GRAIL, Inc.)の正式なラボディレクターであるMeridh Halks-Miller, M.D.が率いるこの研究では、2つの臨床検査室からの患者データを解析しました。著者らは、標準的なアプローチでは貴重な情報を見落としている可能性があることを発見しました。チームは2つの独立したコホートから合計89,817のサンプルを調べました。両コホートにおいて、著者らは、ルーチン検査では報告されていないいくつかの種類の希少な常染色体トリソミーを発見し、それらが妊娠合併症のリスク増加と関連しており、臨床ケアとの関連性の可能性を示していることを示しました。

“すべての染色体のWGSデータを解析することで、胎児胎盤生物学の理解を深めるために希少な常染色体トリソミーを特定する方法を見つけることができると考えました。”とHalks-Miller氏は述べました。シーケンスデータから特定された希少なトリソミーは、流産、胎児発育不全、自然胎児死亡などの妊娠合併症に関連することがよくあることがわかりました。また、WGSアプローチでは、胎盤のみに影響を及ぼすまれなトリソミーを限定胎盤モザイクと称し、妊娠の正常な発達に深刻な問題をもたらす可能性もあることも特定できました。

研究結果の全文はこちらでご覧いただけます