全ゲノム関連解析

複雑な疾患と遺伝性疾患に関する研究

GWASとは何か

ハイスループットのゲノムテクノロジーを用いた全ゲノム関連解析(GWAS)では、多くの患者の全ゲノムを迅速にスキャンして、形質や疾患と相関する遺伝的バリアントを発見します。複雑な疾患の遺伝的構造を理解できるかどうかは、一塩基多型(SNP)やコピー数バリエーション(CNV)などの疾患関連バリアントの発見と特徴づけに大きく依存しています。

コモンバリアント発見のためのGWAS

コモンバリアント発見のためのGWAS

複雑な疾患はコモンバリアントによって特徴づけられることが多く、レアバリアントや低頻度のバリアントとの関連については、ほとんど解明されていません。マイクロアレイを使用した大規模GWASは、遺伝子座を同定し、疾患に関連するコモンSNPバリアントを補完するための効率的かつ費用対効果が高い手法です。しかし、アレイでは低頻度SNPバリアントの検出に限界があります。塩基単位の解像度で全ゲノムシーケンスすることにより、疾患に関連する可能性のあるコモンバリアントとレアバリアントの両方を同定できます。

GWASの利点

全ゲノム関連解析の利点

  • これまでの5万以上の形質および疾患との関連性の報告とともに、新たなバリアントと形質の関連性を同定1
  • 疾患の早期発見、予防、または治療に用いられるポリジェニックリスクスコアの開発、ならびに医薬品の開発、選定、投与など、臨床的に応用できる遺伝型情報
  • 容易に共有できるデータを生成し、大規模、多様性のあるサンプルセットの解析を促進
GWASの機会と遺伝性疾患

GWASは、まだ多くの疾患や障害に対して実施されているとはいえません。また、現在までのGWASの参加者は、その大半(79%)がヨーロッパ系です。ヨーロッパの人口は全世界の約16%に過ぎないので、より多様なGWASデータセットの必要性が認識されています2

人種、民族の多様性に加えて、特定のサブグループでの多様な適応症についてもGWASを実施する必要があります。これは、どの遺伝子および遺伝子パスウェイが疾患のメカニズムと病因に関与しているのかを探る手がかりとなります。

特定の複雑な疾患におけるバリアントの同定に成功

広く用いられているGWASのケース-コントロール法で、疾患のある集団(ケース)と健康な集団(コントロール)、2つの大きなグループを比較し、以下の複雑な疾患のバリアントを同定することに成功しました。

  • 2型糖尿病
  • パーキンソン病
  • クローン病
  • 各種の心疾患(冠状動脈、心房細動、心筋症など)
  • 各種のがん(乳がん、結腸がんなど)

バリアントから機能(Variant to Function)研究を理解する

バリアントから機能(Variant to Function)研究を理解する

バリアントから機能(Variant to Function=V2F)の研究では、疾患に対する遺伝子バリアントのマッピングに焦点を当て、新しいバイオマーカーを発見し、これらのバリアントが細胞プロセスにどのように影響するかを学び、さらに複雑な疾患の治療方法を変えるようなブレークスルーを目指します。この動画を見てV2F研究についてより詳しく知り、またハッシュタグ#V2FNowを使用してあなたの研究を共有し、他のV2F研究者と交流してください。

DNAバリアント
GWASを使用して複雑な遺伝的形質をマッピングする

研究者は、疾患に関連するDNAリスク遺伝子座を同定し、ポリジェニックリスクスコアを開発するため、大規模なGWAS研究に取り組んでいます。

インタビューを読む

NGSについて読むのは初めてですか?
GWASからNGSへ:小児の複雑な疾患の遺伝学

フィラデルフィア小児病院の教授たちは、NGSを使用して原因遺伝子のバリアントをマッピングする方法について検討しています。

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主なGWAS製品

Infinium Global Diversity Array-8 v1.0 Kit
Infinium Global Diversity Array-8 v1.0 Kit

The Global Diversity Array-8 (GDA) v1.0 BeadChip combines exceptional coverage of clinical research variants with optimized multi-ethnic, genome-wide content.

この製品について
Infinium Global Screening Array-24 Kit
Infinium Global Screening Array-24 Kit

The Infinium Global Screening Array-24 v3.0 BeadChip is a next-generation genotyping array for population-scale genetics, variant screening, pharmacogenomics studies, and precision medicine research.

この製品について
高度なシーケンスアプローチによって機能的な遺伝的バリアントの優先順位を付ける

全ゲノム関連解析により、様々な疾患において推定上の役割を有する数千のバリアントが同定されました。しかし、統計的な関連性から疾患メカニズムへの真の洞察に移行させることが引き続き課題となっています。最近のシーケンステクノロジーの進歩により、GWAS SNPを解析して潜在的な機能的関連性を割り出すための戦略が立てやすくなっています。

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バリアントから機能(Variant to Function)研究

関連手法

全ゲノムシーケンス

ゲノム全体の高解像度表示を取得します。

マイクロアレイ

遺伝子バリアントをあらゆる規模で解析し、幅広い応用に活用することができます。

SNPジェノタイピング

マイクロアレイおよびシーケンスを利用して、一塩基多型(SNP)およびバリアントを高い効率で検出する。

補足資料

ビギナー向けNGS

次世代シーケンシングの基礎を学ぶためにつくられたリソースを見つけてください。

ゲノミクス研究ハブ

イルミナサイエンティストによる最新のゲノミクス発見とデータ解析イノベーションを探求しましょう。

イルミナのリソースとツール

トレーニングから、実験計画、製品の購入など、開始に必要なもの全てを見つけてください。

参考文献
  1. Tam V, Patel N, Turcotte M, et al. Benefits and limitations of genome-wide association studies. Nat Reviews. 2019;20:467-484.
  2. Martin, A.R.. et al. Clinical use of current polygenic risk scores may exacerbate health disparities. Nature Genetics. 2019; 51: 584-591