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共催Webセミナー1
日時 2020年11月18日(水)~ 12月2日(水)
会場 オンライン開催(オンデマンド配信)
演者 慶應義塾大学医学部 小児科 武内 俊樹 先生
演題 全ゲノム解析による新生児未診断疾患患者へのアプローチ
要旨 遺伝子解析技術の進歩に伴い、新生児集中治療室に入室している重症新生児に対して、全ゲノム解析を中心に据えた網羅的遺伝子解析が、欧米の小児専門医療施設を中心に臨床応用されるようになってきている。従来の疾患パネル解析や全エキソーム解析に比べて、全ゲノム解析の長所は、調節領域やスプライス領域の変異などの構造異常も同時に解析ができる。従来複数の検査法を組み合わせていたものが全ゲノムによりカバーされるようになったことで、診断までの解析時間を大幅に短縮できると同時に、診断精度も向上してきている。わが国でも日本医療研究開発機構(AMED)の支援の下、「新生児集中治療室における精緻・迅速な遺伝子診断に関する研究開発」が2019年度から開始されている。新生児期早期に重症新生児の診断を行い、治療可能な神経代謝疾患をはじめとする遺伝的背景を持つ重症新生児に対して、速やかに診断確定し、結果をベッドサイドに還元することで、診療に役立てようとするものである。臨床遺伝専門医、新生児科医、小児神経科医等が連携して診療にあたり、遺伝的背景による疾患を持つと考えられる重症新生児に迅速な診断を提供することで、わが国の新生児医療がさらに向上することが期待されている。
共催Webセミナー2
日時 2020年11月18日(水)~ 12月2日(水)
会場 オンライン開催(オンデマンド配信)
演者 国立成育医療研究センター研究所 周産期病態研究部 秦 健一郎 先生
演題 周産期医療におけるゲノム解析:現状と今後の展望
要旨 周産期という特殊な環境下では、既知の遺伝性疾患であっても一見異なる症状を呈する可能性があるため、通常の診察や検査では原因不明あるいは確定診断が困難な症例が一定数存在すると考えられる。例えば、通常の生活では影響のない軽症の代謝疾患が顕在化することや、流産や胎児異常の原因が実は乳児期や小児期にみられる疾患の最重症型、ということがあり得る。
原因不明の症例に対しては、網羅的ゲノム解析によるアプローチが世界中で試みられており、本邦ではIRUD(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases、未診断疾患イニシアチブ)事業が挙げられる。本講演では特に、我々がIRUDで行った、胎児異常や新生児期に発症した症例に対する網羅的ゲノム解析の自験例も交えて供覧しながら、周産期領域におけるゲノム解析の実例と今後の展開について紹介する。
一方で、未診断疾患を、全エクソーム解析を中心とした手法で解析した場合、確定診断に至る割合はおよそ3~4割程度であることが、前述のIRUDや国内外の類似研究実績から知られている。今後はさらに、全ゲノム解析、ロングリードシークエンサーを用いた難読領域の解析、次世代シークエンサーを利用したエピゲノム解析、一細胞解析、マイクロバイオーム解析、等々も周産期医療への応用が期待され、これらかの技術的・科学的な展望も併せて紹介したい。
また、周産期特有の問題として、可能な限り低侵襲の検査を行うことが求められるため、微量の試料を用いて網羅的なゲノム解析を行う必要性がある。さらに、母体ゲノムの混入などの悪条件下で回収された検体を用いることも稀ではなく、成人の遺伝学的検査とは異なる工夫が求められる。これらに対しても様々な解析方法が提唱開発されており、一例として我々の研究成果である母体血中遊離核酸を用いた胎児遺伝子型の決定なども含め、その利点や限界を概説する。
 
日時
2020/11/18 – 2020/12/02
Location
オンライン開催(オンデマンド配信)
Japan
Asia
Topic
Complex disease genomics
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