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第61回日本肺癌学会学術集会 イベント開催レポート

 

第61回日本肺癌学会学術集会
イベント開催レポート

第61回日本肺癌学会学術集会 (2020年11/12-14) に、イルミナはランチョンセミナーで参加しました。12日のランチョンセミナーでは、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科学の豊岡 伸一先生に座長を務めていただき、岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター 血液・腫瘍内科の遠西 大輔先生にご登壇いただきました。

コロナ禍にもかかわらず会場は満席であり、キャンセル待ちの列が出来るほどの盛況でした。講演時間は50分で、遠西先生は 1. がんゲノム医療の現状と問題点、 2. 新たながん遺伝子パネル検査の紹介 を説明されました。

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当日の会場の様子
1. がんゲノム医療の現状と問題点

 岡山大学は中四国の36の病院と連携しており、1回のエキスパートパネルで最大30症例の結果について検討する事もあります。エキスパートパネルは、週に1度で1時間半のため、1症例の検討に費やす時間は3-5分程度になります。そのため、岡山大学ではエキスパートパネルの前日にプレエキスパートパネルを行い、1-2時間かけてしっかり予習を行っています。議論する点として、エビデンスレベルAやBでは議論する必要が無いのですが、エビデンスレベルが少ないDやEで、治験に進んで良いかが検討課題となり多くの時間をかけています。また、バイオインフォマティクス的観点として、レポートの変異結果だけでなく、機能性の確認 (例えば融合遺伝子がin-frameになっているか、など) を行う場合もあります。

続いて現在のがんゲノム医療の課題について以下を挙げられました。

  • 現在のがんゲノム医療/プロファイリング検査では、3か月後の予後が見込める事が条件となる。
  • 現在の薬剤到達度は10-20%程度しかない。
  • 薬剤が見つかった場合に、治療薬へのアクセスとして、①保険診療 ②治験 ③自費診療 ④患者申出療養 とあるが、②治験は大都市で行われる場合が多く地方ではアクセスが難しい ③自費診療は論文等で効果が強く期待できる場合に自費診療となるが、金銭的な負担が大きい、などの問題がある。

 

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岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター
遠西 大輔 先生
2. 新たながん遺伝子パネル検査の紹介

 そして低い薬剤到達度に関し、受け皿試験の拡大などに加え、現在のDNAのパネルだけで良いのか?遺伝子の数、種類、RNAの利用などパネルの見直しの時期に来ていると考えられました。例えば難治性がんの肉腫や脳腫瘍は、検査希望が多いにも関わらず多くの患者で従来のパネルでは変異を補足出来ていない(特に融合遺伝子)ため患者にとって有益な情報を得られていないと報告されました。
そこで、岡山大学は新しいパネル - DNA 523遺伝子、そして重要な点としてRNA 55遺伝子をカバーしているイルミナ社TruSight Oncology 500 (TSO 500) - による先進医療を開始します。

 TSO 500は、523遺伝子による検出遺伝子の拡大、微量インプット40ng DNA・RNAから可能、TMB, MSIスコアの10%精度向上、RNAキャプチャーによる融合遺伝子の新規検出可能、などの特徴があります。
また、既存パネルと比較し、

  • がんに関与するとされている(エビデンスレベル4以上の)遺伝子が約2割(108個)
  • 治験や先進医療、患者申出療養等を考慮する対象となる(エビデンスレベル3A以上の)遺伝子は全体の約1割(59個)
  • 当該がん種において臨床的有用性を示す結果が得られている(エビデンスレベル2A以上の)遺伝子は26個(5%)

などの利点が挙げられ、これらの該当遺伝子数は、2-3年後もっと増えると見込まれます。
これらの特徴を持つTSO500 を12月1日から先進医療Bとして開始し、拠点、連携病院と連携し、国内で解析する国内完結型マルチプレックスがん遺伝子パネル検査を実施することを示されました。

 

 これらの遠西先生のご発表に関し、フロアから実践的で詳細な質問がありました。例えば、CDx検査で陽性とレポートされたケースでも偽陽性の場合もあると想定している、実際に他の手法で確認したところ偽陽性だった症例があった、などが紹介されました。本セミナーは、現在のがんゲノム医療について活発的な意見交換の場にもなったと思います。

これらの岡山大学の新しい試みにより、現在のがんゲノム医療の課題に対しての改善が図られていくと思われます。