第18回日本臨床腫瘍学会(2021/2/18〜21)はオンラインで開催され、イルミナは2月20日のイブニングセミナーを共催しました。
国立がん研究センター先端医療開発センタートランスレーショナルインフォマティクス分野の土原一哉先生を座長、鳥取大学医学部附属病院呼吸器内科・膠原病内科学の阪本智宏先生を演者として迎えました。
本セミナーの冒頭に弊社技術営業の北野敦史より523遺伝子を対象とするTruSight Oncology 500(TSO500)ファミリー製品を紹介し、FFPEサンプルを対象とするTSO500の有用な特長を選択する投票アンケートを行った結果、「RNAからの融合遺伝子検出」は「微量検体から測定可能」、「遺伝子搭載数の多さ」より圧倒的な支持を集めて1位でした。
阪本先生は、「プレシジョン・オンコロジーの“True Sight”」というタイトルでご講演いただき、以下に先生のご発表内容をご紹介します。
肺がん領域では多くのドライバー遺伝子が見つかっており、遺伝子変異を標的とする薬が多く開発され、治療前に各種遺伝子変異が調べられるコンパニオン検査(CDx)も多く存在するのが特徴です。先生は呼吸器内科医の立場から、肺がん領域での異なる検査法のCDxが乱立していることを指摘し、治療前に多くの遺伝子変異を一回の検査で調べられるマルチプレックス検査の重要性を訴えました。
また、現在承認されているNGS法プロファイリング検査については、進行・再発固形がんの初回治療前に使えないこと、必要とする組織のDNA量が多く、気管支鏡検体のような生検検体では量が足りなく、検査できないケースが多いことも紹介されました。臨床医として、診断の段階で遺伝子検査に耐えうる組織を採取する努力が必要と提言しました。
一方、阪本先生がTSO 500発売前の評価に参加され、30例非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床残存検体を使ってNGS解析を行いました。検体の70%が気管支鏡生検検体だったにもかかわらず、DNA/RNA解析の成功率は83%、RNA解析の成功率は97%という好結果が得られました。臨床残存検体でもTMBとMSIが解析できる523遺伝子を対象とするラージNGSパネル検査ができ、臨床検査との一致率も高いことを紹介いただきました。
そして、最後に本学会でも注目されているLiquid biopsy検査について現状の課題と期待を述べ、がん診療はゲノム情報によって治療を選択する時代へと力強い言葉で締めくくられました。
本セミナーの開催は土曜夜にもかかわらず、約280名の視聴者がライブ配信に参加いただきました。がんゲノム医療におけるNGS遺伝子検査の重要性が増す中、がんゲノム医療の第一線で活躍されている臨床医のお話が聞けるセミナーになり、大変有意義でした。