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本ウェビナーでは、DNAメチル化解析を駆使して、がんをはじめとする疾患の予防・診断・治療につながる研究を牽引されている、国立がん研究センターの牛島俊和先生を講師にお迎えし、メチローム解析初心者の方、オミクス解析になじみのない方を対象に、弊社Infinium Mouse Methylation BeadChipを用いたマウスメチル化解析の実際を、分かりやすくステップバイステップで解説いただきます。

演者

国立がん研究センター研究所
エピゲノム解析分野
牛島 俊和 先生

1986年東京大学医学部卒。研修医、血液内科専門医を経た後、1989年から国立がん研究セター研究所。化学発がんの研究からエピゲノム研究へと発展させ、1997年に世界で最も早い時期のゲノム網羅的なDNAメチル化解析法を開発した。その後、慢性炎症に曝露した胃粘膜には既にDNAメチル化異常が蓄積していること、その量が胃がんリスクと相関することを発見し、胃がんのリスク診断としての実用化が迫っている。また、慢性炎症によるDNAメチル化異常誘発機構の解明を進め、悪いシグナルの組み合わせが重要であることを解明した。さらに、国際ヒトゲノムコンソーシアム科学委員(2011-)、CREST「疾患エピゲノム」副総括(2011-2019)、Cancer Research Senior Editor (2010-2017), Cancer Letters Associate Editor (2010-)。

ご講演要旨

エピゲノム修飾は各組織の細胞がその起源や環境応答を記憶・学習するための装置で、その異常はがん・免疫疾患・神経精神疾患など幅広い疾患に関与する。特に、DNAメチル化は安定なエピゲノム修飾であり、その解析を伴う生命・疾患研究は急激に増加している。しかし、ヒトでは材料採取がそもそも無理な場合や、介入や経時的採取が困難という問題があり、マウスを用いる場合が多い。これまでマウスでDNAメチル化をゲノム網羅的かつ定量的に解析できるマイクロアレイは存在しなかったが、Infinium methylationのマウス版が2020年に発売された。

我々は、慢性炎症によるDNAメチル化異常誘発の解析に用いた。Helicobacter pylori菌に感染した人の胃粘膜上皮ではDNAメチル化異常が広汎に誘発されるが、H. pylori菌に感染させたマウスの胃粘膜上皮でもDNAメチル化異常が広汎に誘発された。また、マウス胃粘膜から線維芽細胞を樹立し、ヒトでは採取困難な非感染個体由来の線維芽細胞と比較することで、胃粘膜の慢性炎症は上皮細胞のみならず線維芽細胞にもDNAメチル化異常を誘発していることが明らかになった。さらに、若年者と高齢者ではH. pylori菌に感染への反応が異なることが示唆されているが、幼少マウスと成体マウスを用いることで免疫応答、上皮と線維芽細胞での遺伝子発現とDNAメチル化変化など、総合的な解析が可能になった。

Infiniumマイクロアレイに用いるDNAのquality control (QC)、マイクロアレイ解析から得られた生シグナル値のidatファイルのGenomeStudioによるtxtファイルへの変換、マイクロアレイ解析結果のQC、assay design型式によりプローブ間のメチル化レベルの補正なども、ヒトInfiniumとほぼ同様に実施可能であった。プローブのゲノム上の位置、遺伝子との関係、CpGアイランドとの関係などのアノテーションも、ファイル形式がヒトとは異なるもののほぼ整っていた。ヒト同様にマイクロアレイの特徴を活かした簡単なデータ解析が可能で、今後、各分野での活用が期待される。

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日時
2021/08/24
3:00 PM - 4:00 PM
Location
Japan
Asia
Presenter
国立がん研究センター研究所
エピゲノム解析分野
牛島 俊和 先生
Topic
Microarray kits
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