次世代シーケンサーの力で感染症研究を変革

ハイスループット、スピード、そして精度で、感染症に関する新たな探索を一層進めましょう

感染症研究のためのNGSの活用

感染症は、世界中で罹患率や死亡率の主要な原因となっています。1次世代シーケンサー(NGS)などのハイスループットで培養を必要としない手法は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫によって引き起こされる感染症の研究や、これらが原因となる感染症流行・パンデミックの監視において、サイエンティストたちの新たなアプローチを切り開いています。2 従来のテクノロジーと比較して、NGSは病原体の特定、遺伝的変化の検出、新しいメカニズムや遺伝子の発見などを、より迅速かつ精密に行うことができます。3 イルミナは、感染症研究を推進するために、シングルゲノム、マルチ病原体、探索シーケンシングなどのNGS戦略を、最先端のソリューションとともに提供し、感染症研究の進展に貢献しています。  

Pipetting into 8 lane plate in wet lab, close-up

感染症研究のためのNGSワークフロー 

感染症研究のためのシーケンシングは複雑になりがちです。しかし、ご安心ください。NGSを活用したさまざまな手法が、ワークフローの効率や結果の最適化に貢献します。サンプルの要件に応じて、シングルゲノム、マルチ病原体、探索シーケンシングのワークフローを活用することで、微生物学研究や感染症研究のさまざまなアプリケーションに幅広いソリューションを活用できます。

シングルゲノムシーケンス 

シングルゲノムシーケンスは、単一の病原体や既知のターゲットをシーケンシングする場合に最適な方法です。このアプローチは、病原体の種、系統、および遺伝型に関する貴重なゲノム情報を得るために有効であることに加え、病原体の抗菌薬への反応についての予測に役立つ洞察を得ることができます。シングルゲノムシーケンスは、培養された分離株の全ゲノムシーケンスや、ターゲット化したアンプリコンシーケンシングによって行うことができます。各手法のアプリケーションに応じた使い方について、さらに詳しくご覧ください。

培養された分離株の微生物全ゲノムシーケンスを用いることにより、ゲノムをマッピングした上で微生物の特性を明らかにして同定を行ったり、既知の微生物を完全にアセンブリしたり、別々のサンプル間でゲノムを比較したりすることができます。この手法の詳細についてお読みください。

サイエンティストは、ターゲット化したアンプリコンシーケンシングを活用して、特定のゲノム領域における遺伝的バリエーションを解析し、微生物ゲノムと非微生物ゲノムを区別しています。その手法についてご紹介します。この手法は、シンプルなワークフローで正確かつターゲットに沿った結果を得ることができ、これによって研究者は薬剤耐性結核など、重要な微生物を効率的に同定し、特性を明らかにすることができます。 

マルチ病原体シーケンス

特定の病原体が存在している可能性が疑われる場合、ハイブリッドキャプチャーエンリッチメントは理想的なソリューションです。この方法により、非濃縮ライブラリーのショットガンシーケンシングに必要となる高度なリード深度を要することなく、複数の微生物のターゲット化したシーケンシングまたは全ゲノムシーケンスを行うことができます。以下で、ハイブリッドキャプチャーエンリッチメントを用いた具体例をご覧ください。 

ハイブリッドキャプチャーエンリッチメントでは、急性上気道感染症に関する網羅的かつ臨床的上有用な微生物プロファイルを明らかにすることができます。イルミナのExplify Platformを活用したハイブリッドキャプチャーにより、研究者は上気道微生物を迅速に同定し、その特性を明らかにすることができます。 ターゲット化した微生物シーケンシングについてさらに詳しくご紹介します。

精密メタゲノムは、複雑な尿路感染症(UTI)における病原体を調査するための効果的な検査法の開発に役立つ可能性を秘めています。この記事では、研究者たちがIllumina Urinary Pathogen ID/AMRパネルを活用し、NGSベースの手法で尿路病原体を同定する過程を紹介しています。

ディスカバリーシーケンシング 

ディスカバリーシーケンシングのワークフローは、一次サンプルに対して完全に偏りのない解析を目指す場合に有用です。16S rRNAシーケンシングやショットガンDNA/RNAシーケンシングを活用することで、喀痰や下気道吸引物などの一次サンプルを用いて複雑な微生物群集に存在する遺伝物質を解析することができます。実際の事例を参考に、ディスカバリーシーケンスが病原体の特性評価にどのように活用されているかをご覧ください。

培養陰性感染症における抗生物質の使用数を減らすために病原体を特定する上で最も有効だったのは16S rRNAシーケンシングであった、という事例をご紹介します。   

サイエンティストは、ショットガンメタゲノミクスシーケンシングが従来のサンガー16Sシーケンシングと比較して、より優れた細菌検出能を示す可能性があることを実証しています。本レポートでは、肝膿瘍の病因診断における微生物学研究の文書化に対するショットガンメタゲノミクスの貢献についてご紹介します。

感染症eBook

NGSが薬剤耐性結核(DR-TB)研究にどのように貢献しているかについてご紹介します。このeBookでは、DR-TBが世界に及ぼす影響を解説するとともに、WHOの結核撲滅の目標達成に向けたNGSの活用方法を詳しく説明しています。また、結核のゲノム調査や研究に適用可能なイルミナのターゲット化した全ゲノムシーケンスワークフローの概要も網羅しており、有益な一冊です。 

このeBookをダウンロードして、プレシジョンメタゲノムが、次世代シーケンサーのパワーを通じた病原体の迅速な検出や特性評価のために、いかに革新的なソリューションを提供しているかをご覧ください。 

イルミナは、微生物学と感染症の研究を強化するためのテクノロジーとサポートを提供します。このカタログでは、目的の微生物、サンプルタイプ、および最適化されたエンドツーエンドのソリューションで回答を得たい質問に基づいたNGSワークフローとソリューションの詳細を学びます。

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参考文献

  1. World Health Organization. Mortality and global health estimates. who.int/data/gho/data/themes/mortality-and-global-health-estimates. 2024年9月13日にアクセス。
  2.  Gwinn M, MacCannell D, Armstrong GL. Next-Generation Sequencing of Infectious PathogensJAMA. 2019;321(9):893–894. doi:10.1001/jama.2018.21669
  3. Liu, J., Zhang, Q., Dong, YQ. et al. Diagnostic accuracy of metagenomic next-generation sequencing in diagnosing infectious diseases: a meta-analysis. Sci Rep 2022; 12(1), doi: 10.1038/s41598-022-25314-y