次世代シーケンサー(NGS)は、ゲノムサーベイランスに革命をもたらし、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫によって引き起こされる、既知および新規の感染症を検出し、追跡することを可能にしました。このテクノロジーにより、遺伝子サーベイランスを用いて病原体を分子レベルで研究し、世界各地の集団における病原体の挙動や進化について洞察を引き出すことができます。
感染症のゲノムサーベイランスにはさまざまなNGSの手法が用いられており、それぞれに利点と課題があります。手法の選択は、目的の病原体、サンプルタイプ、およびデータ要件(複数可)によって異なります。イルミナは、各手法に対して高度なライブラリー調製、シーケンサー、データ解析のツールを提供しており、この分野の研究者にとって信頼できる選択となっています。
NGSによる病原体のゲノムサーベイランスは、病原体の検出において優れたスケーラビリティ、スピード、および精度を実現し、公衆衛生の保護に必要な信頼性を提供します。病原体検出のアプローチの選択は、シングルゲノムの解析、複数の病原体の検出、病原体の発見など、ラボの機能と検査要件によって異なります。
シングルゲノムシーケンスは、既知のターゲットを同定するための最適な方法です。病原体が培養プレート上の分離された微生物コロニーに由来するか、一次サンプルに由来するかに関係なく、単一の既知のゲノムのみが解析されます。
特定の病原体が存在すると疑われる場合や、一次サンプルから複数の既知の病原体をサーベイランスする場合には、ハイブリッドキャプチャー濃縮ソリューションが最適です。
これは、一次サンプルの偏りのない解析が必要な場合に有用なアプローチです。複雑な微生物群に存在する遺伝物質のショットガンDNA/RNAシーケンス(メタゲノムまたはメタトランスクリプトーム)解析は、予備知識なしに群集の種レベルの組成を明らかにすることができます。
正確なリファレンスゲノム、微生物の同定、比較ゲノム研究を生成するための、細菌、ウイルス、その他微生物のゲノム全体のシーケンス。NGSを活用することで、低頻度の変異やゲノム再編成を同定するためのマルチプレックスが可能になります。
既知のウイルスを検出して、完全に特徴づけることができます。アプリコンアプローチによる全ゲノムシーケンスは、ゲノムが小さい既知のウイルスに最適です。この方法により、PCRアンプリコンの超深度シーケンスにより、所期のゲノム領域を解析することができます。
コロナウイルス、インフルエンザウイルス、その他の病原体、および関連する薬剤耐性アリルを検出し、その特性を解析します。これらの洞察は、公衆衛生当局が感染拡大をモニターし、感染制御戦略を最適化するのに役立ちます。この方法により、ターゲット特異的なプローブとのハイブリダイゼーションを介して、所期のゲノム領域を捕捉することができます。
特定のサンプルに含まれるすべての微生物を包括的にシーケンスし、サル痘(Mpox)ウイルスなどの新規または新興病原体を同定することができます。このNGS法は、感染拡大調査を迅速化し、新しいラボ検査の開発を支援する上で、役立つ可能性があります。
検査要件 | 分離菌株の全ゲノムシーケンス | アンプリコン | ハイブリッドキャプチャー | ショットガンメタゲノミクス |
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スピードとターンアラウンドタイム | ||||
スケーラビリティと費用対効果 | ||||
カルチャーフリー | ||||
新型病原体の同定 | ||||
伝播の追跡 | ||||
変異の検出 | ||||
複数感染や複合疾患の特定 | ||||
薬剤耐性の検出 |
ラボの検査ニーズを十分に満たします
ラボの検査ニーズを部分的に満たします
お客様の次回のワークフローからは、当て推量を排除します。NGSワークフローファインダーは、自信を持ってシーケンスができるように、パーソナライズされたソリューションの推奨事項とリソースを提供します。
今すぐお客様にぴったりのNGSワークフローを見つけましょう下水シーケンスを利用した、コミュニティ内のSARS-CoV-2バリアントおよびその他の呼吸器系ウイルスのサーベイランス方法について学習します。
アプリケーションノートを読むCOVIDSeq AssayとCOVIDSeq テストは、アンプリコンベースの次世代シーケンサー(NGS)アッセイで、公衆衛生研究所がSARS-CoV-2の新規株を同定するのに役立ちます。
iSeq 100 システムは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術のスピードと手頃な価格、およびSequence by Synthesis(SBS)化学の精度を活用しています。
Illumina Respiratory Virus Enrichmentキットは、SARS-CoV-2やインフルエンザA/Bウイルスを含む、40を超える重要な呼吸器系ウイルスの全ゲノム次世代シーケンサー(NGS)データを取得できます。
NGSはコロナウイルスの新規株を偏りなく同定することができます。イルミナでは、効率的なシーケンスニーズの要求に応えるために、SARS-CoV-2コロナウイルス変異の迅速な検出を行っています。
結核の検出、特性評価、解析のためのNGSベースの統合型ソリューションについてご覧ください。
廃水サーベイランスは、廃水に含まれる病原体を検出・同定し、特性評価を行う方法です。この方法では、地域レベルでの感染拡大やその他の脅威を監視するためのデータが得られます。
NGSにより、ラボやクリニックは、超並列ワークフローを使用して、前例のないスピードとスケーラビリティでゲノム医療関連感染(HAI)関連の研究を実施できます。
NGSは、早期発見、感染拡大対応、臨床研究の分野における抗菌薬耐性の研究にも貢献しています。その詳細をご紹介します。
ヨハネスブルグの南アフリカ結核センター国立伝染病研究所の科学リーダーであるShaheed Vally Omar氏は、次世代シーケンスが自国におけるMDR-TBの検出と追跡に役立つと考えています。
CERIの創設者であり、ステレンボッシュ大学とKwaZulu-Natal校の教授であるTulio de Oliveira教授が、公衆衛生ツールとしての病原体ゲノムサーベイランスの使用とその将来について語ります。
Dr. Camilla Rodriguesは、インドのムンバイにある民間の非営利病院であるP. D. Hinduja Hospital & Medical Research Centreで結核と闘っています。薬剤耐性結核の脅威の高まりに関する博士の考えと、すべての患者に治療を提供するという博士のビジョンについてお読みください。
Mpoxウイルスに対するアンプリコンベースのシーケンス(PrimalSeq)アプローチについてお読みください。メタゲノムシーケンスと比較して、低ウイルス濃度のサンプルでゲノムカバレッジの深さと範囲が改善されました。
サイエンティストがゲノムデータやフィロゲノミクスデータを使用して、どのように2022年のMpoxウイルス株の感染拡大の進化の軌跡や、ヒトの適応のメカニズムやターゲットの可能性に関する洞察を得たかをご覧ください。
この論文では、サイエンティストが廃水シーケンスによる疫学的サーベイランスをどのように実行したか、そして、特定のウイルス株を追跡する能力について説明しています。
イルミナのサイエンティストが、人口全体の株の 1% 未満である新興のSARS-CoV-2株を検出するために必要なサンプリングを評価するモデルをどのように開発したかをご覧ください。
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