次世代シーケンス(NGS)テクノロジーとqPCRテクノロジーとを比較した場合、重要な違いは検出力です。いずれも高い感度で確実なバリアント検出が可能ですが、qPCRでは既知の配列しか検出できません。その一方で、NGSは配列情報に関する事前知識が不要な仮説フリーのアプローチです。NGSは、新規遺伝子を検出できるより高い発見力とレアバリアントや希少な転写産物を定量できるより高い感度を備えています。
NGSテクノロジーとqPCRテクノロジーには、拡張性とスループットの点でも違いがあります。qPCRはターゲット数が低い場合に効果的ですが、ターゲット数が増えるとワークフローが煩雑になります。NGSは多数のターゲットやサンプルの解析に向いています。1回のNGS実験で、一塩基単位の解像度で何千ものターゲット領域においてバリアントを特定できます。
それぞれの方法の利点と制約を調べ、ご自分のニーズに合う方法を見つけてください。
qRT-PCRは数種類の遺伝子の発現を定量するのに役立ちますが、既知の配列しか検出できません。一方、NGSを用いるRNAシーケンス(RNA-Seq)では既知の転写産物も新規の転写産物も検出できます。RNA-Seqには事前に設計されたプローブが不要であるため、データセットにはバイアスがなく、仮説フリーの実験デザインが可能になります。
遺伝子発現プロファイリングなどのリードカウント法の場合、NGSのデジタル性によりほぼ制限のないダイナミックレンジが得られます。RNA-Seqではリファレンスシーケンスとアライメントした個々のシーケンスリードを定量するため、相対的ではなく絶対的な発現値が得られます。この幅広いダイナミックレンジにより、最小10%までの発現のわずかな変化を検出することができます。RNA-Seqでは、遺伝子発現の定量だけでなく新規の転写産物、選択的スプライシングアイソフォーム、スプライス部位、small RNA、またノンコーディングRNAも特定できます。1,2
qRT-PCRからRNA-Seqに切り替えることで、Bosiljka Tasic博士はこれまで発見されなかったマーカーを特定することができました。
NGSを選ぶかqPCRを選ぶかは、サンプル数、ターゲット領域に含まれる全シーケンス量、予算状況、そして研究の目標などの複数の要素に左右されます。一般的にqPCRはターゲット領域数が少ない場合(20ターゲット以下)や研究の目的が既知のバリアントのスクリーニングや同定に限定される場合に適しています。それ以外の場合は、NGSの方がニーズに適している可能性が高いでしょう。複数のサンプルにおいて複数の遺伝子を同時にシーケンスできるターゲットNGS法では、従来の反復法と比べて時間とリソースを節約できます。また、NGSは発見力がより高いため、新規バリアントの検出も可能です。
qPCRやその他の従来の方法と比較して、ターゲットNGSがどのように洞察の獲得、時間の節約、結果に対する信頼性の向上において役立つか、こちらからご覧ください。
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ターゲットリシーケンスでは、遺伝子のサブセットまたは遺伝子領域を単離してシーケンスするため、ラボのリソースを節約できます。ターゲットリシーケンスの詳細はこちら
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