日本人類遺伝学会第62回大会
イベント開催レポート

今年の日本人類遺伝学会大会(11/15~18@神戸)は、「Genome Science, Precision Medicine and Beyond」をテーマに2,000名以上の参加者を集め、盛会裏に終了しました。イルミナは、企業展示とランチョンセミナーに出展しました。

 

信州大学特任教授、福嶋 義光 先生を座長にお迎えし、神奈川県立こども医療センター 遺伝科の黒澤 健司 先生に「県立病院における次世代シーケンスの経験」という演題でご講演いただきました。

神奈川県立こども医療センターでは、2012年より MiSeq システムを導入し、年間200例の解析を実施しています。そのご経験の中で得られた、未診断疾患の診断率を上げるための様々な工夫についてご紹介くださいました。情報の共有とチームでのディスカッションを重視したカンファレンス、リファレンスデータベースの継続的な更新、NGS法とマイクロアレイ法との併用など、見落としを可能な限り減らして常に改善を続けることにより、神奈川県の小児医療に貢献されています。

NGSでの解析に関しては、ベンチトップシーケンサーで複数症例の解析が可能であり、且つ疾患関連領域を広くカバーできるパネルの利用が望ましく、神奈川県立こども医療センターでは疾患に関与する4,800以上の遺伝子をターゲットとした TruSight One シーケンスパネルを活用して来られました。今年、従来のTruSight One にさらに1900遺伝子を追加した TruSight One Expanded シーケンスパネルがリリースされ、従来品との比較結果についても言及されました。従来では、歌舞伎症候群などのいくつかの症例において、原因遺伝子領域のリード数が不十分で解析できなかったのに対し、新しいパネルでは問題なく同領域を解析することができたことを示されました。全体の平均カバレッジは新旧同等であるのに対し、新しいパネルはカバレッジの均一性が改善されており、抜け漏れのより少ない解析が今後期待されます。

神奈川県立こども医療センター 遺伝科
黒澤 健司 先生

会場は200名を超える聴衆が集まり、立ち見も出るなど本講演に対する高い関心がうかがわれました。

企業展示ブースでは、ヒトゲノム解析にお役立ていただける新製品の情報をご紹介しました。またNGS販売開始10周年記念Tシャツが当たる抽選会、オリジナルパッケージの入浴剤プレゼントなどのイベントを実施し、多くのお客様にお立ち寄りいただきました。