セルフリーDNAとは、細胞死の自然なプロセスで血流へ放出されるDNAの短い断片です。妊娠中、母親の血液中には、母親自身の組織と胎盤を介して胎児両方からのセルフリーDNA(cfDNA)が含まれています。母体血における全cfDNAの約2~20%は胎盤由来です。1,2胎盤から得られるcfDNAは妊娠7週以降検出でき、分娩後数時間内に検出不能となります。2
非侵襲的出生前検査(NIPT)では、母体血サンプルからのcfDNAを解析し、胎児に共通する染色体状態を検査します。
胎児から得られたサンプルにおける総セルフリーDNA(cfDNA)の割合を胎児DNA断片量といい、胎児の異数性を検出するNIPTの能力に影響する場合があります。さまざまなcfDNA NIPT技術を検討する際は、胎児DNA断片量がどのように使用され、検査結果にどのように影響するかを理解することが重要です。
マイクロアレイやターゲットシーケンスに基づくcfDNA NIPT技術では、最小の胎児DNA断片量のカットオフを採用しています。サンプルの胎児DNA断片量がこのしきい値を下回る場合は、結果(検査失敗)はレポートされません。厳格な胎児DNA断片量カットオフにより検査失敗率が高くなり、再検査になる場合もあります。
さらに、検査機関では検査の実施に関連する費用が発生したにもかかわらず、検査結果が得られなかった場合、払い戻しを受けられないことがよくあります。
全ゲノムシーケンスに基づく技術は、厳密な胎児DNA断片量のカットオフに代わる動的なしきい値を採用することができます。このアプローチでは、低い胎児DNA断片量のサンプルでも報告できますが、十分なシーケンスデータがある場合のみ、信頼性の高い結果が得られます。目的は、cfDNA NIPT失敗率を最小化すると同時に、精確な結果を得ることです。イルミナのVeriSeq NIPT Solution*は、iFACTという動的なしきい値の検査メトリクスを提供しています。
* 臨床検査用。地域ごとの入手可能なコンポーネントについては、イルミナ担当者にお問い合わせください。
セルフリーDNAスクリーニング検査の適用範囲を、より多くの女性や、より広い条件に拡大することで、出生前スクリーニング検査環境は変化してきています。それにより、検査の対象とすべき人や、適用の理由、誰が検査を実施すべきか、そして、どのように実施すべきかについて、疑問が提起されてきています。
多様なシステムからのセルフリーDNAスクリーニング検査を実施している2人のユーザーが、それぞれの体験についてリラックスした会話をする炉辺談話を主催しました。
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