6月1日(水)初夏を感じる空の下、イルミナゲノムサミット2016を開催いたしました。2回目となった今回320名を超えるお客様にご参加いただき、テーマの「ゲノム情報活用で変わる未来」がまさに実現に向かっていることが実感できる盛況な会となりました。
基調講演
ゲノム情報で未来を変えようとしているお二人の先生に、分野の異なるそれぞれの挑戦についてご講演いただきました。
今年4月に代表取締役社長に就任した豊原よりご挨拶差し上げました。製薬業界での経験を踏まえ、ゲノム情報を活用することで薬剤の使用や副作用を減らすことができれば、患者様にとって有益な情報を提供することにつながると述べ、クリニカルシーケンスの実現に向けて積極的に取り組む意向を示しました。日本におけるさらなるゲノム情報活用について期待を寄せると共に、今後もお客様にお役立て頂ける製品、サービスの提供に努めて参ることを改めて皆様と共有いたしました。
これまでに取り組まれた数々の研究を、ユーモラスを交えてご紹介いただきました。イルミナがどんな会社かと尋ねられれば、30億塩基の膨大なゲノム情報をシュレッダーのように細かく吐き出してくる機械を売っている会社だと表現され、会場を笑いに包みました。宮野先生のお仕事は、その膨大な破片から、重要な情報を見つけ出す作業であり、そのデータ解析のプロジェクトマネージメントのご苦労をご紹介されました。東大ヒトゲノム解析センターのスパコンや京コンピューター、IBM Watsonなど、あらゆる最先端の解析環境を駆使して難題に挑む一方で、その莫大な電気代や冷房代など、経験されなければ分からない盲点を指摘されました。それらの制約を克服しながら、がんの臨床シーケンスデータから、これまで明らかになっていなかったがんの要因をいくつも解き明かしていった数々の功績は、多くの患者様の苦悩に真摯に向き合う研究者の姿を映し出しており、講演を終えられた後の会場からは称賛の拍手が送られました。
石油を原料とした素材に代わる、クモ糸タンパク質を利用した未来素材開発への挑戦に成功した事例を紹介いただきました。クモ糸は、人工素材にはない、伸縮性と力強さ(タフネス)を兼ね備えており、アパレル分野のみならず、カーボンファイバーの代用で建築や移動手段、化学素材の代用で医療など、幅広い応用の可能性が拡がります。世界を飛び回ってクモを捕獲し、クモ糸を構成する難しい配列の遺伝子を片っ端から解読するフローを確立。若き挑戦者はこれらのゲノム情報から情報配列情報と物性のデータベースを構築することで、ゲノム情報から理想的な素材を生み出す手法を確立したのです。ゲノム情報を産業分野へ応用する斬新な切り口に、会場の参加者の知的好奇心は否応にもかき立てられ、荒川先生への熱心な質問が飛び交いました。
ブレークアウトセッション
ゲノム情報の活用で医療や産業にどのような変化をもたらす可能性が拓けているのかに焦点を当て、4つのテーマに分けたブレークアウトセッションが行われました。
10社のパートナー企業様より、受託解析サービス、NGS関連製品、解析ソフトウェア、自動化装置などを展示いただき、ご参加の皆様にゲノム情報の活用にかかわる様々なサービス・製品を紹介いたしました。イルミナの展示では、今年1月に販売を開始した少ないサンプル数にも対応したコスト効率性が良く、導入しやすい価格のMiniSeqシステムをはじめ、MiSeqシステム、NextSeqシステム、NeoPrepライブラリー調製システムを紹介しました。休憩時間を利用して各社のサービスの説明を聞かれたり、製品を実際に体験したりする参加者が多くみられました。展示会場に設置した保守・アプリケーション窓口は、研究についてお話しを聞かせていただける貴重な場所となりました。
セッション終了後に開催された情報交換会では、6つの分野ごとにテーブルを設置しご興味のあるテーブルに集まっていただきました。お食事とお飲物を手に各テーブルで活発な会話が見受けられ、参加者の方のネットワークを広げる機会になっていたように感じます。最後まで多くの方にご参加いただき、ゲノム情報の活用についてお話しできる良い機会となりました。