日本水産学会
創立85周年記念国際シンポジウム
イベント開催レポート

世界では、ゲノム情報を養殖での親魚の選抜、回遊魚のトラッキング、環境/生物多様性モニタリングなど、様々な目的で応用する取り組みが始まっており、「アクアゲノミクス」という言葉が誕生しています。今年の日本水産学会(9/22~24@品川)では、「アクアゲノミクス」をキーワードとして、世界の最新事例を紹介するランチョンセミナーを開催しました。展示ブースではNGSによる環境DNA分析に焦点を当て、ベンチトップシーケンサーを用いたアプリケーションをご紹介しました。

 

Illumina, Inc.市場開発担当のCindy Taylor Lawley, PhDが、『Sequencing and array-based methods for resolving genomic inquiry in aquagenomics』というタイトルで講演いたしました。

 ゲノム情報は、養殖魚の選抜、漁業/海洋学、環境モニタリングなど、様々な水産分野で利用されています。水産学で扱われる生物には、リピートリッチ、多倍体など複雑なゲノムを持つものが多く、リファレンスゲノムの整備も困難です。イルミナは最近、「合成ロングリード技術」を持つ企業との共同マーケティングを開始し、高精度リファレンスゲノムを完成できるソリューションを提供しています。また、RAD-Seq、GRAS-Diといった低コストなGBS手法も登場しており、多くの種でゲノム情報を利用できる状況が整いつつあります。

 メタゲノム解析も水産学で大変有用なアプローチです。広大な海洋での生物種の同定は、膨大な時間と労働力が必要になるため、判断は時に主観や経験に依存しがちです。環境水を採取し、濾過して得られたサンプルから環境DNAを抽出してNGSでメタゲノム解析を行えば、短時間で多サンプルを調査でき、客観的に生物種を同定できます。

 最後に、大規模ジェノタイピングに有用な最新のマイクロアレイ製品をご紹介しました。低コストカスタムアレイInfinium XTの他、東南アジアで利用されているバナメイエビ用のカタログアレイなど、世界の多くのプロジェクトでジェノタイピングアレイが用いられています。

当日の発表資料をこちらからダウンロードしてご覧いただけます。
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Cindy Taylor Lawley, PhD
Sr. Manager, Global Market Development, Illumina, Inc.

 

 

当日ブースでは、MiniSeqシステム を展示し、ベンチトップ次世代シーケンサーによるジェノタイピングやメタゲノム解析などのアプリケーションをご紹介しました。中でも、環境DNA分析による魚種の判定やプランクトンの同定は多くの皆様の関心を集めました。

「水や土壌に含まれる環境DNAから生物種と存在量を推定」のチラシを見る