NGSによるゲノミクスサーベイランスによって、感染症の伝播の追跡やコロナウイルスおよびその他の新興病原体における新規変異株の同定ができます。病原体ゲノムのほぼ完全なシーケンスデータが得られるため、さらなる伝播や感染を防止する効果的な感染症サーベイランス戦略を取り入れられます。
次世代シーケンサー(NGS)による感染症サーベイランスでできることは以下のとおりです。
ゲノミクスサーベイランスは、公衆衛生当局による疫学的経路の追跡、感染経路の理解、接触者の追跡、病原体の進化の速度予測、診断や治療の効果に影響を与えうるような変化を病原体が起こしているかどうかの把握に役立ちます。
NGSは、感染症サーベイランスにおいて有用なテクノロジーです。PCRと異なり、コロナウイルスの変異株の割合を追跡できるだけでなく、コロナウイルスの新規変異の同定も可能です。サイエンティストはNGSにより、サンプル内における低頻度のマイナーバリアント、複数の多型、さらに新規変異を検出できます。
コロナウイルスに変異が生じると、B.1.1.7(英国で確認)、B.1.351(南アフリカで確認)、B.1.426(米国カリフォルニア州で確認)などの新規変異株が出現します。変異によって伝播性や感染性が強まるおそれがあるため、サーベイランスとモニタリングが必要不可欠です。こうしたコロナウイルスの変異は、ワクチンの効果や防御力の低下、さらに診断検査のすり抜けを引き起こすことも考えられます。
疫学者はNGSによるゲノムワイド系統タイピングを使用して、変異の迅速な同定と特性解析を実施することにより、さらなる感染拡大を防げます。系統レベルの追跡は、感染拡大のクラスターや感染経路の同定に役立ちます。
これに対し、PCRは病原体ゲノムの特定領域が存在しているかどうかを検出するためのものであり、急速に進化する病原体ゲノム全体の新しい変異を同定することはできません。さらに、変異がプライマーやプローブの結合領域で発生するとPCR性能は低下します。
感染症およびコロナウイルスの変異の影響に関する第一人者のCharles Chiu医師が、52分31秒からウイルスバリアントについて説明します。これらのバリアントには、英国で急増しているB.1.1.7変異株、南アフリカで最初に報告され、現行ワクチンの効果に影響するおそれのある変異を有するB.1.351変異株が含まれます。
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DRAGEN COVIDSeq Test アプリ (RUO)
DRAGEN COVID Lineage アプリ (RUO)
NovaSeq 6000システムの試薬キットは、クラスター形成およびSBSのための、すぐに使えるカートリッジベースの試薬です。
フレキシブルなNextSeq 550システムは、ハイスループットシーケンスとアレイスキャンとの間のシームレスな移行を実現します。
革新的なベンチトップ型シーケンサーでは、現在と将来のさまざまなアプリケーションで、さらに高効率で制約の少ない新たなサイエンスを探求することができます。
新規または新興感染症の最高75%が動物由来感染症であると推定されています。1,2現在、病原体の感染拡大において、動物由来感染症の保有宿主が重要な意味を持つことがわかっています。NGSを用いて、コウモリなどの保有宿主である動物のスクリーニングを行うことで、病原体となるウイルスの感染拡大の予測や防止が可能です。
NGSに基づくターゲット濃縮やメタゲノミクスによる感染症サーベイランスは、種間での伝播や、動物由来感染症が出現したり、感染が拡大したり、一般的な治療に耐性を持つようになったりする仕組みの理解に役立ち、感染拡大のさらなる抑制、対処、防止を可能にします。
ターゲット濃縮シーケンスはスケールアップによる動物由来感染症の病原体のモニタリングが可能で、メタゲノミクスによるゲノミクスサーベイランスは培養を必要とせず幅広い病原体を偏りなく検出および同定できます。メタゲノミクスは、感染症を制御する手段を構築する際に重要な、ヒトの微生物叢と病原体との相互作用を理解するうえでも役立ちます。
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ターゲット濃縮病原体は食品からヒトへ広がるため、微生物の全ゲノムシーケンスにより、病原体の遺伝子バリアントに関するあらゆる情報を得ることができます。把握できるバリアントが多いほど、感染源や感染経路が見つかる確度が高まります。
ターゲット濃縮は、ハイブリダイゼーションによって目的のゲノム領域をキャプチャーします。この手法では、ウイルスの検出に必要な高い感度が実現し、ウイルスの疫学的特性と進化に関する情報を得られます。
これらのパネルは、COVID-19やインフルエンザなどの呼吸器病原体および呼吸器系ウイルスを検出し、特性を解析するターゲット濃縮シーケンスソリューションを可能にします。
ショットガンメタゲノミクスでは、新規種と既知種のどちらについても、動物由来感染症サンプル中の微生物群すべてのDNAをシーケンスすることができます。シーケンスリードを使用して、AMR遺伝子の出現や進化や伝播、あるいは種の分布の把握が可能です。
NGSに基づく細菌ゲノムシーケンスと使いやすいbioMérieuxソフトウェアの組み合わせにより、包括的な単離識別と特性解析が可能です。
NGSを使用して、コロナウイルスの新規変異株などの病原体を予備知識なしで同定できます。
ウイルスシーケンスの検出および同定、COVID-19の宿主応答の調査、共有データベースへの知見の提供を行うソフトウェアツールです。
宿主遺伝子のバリエーションを解析し、免疫応答を引き起こす分子メカニズムを調査する手法です。