TruSight Oncology 500臨床研究ソリューション

がん研究を不確実性から洞察へ

臨床研究のために、組織またはリキッドバイオプシーから包括的なゲノムプロファイリングを実現

(画像説明)女性サイエンティストがピペットを用いてチューブに試薬を分注する様子。ラボベンチにはTruSight Oncology ctDNA v2 Enrichmentライブラリー調製キットのボックスが2つ置かれ、NovaSeq Xの消耗品とともに配置されている。背景には、2人のサイエンティストとNovaSeq Xシステムがぼんやりと映っている。

高精度腫瘍学研究を支える3つのアッセイ

TruSight Oncology 500製品ラインは、汎がん(Pan-Cancer)に対応した次世代シーケンサー(NGS)アッセイを提供し、施設内で包括的ゲノムプロファイリング(CGP)を実施できるようにします。主要なガイドラインや臨床試験で推奨されるバイオマーカーを同定し、単一の統合アッセイで検出可能です。従来の反復検査と比較して、より少ないサンプルでより多くの結果を得ることができます。 

TruSight Oncology 500製品

TruSight Oncology 500

すべての主要なバリアントクラスとFFPE組織からの遺伝子シグネチャ(TMB、MSIおよびHRD)をカバーする大規模な腫瘍横断型パネルでCGPを実現します。

TruSight Oncology 500 High Throughput

すべての主要なバリアントクラスとFFPE組織からの遺伝子シグネチャ(TMB、MSI)をカバーする大規模な腫瘍横断型パネルでCGPを実現し、スケーラビリティを強化します。

TruSight Oncology 500 ctDNA v2

主要な免疫腫瘍学遺伝子シグネチャ(TMB、MSI)に加えて、血漿中のctDNAからすべての主要なバリアントクラスを検出できる腫瘍横断型パネルでCGPを可能にします。

主な特長とメリット

包括的

TMB、MSI、HRD*などの幅広いゲノムシグネチャーを含む500超の種類もの汎がん(Pan-Cancer)バイオマーカーを、一度のマルチプレックスアッセイで評価可能です。従来の逐次検査を行うことなく、関連する変異を特定できる可能性を高めます。

柔軟性

FFPEサンプルやリキッドバイオプシー由来の微量な血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を使用することで、組織サンプルを用いた研究を補い、十分な組織サンプルが得られない場合でも解析を可能にします。

信頼性

ロバストなハイブリッドキャプチャーケミストリー、実績のあるSBSシーケンス、高度なバイオインフォマティクスにより、製品ポートフォリオ全体で一貫した高品質を実現します。

ラボ内での運用

ラボで高精度腫瘍学を実施することで、サンプルロスを最小限に抑え、ターンアラウンドタイムを管理し、品質を監視するとともに、新たな発見に応じてデータを再解析できる環境を維持できます。

タイムリー

統合型のライブラリー調製、シーケンス、およびバイオインフォマティクスオプションを活用し、ローカルまたはクラウド環境で解析を行い、5日未満で結果を取得できます。

スケーラブル

自動化オプションにより、ハンズオンタイムを短縮し、エラーを最小限に抑えます。TruSight OncologyおよびTruSight Oncology High-Throughputでは、1回のランで8~192サンプルをシーケンス可能です。TruSight Oncology 500 ctDNAでは、1回のランで8~48サンプルをシーケンス可能です。

主要なバイオマーカー

TruSight Oncology 500コンテンツには、複数のがんタイプに関連するDNAおよびRNAバリアントaが含まれます。

Pan-cancer(汎がん):BRAFNTRK1NTRK2NTRK3RETMSITMB

重要なバイオマーカーを持つ遺伝子b 潜在的に重要なバイオマーカーを持つ
遺伝子c
  乳房 BRCA1 BRCA2 ERBB2d ESR1 PALB2 PIK3CA 180
  結腸 ERBB2d KRAS NRAS       166
  骨 EGFR ERG ETV1 ETV4 EWSR1 FEV 140
FLI1 FUS H3F3A HEY1 IGH1 MDM2
ERBB2d NCOA2 SMARCB1      
  肺 ALKd EGFR ERBB2d KRAS METd NUTM1c 223
ROS1d          
  黒色腫 KIT NRAS ROS1c       172
  卵巣 BRCA1 BRCA2 FOXL2       149
  CNSe APC ATRX CDKN2A CDKN2B EGFR H3F3A 140
HIST1H3B HIST1H3C IDH1 IDH2 MYCN PTCH1
RELA TERT TP53      
  前立腺 AR ATM BARD1 BRCA1 BRCA2 BRIP1 151
CDK12 CHEK1 CHEK2 FANCL FGFR2 FGFR3
PALB2 RAD51B RAD51C RAD51D RAD54L  
  甲状腺 HRAS KRAS NRAS RET TERT   165
   子宮 & 子宮頸部 BRCA2 EPC1 ERBB2c ESR1 FOXO1 GREB1 138
JAZF1 NCOA2 NCOA3 NUTM2A NUTM2B PAX3
PAX7 PHF1 POLE SMARCA4 SUZ12 TP53
YWHAE          
  その他の固形腫瘍 ALK APC ARID1A ASPSCR1 ATF1 ATIC 152
BAP1 BCOR BRCA1 BRCA2 CAMTA1 CARS
CCNB2 CDK4 CDKN2A CIC CITED2 CLTC
COL1A1 COL6A3 CREB1 CREB3L1 CREB3L2 CSF1
CTNNB1 DDIT3 DDX3X DNAJB1 DUX4 EED
EGFR ERBB2d ERG ETV1 ETV4 ETV6
EWSR1 FEV FGFR2 FGFR3 FLI1 FOXL2
FOXO1 FOXO4 FUS GLI1 HEY1 HGF
HMGA2 IDH1 KRAS LEUTX MAML3 MDM2
MYB MYOD1 NAB2 NCOA2 NF1 NFATC2
NFIB NR4A3 NRAS NUTMI NUTM2A NUTM2B
PALB2 PATZ1 PAX3 PAX7 PDGFB PDGFRA
PRKACA PRKD1 RANBP2 ROS1 SDHA SDHB
SDHC SDHD SMARCB1 SS18 SSX1 SSX2
SSX4 STAT6 SUZ12 TAF15 TCF12 TERT
TFE3 TFEB TFG TP53 TPM3 TPM4
TRAF7 TSPAN31 VGLL2 WT1 WWTR1 YAP1
YWHAE ZC3H7B        

この表に記載されている遺伝子とバイオマーカーは、パネルに含まれるすべての遺伝子のサブセットです。遺伝子リストをすべて確認するには、各製品ページの製品資料セクションの製品データシートをご覧ください。

  1. RNAバリアントは、TruSight Oncology 500およびTruSight Oncology 500 High-Throughputの組織ベースアッセイにのみ含まれています。
  2. 現在の医薬品ラベルまたはガイドラインにリンクされた重要なバイオマーカーを持つ遺伝子。
  3. 臨床試験での存在に基づく潜在的に重要なバイオマーカーを持つ遺伝子。
  4. 小規模DNAバリアントのみ。
  5. CNS、中枢神経系。

製品比較

  TruSight Oncology 500 TruSight Oncology 500 High Throughput TruSight Oncology 500 ctDNA
アッセイ時間 サンプルから結果まで4~5日 サンプルから結果まで4~5日 精製された核酸からバリアントレポートまで3〜4日
自動化に対応 リキッドハンドリングロボット リキッドハンドリングロボット リキッドハンドリングロボット
自動化の詳細 利用可能な自動化方法を見る 利用可能な自動化方法を見る 利用可能な自動化方法を見る
がん種 汎がん、固形腫瘍 汎がん、固形腫瘍 汎がん、固形腫瘍
コンテンツ仕様 523の遺伝子からのDNAおよび55の遺伝子からのRNAのターゲットシーケンス、合計1.94 Mbのパネルサイズ。MSIおよびTMB測定を含みます。オプションのTruSight Oncology 500 HRDキット(日本ではご利用いただけません)には、Myriad Geneticsによる包括的ゲノム不安定性スコア(LOH+TAI+LST)により相同組換え欠損を評価するための、約25,000のSNPが含まれます。 523の対象遺伝子からのDNAおよび55の遺伝子からのRNAのターゲットシーケンス、合計1.94Mbのパネルサイズ。MSIおよびTMB測定を含みます。 合計1.94 Mbのパネルサイズに対する523遺伝子(完全コード配列)をターゲットとして選択。
  • 免疫腫瘍バイオマーカーのカバレッジ:TMBおよびMSI
  • ガイドラインの適用範囲:複数の固形腫瘍タイプに関する主要ガイドラインを幅広く網羅
  • 臨床試験のカバレッジ:600件を超える臨床試験(2023年2月現在、Velseraナレッジベースに基づく)
説明 FFPE組織からの包括的ゲノムプロファイリングを可能にし、NextSeq 550システムまたはNextSeq 550Dx システム(研究(RUO)モード)で実行し、一度に最大8サンプルをバッチ処理できるアッセイ。 NextSeq 1000、NextSeq 2000、NovaSeq 6000、NovaSeq 6000Dxシステム(研究(RUO)モード)、あるいはNovaSeq Xシリーズを使用した合理化されたワークフローから、ガイドラインおよび1,000件超もの臨床試験における主要なバイオマーカーを同定するためのハイスループットの包括的なNGSアッセイ。免疫腫瘍学バイオマーカーのTMBおよびMSIのカバレッジが含まれます。 液体生検サンプル(血漿からのctDNA)の包括的ゲノムプロファイリングにより、非侵襲的な研究方法を実現します。この液体生検アプローチは、組織ベースのCGPを補完する低侵襲性サンプル収集アプローチを使用して、腫瘍内および腫瘍間の不均一性に関する洞察を提供します。
ハンズオンタイム 自動ワークフロー約2.5時間。
手動ワークフロー約10.5時間。
自動ワークフロー約2.5時間。
手動ワークフロー約10.5時間。
自動ワークフロー約1.5時間。
手動ワークフロー約2.5時間。
インプット量 DNA 40 ngおよび/またはRNA 40 ng DNA 40 ngおよび/またはRNA 40~80 ng cfDNA 20 ng(血漿4 ml)
装置 NextSeq 550 System研究モードのNextSeq 550Dx NextSeq 2000システムNextSeq 1000システムNovaSeq XシステムNovaSeq X Plusシステム研究モードのNovaSeq 6000DxNovaSeq 6000システム NovaSeq Xシステム、 NovaSeq X PlusシステムNovaSeq 6000システム研究モードのNovaSeq 6000Dx
方法 ターゲットエンリッチメントターゲットDNAシーケンスターゲットRNAシーケンス ターゲットエンリッチメントターゲットDNAシーケンスターゲットRNAシーケンス ターゲットエンリッチメントターゲットDNAシーケンス
マルチプレックス 最大8プレックス

NextSeq 1000および2000:P2フローセル8サンプル、P3フローセル24サンプル、P4フローセル36サンプル
NovaSeq 6000/Dx:SPフローセル16サンプル、S1フローセル32サンプル、S2フローセル72サンプル、S4フローセル192サンプル。

NovaSeq Xシリーズ*: 1.5Bカートリッジ32サンプル、10Bカートリッジ192サンプル、25B480サンプル。

NovaSeq Xシリーズ:1.5Bフローセル4サンプル、10Bフローセル24サンプル NovaSeq 6000システム:S2フローセル8サンプル、S4フローセル24サンプル、最大192インデックス
核酸の種類 DNA RNA DNA RNA DNA
サンプルスループット 8サンプル/ラン NextSeq 1000および2000:8~36サンプル/ラン、NovaSeq 6000/Dx:16~192サンプル/ラン、NovaSeq X:32~480サンプル/ラン、NovaSeq X Plus:32~960サンプル/ラン 4~48サンプル/ラン
特殊なサンプルタイプ ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織 ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織 血中循環腫瘍DNA、血液
生物種カテゴリー ヒト ヒト ヒト
テクノロジー シーケンス シーケンス シーケンス
バリアントクラス 遺伝子融合、転写バリアント、1塩基変異(SNV)、挿入-欠失(indel)、コピー数バリアント(CNV)、ヘテロ接合性欠失(LOH)、体細胞バリアント、新規転写、一塩基多型(SNP)、構造多型 遺伝子融合、体細胞バリアント、新規転写産物、構造多型、転写産物バリアント、1塩基変異(SNV)、挿入-欠失(indel)、コピー数バリアント(CNV) 1塩基変異(SNV)、挿入-欠失(indel)、コピー数バリアント(CNV)

よくある質問

TruSight Oncology 500、TruSight Oncology 500 HT、およびTruSight Oncology 500 ctDNAは、DNAおよびRNAバリアントを含む523種類のがん関連遺伝子を対象としています。(RNAバリアントは、TruSight Oncology 500およびTruSight Oncology 500 High-Throughput組織ベースアッセイにのみ含まれています。) 対象遺伝子は、複数の固形腫瘍タイプにわたるガイドライン、医薬品ラベル、臨床試験との整合性に基づいて選定されています。詳細および全遺伝子リストについては、TruSight Oncology 500およびTruSight Oncology 500 HT、ならびにTruSight Oncology 500 ctDNAデータシートをご参照ください。 

HRDとは、細胞が相同組換え修復(HRR)パスウェイを使用して二本鎖DNA切断を修復できない状態を示すゲノムシグネチャーです。HRRパスウェイが障害されると、これらの切断は修復されないか、修復された場合でも代替パスウェイで行われるため、ゲノムに不安定性が生じ、腫瘍形成につながる可能性があります。2 TruSight Oncology 500 HRDはTruSight Oncology 500のアドオンであり、ゲノムの不安定性(GIS)のアセスメントを行うことにより、卵巣がん、乳がん、膵臓がん、前立腺がんに関連する腫瘍から得られるデータを解き明かすのに役立ちます。3

TruSight Oncology 500 ctDNA v2には、TruSight Oncology 500 HTと同様のコンテンツが含まれていますが、遺伝子融合の解析はDNA由来のみで行われ、対象となる遺伝子数は23種類です(組織アッセイでは55種類)。さらに、TruSight Oncology 500 ctDNA v2にはHRDアセスメントが含まれていません。

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リソース

サムネール

Oncopole ToulouseのTruSight Oncology 500 HRD

相同組換え修復欠損(HRD)は卵巣がんにおける重要なバイオマーカーです。フランスのOncopole ToulouseラボのGiillaume Bataillon博士が、TSO 500 HRDアッセイの性能について語ります。

お問い合わせ

TruSight Oncology 500製品ラインの詳細をお知りになりたい場合や、ニーズにあったアッセイを見つけたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

*HRDは、ゲノム不安定性スコア(GIS)のアセスメントを行うための付属品キットで入手できます。HRDは、TruSight Oncology 500 HRDキットをTruSight Oncology 500に追加した場合にのみ利用できます。日本ではご利用いただけません。 
TruSight Oncology 500:1ランあたり8サンプル、TruSight Oncology 500 HRD:1ランあたり8~16サンプル、TruSight Oncology 500 High-Throughput:1ランあたり16~192サンプル。

 

注釈

  1. Pierian Knowledgebase v8.5(2023年2月)によって提供されているコンテンツ解析。
  2. O'Connor MJ. Targeting the DNA Damage Response in Cancer. Mol Cell. 2015;60(4):547-560. doi:10.1016/j.molcel.2015.10.040 
  3. Yamamoto H, Hirasawa A. Homologous recombination deficiencies and hereditary tumors. Int J Mol Sci. 2021;23(1):348. doi:10.3390/ijms23010348