RNA-Seqデータ解析

生物学者向けに設計された、利用しやすく使いやすいRNAシーケンスソフトウェアツール

RNA-Seqデータの直感的な解析

これまではバイオインフォマティクス専門家の領域とされてきたRNAシーケンス(RNA-Seq)データ解析が、より手軽に利用できるようになりました。イルミナは、生物学者向けに設計された直感的なユーザーインターフェースから、ボタン操作で実行できるRNA-Seqソフトウェアソリューションを提供しています。

こうした使いやすいツールにより、遺伝子発現解析からトータルRNA発現プロファイリングまで、幅広い次世代シーケンサー(NGS)研究をサポートします。

Close up clip of the back of two female scientists discussing results on the monitor of a NextSeq 1000/2000 sequencer, one woman explaining while the other nods.

代表的なRNA-Seqデータ解析アプリケーション

イルミナのRNA-Seqデータ解析ソリューションは、差次的遺伝子発現、トランスクリプトームプロファイリングなど、幅広いアプリケーションに対応し、生物学者が遺伝子発現研究の発見力を最大限に引き出せるよう支援します。一般的なRNA-Seqデータ解析アプリケーションをご覧ください。

転写産物の定量

転写産物の定量あるいは遺伝子発現プロファイリングは、広く用いられているRNA-Seq解析アプリケーションの1つです。定量化ツールは、シーケンスリードをリファレンスゲノムにアラインし、サンプル、条件、または細胞タイプにわたる転写産物の発現レベルを算出します。これらの発現プロファイルは、バイオマーカーの発見、パスウェイエンリッチメント、発現差異など、さらなる解析の基盤として広く活用されています。

遺伝子発現差解析

二次解析では、差次的遺伝子発現解析により、遺伝子またはRNA転写産物群におけるノーマライズされたリードカウントデータの差を測定し、実験グループ間の発現レベルの変化を定量化します。このデータは、表現型情報や機能的ゲノミクスからの生物学的知見、さらにはその他のデータソースと組み合わせることで、二次解析結果のより広範な影響を理解するのに役立ちます。

遺伝子融合のコール

転座、欠失、または染色体逆位の結果として形成されるハイブリッド遺伝子を同定します。これらのハイブリッド遺伝子の同定により、ゲノムの不安定性に関する洞察が得られるとともに、特にがんの疾患メカニズムにおいて、これらの遺伝子が果たす役割への理解が深まります。1

RNA-Seqデータの解析:主な検討事項とソリューション

ラボとサンプルの管理から洞察の創出に至るまで、インフォマティクスワークフロー全体を通じて研究者を支援する、使いやすい統合型の遺伝子発現および制御データ解析ソリューションをご紹介します。

イルミナのツールを用いたRNA-Seqデータ解析の利点

RNA-Seqデータは、イルミナのクラウドコンピューティングプラットフォームであるIllumina Connected AnalyticsまたはBaseSpace Sequence Hubを用いて、迅速かつ安全に転送、保存、解析することができます。いずれののプラットフォームでも、クラウド上でDRAGEN二次解析にアクセスでき、RNA-Seqやその他のNGSデータを高精度かつ超高速で解析可能です。 

DRAGEN二次解析は、ロスレスゲノムデータ圧縮により、データの完全性を維持したままデータストレージ使用量を最大5分の1まで削減します。さらに、Illumina Connected Multiomicsは、RNA-Seqおよびマルチオミクスデータの使いやすい解析と可視化を提供し、DRAGEN二次解析や一部のサードパーティプラットフォームからの入力ファイルにも対応することで、高い柔軟性を実現します。詳細はこちらをご覧ください:

DRAGEN二次解析

Illumina Connected Analytics

BaseSpace Sequence Hub

Illumina Connected Multiomics

イルミナのRNA-Seq解析ツール:

  • バイオインフォマティクスの経験の有無にかかわらずご利用可能です
  • イルミナおよび拡大を続けるサードパーティーアプリのエコシステムによって開発・最適化された、専門家向けのRNA-Seqソフトウェアツールを取りそろえています
  • 遺伝子発現の定量化から、新規転写の検出、コーディング領域の1塩基多型(cSNP)、融合遺伝子まで、トランスクリプトーム研究の主要なアプリケーションに対応するよう設計されています
  • ヒト、マウス、ラットのRNA-Seq解析に適しています(アプリによっては、他の生物種にも対応)
  • イルミナのすべてのシーケンスシステムと互換性があります

主なRNA-Seq解析ソフトウェア

RNA-Seq解析のパイプラインが頻繁に引用されていることからも分かるように、これらのソフトウェアツールおよびアプリは、幅広いトランスクリプトームデータ解析のニーズに対応しています。

一般的なRNAシーケンス手法のためのソフトウェアツール

RNA-Seqデータの解析方法

RNA-Seq実験で得られたデータの解析および解釈の方法については、こちらのリソースおよび技術的なヒントをご参照ください。

サムネール

シーケンスデータ解析のご紹介

本シーケンスデータ解析入門ビデオでは、実験デザイン、RNA-Seqデータ解析、バリアントコーリング、de novoアセンブルについてのイルミナ専門家チームの解説を通じて、バイオインフォマティクス解析における重要な概念を学ぶことができます。

バルクRNA-Seq解析の効率化

Matteo Luberti(Sr. Bioinformatics Applications Scientist、イルミナ)が、バルクRNA-Seq解析プロセスのはじめから終わりまで解説する本ウェビナーでは、シンプルなポイント&クリック操作で各解析ステップを実行する方法をご紹介します。

サムネール

Illumina Connected Multiomicsによる空間データ解析

Illumina Connected Multiomicsを用いた空間データ解析のエンドツーエンドの流れについて、イルミナの技術専門家が解説します。

サムネール

シングルセルトランスクリプトミクスデータの解析方法

Illumina Connected Multiomicsの特徴に加え、シングルセルトランスクリプトミクスデータを解析し、生物学的洞察の可能性を解き放つステップについて、イルミナの専門家が解説します。

RNA-Seqデータの解釈

データ解析後は、結果をCorrelation Engineに送信して機能アノテーションを行い、遺伝子発現変化の生物学的影響を理解することが可能です。本オミクス研究データベースと一連のツールには、数千に及ぶ公開研究からのデータセットが含まれており、生物学的解釈を支援します。キュレーションおよび正規化された情報は、組織、疾患、化合物、遺伝子の摂動ごとの関連性を定義する際に役立ち、データにさらなる価値をもたらします。

Correlation Engineの主なアプリケーションには、RNA-Seq研究からの差分遺伝子発現データと疾患との関連付けや、相関遺伝子およびmiRNAターゲットの可視化などがあります。

マルチオミクス研究において、Illumina Connected Multiomicsは、トランスクリプトミクス、エピジェネティクス、その他のオミクスデータの解釈と可視化のための、強力でスケーラブルな解析環境を提供します。本ソフトウェアは、シングルセルRNA-Seq、空間トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メチル化データなどを統合します。詳細はこちら:

Correlation Engine

Illumina Connected Multiomics

生物学的背景の提供

遺伝子の発現上昇や抑制、遺伝子機能、薬剤活性、その他のメカニズムの解明において、ピッツバーグ大学の研究者がCorrelation Engineをどのように活用し、論文や助成金申請のために、研究成果を背景と関連付けて解釈するのに役立てているかをご覧ください。

Profile view of a female scientist looking at a screen and typing on a keyboard of a laptop; located in a lab office with printed reports on the table, a microscope, another scientist, and other monitors blurry in the background.

コアラボでメッセンジャーRNA(mRNA)Seqデータの解析に活用されているBaseSpace Sequence Hub

ブリティッシュコロンビア大学School of Biomedical Engineering(SBME)Sequencing Core(旧BRC-Seq)では、データの解析と共有にBaseSpace Sequence Hubを使用しています。同大学での研究では、トランスクリプトームに対するさまざまな実験的処理の影響を評価する際に、メッセンジャーRNA(mRNA)シーケンスデータの解析が必要となることが多くあります。BaseSpaceワークフローは、ラボでのサンプルの追跡を可能にし、クオリティの高いシーケンスデータを顧客に提供するのに役立ちます。

一般的なワークフローのためのRNA-Seqデータの例

サンプルデータセットの閲覧

BaseSpace Sequence Hubでは、さまざまなRNA-Seq手法に対応したサンプルデータセットを確認できるほか、BaseSpaceアプリを試用し、結果をインタラクティブに評価することが可能です。

BaseSpace Sequence Hubへのアクセスや特定のデータセットの閲覧には、ログインが必要ですのでご注意ください。

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BaseSpace Sequence Hubでデモデータを表示

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RNA-Seqデータ解析FAQ

RNA-Seqデータ解析の主な目的は、差次的遺伝子発現と共制御遺伝子を同定し、生シーケンスリードを生物学的洞察に変換することです。RNA-Seq研究に一般的に使用される材料の供給源には、選別細胞、全組織ホモジネート、およびin vitroで培養された細胞が含まれます。

RNA-Seqは、トランスクリプトームの定量的かつゲノムワイドなビューを提供するので重要です。データ解析は、生のシーケンスデータを実用的な生物学的洞察に結び付け、研究者が組織、状態、治療全体で遺伝子発現がどのように変化するかを理解できるようにします。2

RNA-Seq、ライブラリー調製キット、インプット量、データ品質の推奨事項の詳細については、RNAシーケンスページをご覧いただくか、「RNAシーケンスのご紹介」ウェビナーをご覧ください。

RNA-Seqデータ解析におけるいくつかの重要なステップは、生のRNA-Seqリードが生物学的洞察に変換されることを確実にするために一般的に使用されます。例えば、発現差のある遺伝子の同定などです。

RNA-Seqデータ解析の主なステップは以下のとおりです。

  1. 品質管理とリードクリーニング:FastQCなどのツールを使用して、アダプターのコンタミネーション、リード品質、低品質リードの除去などのシーケンスの問題がないか、生リードを評価します。
  2. リードアライメントおよび定量化:DRAGEN二次解析ソフトウェアおよびその他の関連ツールにより、リードをリファレンスゲノムまたはトランスクリプトームにマッピングし、遺伝子またはトランスクリプトの発現を定量化します。
  3. データ前処理と正規化:サンプル間で遺伝子発現を比較できるよう、ライブラリーサイズを考慮し、バイアスを補正するためにカウントを正規化します。
  4. 発現差異(DE)解析および下流解析:サンプルまたは条件間で発現に統計的に有意な差がある遺伝子を特定し、経路の濃縮と可視化を通して生物学的洞察を解釈します。3

品質管理とトリミングは、RNA-Seq前処理の重要なステップです。品質管理(QC)はシーケンスエラーなどの問題がないか未処理のリードをチェックし、トリミングによって低品質の塩基やアダプターシーケンスを除去します。これらのステップは、最終的にリードアライメントの精度と信頼性の高いダウンストリーム解析の向上に役立ちます。4

Illumina DRAGEN Single Cell RNAアプリは、機能(リードアライメント、転写物カウント、出力メトリクス、およびセルバイ遺伝子マトリックス解析メトリクス)の点で10X Genomics Cell Rangerパイプラインに似ています。両方のパイプラインからのアウトプットは、下流解析のためにIllumina Connected Multiomicsにロードできます。Cell Rangerは10X Genomicsデータ専用です。DRAGEN Single Cell RNAアプリは複数のアッセイをサポートできますが、Illumina Single Cell 3′ RNA prep kit用に最適化されたパラメーターがあります。

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参考文献

  1. An S, Koh HH, Chang ES, et al. Unearthing novel fusions as therapeutic targets in solid tumors using targeted RNA sequencing. Front Oncol. 2022;12:892918. 2022年8月10日発行。doi:10.3389/fonc.2022.892918
  2. Koch CM, Chiu SF, Akbarpour M, et al. A Beginner's Guide to Analysis of RNA Sequencing Data. Am J Respir Cell Mol Biol. 2018;59(2):145-157. doi:10.1165/rcmb.2017-0430TR
  3. Deshpande D, Chhugani K, Chang Y, et al. RNA-seq data science: From raw data to effective interpretation. Front Genet. 2023;14:997383. 2023年3月13日発行。 doi:10.3389/fgene.2023.997383
  4. Sheng Q, Vickers K, Zhao S, et al. Multi-perspective quality control of Illumina RNA sequencing data analysis. Brief Funct Genomics. 2017;16(4):194-204. doi:10.1093/bfgp/elw035