CRISPR-Cas9技術は、基礎研究、臨床研究、薬物療法、創薬、農業、および環境の分野で応用されていることが分かっています。臨床研究では、がん、AIDS、ハンチントン病、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの疾患においてCRISPRを利用できる可能性が示されています。
CRISPRゲノム編集により、研究者は遺伝子改変細胞株や動物モデルを迅速かつ精確に作製することができます。遺伝子ノックアウトの作製や特異性の高い改変の他にも、研究者はCRISPR技術によりゲノム配列を変化させずに阻害(CRISPRi)や活性化(CRISPRa)を介して遺伝子発現を調節することができます(表)。
CRISPRゲノム編集実験からは細胞集団が混じり合ったものが得られ、その中の小さなサブセットのみで目的の編集がされています。研究者は、どの細胞に目的のCRISPRノックアウトや標的変異があるのかを判断する必要があります。編集を評価する現行の手法には、切断アッセイ、PCR、サンガー法、およびNGSなどがあります(表)。
NGSは、全ての種類の改変にわたり高解像度で定性的情報も定量的情報も得ることができ、あらゆるスループットのニーズに対応でき、オフターゲット効果のモニタリングにも使用できる唯一の方法です。7 NGSを用いるターゲットシーケンスは、改変の標的領域に注目することでCRISPRによる編集を確認できるコスト効率の高いソリューションです。
ターゲットシーケンスの詳細はこちらCRISP/Cas9技術の実施を成功させるには、目的のターゲット以外の部位における意図しない改変であるオフターゲット効果を特定し、低減するストラテジーなどが必要となります。ゲノム編集実験では、RNAの特異性を評価し、オフターゲット部位を予測する計算法が広く使用されています。
オンラインツールやウェブベースのアルゴリズムが公開されています(表)。ただし、予測アルゴリズムでは見逃されるおそれのあるオフターゲット部位を発見するには、NGSによる全ゲノムシーケンス(WGS)などの全ゲノム解析が必要です。8
WGSの詳細はこちらCRISPR改変後に細胞集団をスクリーニングして、何千もの個々の細胞において同時に多数の遺伝子の遺伝子制御の影響を判定
トランスクリプトーム全体または遺伝子/遺伝子ファミリーの発現に対する変異の影響を評価
DNAとタンパク質の結合に対する変異の影響を判定
メチル化状態およびクロマチンリモデリングに対する変異の下流影響を調査
Illumina, Inc.の社長兼CEOであるFrancis deSouzaが、Aspen Ideas: コロラド州の健康は、医療全体におけるゲノミクスの影響と、より多くの人々にその利益をより迅速に提供することの緊急性について聴衆を教育します。
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