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難病の個別化医療の実現に向けて

横浜市立大学大学院 医学研究科 眼科学 助教
竹内 正樹 先生

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難病の個別化医療の実現に向けて

免疫関連領域の高効率ファインマッピングにより難病の発症メカニズムを解明

Q1. ベーチェット病とはどのような疾患ですか?

ベーチェット病は厚生労働省の特定疾患(難病)の一つであり、原因不明の全身性炎症性疾患です。日本における患者は約2万人と言われています(平成26年度医療受給者証保持者数)1。発症に地理的特徴があり、地中海沿岸トルコ、中近東、中央アジア、韓国、日本などで多く見られることから、シルクロード病とも呼ばれています。我々のグループは、アメリカ、トルコの研究グループらと共同で、Infinium ImmunoArray-24 を用いた詳細な遺伝子解析を実施し、遺伝要因と発症メカニズムを解明しました2

Q2. 過去に解明できなかった遺伝要因と発症メカニズムが、今回の研究で明らかにできた理由は何ですか?

Infinium ImmunoArray-24は全ゲノムGWAS用アレイよりも低コストであるため、過去最大規模のサンプル数で解析ができたこと、免疫関連領域にターゲットを絞った効果的な設計であるため、過去のGWAS用アレイではカバーできていなかった座位がカバーできていることなどが考えられます。

Q3. 今回の研究では、日本人とトルコ人、イラン人のメタ解析を実施されています。人種をまたぐ遺伝的解析にはどのような利点がありますか?

メタ解析ではサンプル数を増やすことが可能になるため、どのような疾患においても有効なアプローチです。ベーチェット病の場合は人種集団ごとに表現型が異なるため、人種間で見られた遺伝子の違いが表現型の違いにどのようにつながるのか、また何が人種を超えて共通している遺伝要因なのかを調べることができます。今回3つの人種集団の比較ができたことは非常に有意義だと考えています。

Q4. 今回の成果は、ベーチェット病のような難病でも、遺伝要因から適切な治療を選択する個別化医療の実現につながるのでしょうか?

患者さんの遺伝情報を基にした疾患の予後予測、治療薬の選択、さらには新規治療の開発を目指して日々、研究を続けています。現在の用いられているTNF阻害剤は炎症をブロードに抑えるため、感染症を引き起こしてしまうこともあります。また、効果が不十分な人や投与時反応によって使えない人などもいます。今回の研究を含め、近年ベーチェット病発症に必要な経路が分かってきました。今後、患者さんの遺伝情報に応じて標的分子を決定し、より効果の高く、副作用の少ない個別化医療の実現につなげていきたいです。