Customer Interview

日本と東南アジアにおける遺伝子検査のカスタマイズ

成功を収めた企業が、顧客であるアジア人集団の遺伝的特徴に合わせた一般消費者向け遺伝子検査を開発

日本と東南アジアにおける遺伝子検査のカスタマイズ

日本と東南アジアにおける遺伝子検査のカスタマイズ

はじめに

2004年に創立されたジェネシスヘルスケア株式会社(Genesis Healthcare Co.)は、日本で遺伝子検査を最初に実施した企業の1つであり、今では東南アジア全体で人びとの暮らしに大きな影響を与えることをミッションとするマーケットリーダーになっています。

ジェネシスヘルスケアの最高マーケティング責任者兼アジア担当ゼネラルマネージャーであるMichel Mommejat氏が、「人びとが将来の疾患を予測したり予防したりできるとしたら、多くの問題を回避する役に立つでしょう。」と話します。ジェネシスヘルスケアでは、幅広い遺伝子検査サービスの提供を通して人びとがそのような知識を得られるようにしています。同社が提供しているサービスには、GeneLifeシリーズの一般消費者向け(DTC)キット、GenesisProシリーズのシーケンスとアレイ検査サービス、および研究のためのGeneLifeの遺伝型データと表現型データで構成されるGenesisGaiaデータベース(提供者の同意に基づく)があります。

同社の遺伝子検査サービスは、日本と東南アジアに居住する人びとに合わせてカスタマイズされています。「ヨーロッパや北米で提供されている遺伝子検査をここで利用しようとしても、その検査はアジア人集団には適さないでしょう。」とMommejat氏は説明します。アジア人集団に特有のマーカーを用いてDTCキットをカスタマイズすることに加えて、ジェネシスヘルスケアでは消費者と関わり合い、消費者に遺伝子検査の利点について教える革新的な方法を探していました。iCommunityは、ジェネシスヘルスケアのミッション、同社独自のマーケティング戦略、そしてアジアに特化した遺伝子検査の提供においてイルミナとのパートナーシップがどのように役立ったのかについてMommejat氏にお話を伺いました。

Michel Mommejat氏は、ジェネシスヘルスケアの最高マーケティング責任者兼アジア担当ゼネラルマネージャーです。

質問:ジェネシスヘルスケアのミッションを教えてください。

Michel Mommejat氏(以下MM):私たちは自分たちのミッションを「Celebration of Humanity」であると考えています。私たちは、人びとの暮らしに良い影響をもたらし、医療機関やヘルスケア機関をサポートし、アジア人集団における遺伝子研究を促進させる遺伝子検査サービスを提供することに尽力しています。当社は日本における遺伝子検査のトップ企業です。これまでに80万人以上が当社のDTC検査を購入しています。

質問:ジェネシスヘルスケアにおけるMommejat氏の役割を教えてください。

MM:私は2018年に最高マーケティング責任者として入社しました。今はアジア太平洋担当ゼネラルマネージャーも兼任しています。当社はアジア全体で成長と拡大を遂げており、今ではシンガポールと台湾にも事業所があります。

質問:ジェネシスヘルスケアが提供しているDTC検査と遺伝子検査サービスはどのような種類のものですか?

MM:当社のGeneLifeブランドでは、人びとが積極的にライフスタイルを調整できるように健康とウェルネスに関するDTCキットを幅広く提供しています。これらのキットはInfinium HumanCoreExome Arrayをもとに作られています。ダイエット、美容とスキンケア、スポーツとフィットネス、性格、そして祖先のルーツに特化したGeneLifeキットを提供しています。日本では、GeneLifeがアマゾンと楽天の販売サイトで売り上げ第1位のDTCキットとなっています。

当社のGenesisProサービスでは、病院、クリニック、研究施設に遺伝子検査サービスを提供しています。このサービスの提供では、HumanCoreExome+ Arrayを使用し、NovaSeq 6000システムでシーケンスを実施しています。

また、企業を対象とする遺伝子検査サービスも提供しており、このサービスではライフスタイルや美容関連の企業と提携しています。過去には高級スキンケアや美容製品のSK-IIと提携したこともあり、現在はネスレや化粧品、健康食品、サプリメントを取り扱うDHCと手を組んでいます。当社が遺伝子検査を実施し、パートナーがそのデータを使ってビタミン製品や美容製品を提案します。

GeneLifeのお客様の多くが、研究のためにご自分の遺伝型や表現型のデータを共有することに同意してくれています。このデータが当社のGenesisGaia遺伝子データベースを構成しており、このデータベースは製薬、医療、栄養、そして研究関連の機関における調査研究をサポートしています。GenesisGaiaは新しいサービスですが、好調です。当社が望んでいるのは、GenesisGaiaデータへのアクセスが研究を加速させ、将来的に医療やヘルスケアにおける新しいソリューションの発見に役立つようになることです。

「当社が望んでいるのは、GenesisGaiaデータへのアクセスが研究を加速させ、将来的に医療やヘルスケアにおける新しいソリューションの発見に役立つようになることです。」

質問:DTCや遺伝子検査の市場は日本と東南アジアで拡大していますか?

MM:日本はアジアの中で最も成熟した遺伝子検査市場ですが、それは開始が早かったからです。日本は高齢化社会であり、皆さんご自分の健康管理の方法に関心があります。優雅に年を取り、年を取っても健康でありたいと願っています。これが日本における遺伝子検査の主な推進要因の1つです。ヘルスケアの観点からも、日本は最大の遺伝子検査市場の1つです。

東南アジアには多様性があり、市場はまだそれほど成熟していません。この地域では、遺伝子検査から得られる利点や情報について一般の方に知ってもらうためのさらなる取り組みが必要となるでしょう。しかし私たちは、市場が発展し、検査量が急速に増えることを予想しています。2016年、東南アジアにおける遺伝子検査市場は約9億8500万ドルでした。2024年には24億ドルまで拡大することが期待されています。1

質問:日本と東南アジアにおける遺伝子検査サービスの競合情勢について教えてください。

MM:この地域全体では、新規参入した会社がいくつかあります。これらの会社には技術はありますが、研究開発の経験がありません。ジェネシスヘルスケアは、アジア人集団の遺伝子検査製品の研究開発において15年の経験があります。データベースと大きな顧客基盤を持つ当社には、データを検証するアルゴリズムがあります。このような経験は当社の信頼性を高め、新規市場への参入の際に大きな違いをもたらしてくれます。

質問:ジェネシスヘルスケアでは、競合他社との差別化をどのように行っていますか?

MM:当社は早期に市場へ参入したため、それが当社の競争上の優位性となっています。当社の検査はアジア人集団により適しているのですが、それは私たちがアジア人集団に注目してきたからです。競合他社の多くはヨーロッパや北米で開発された検査を流用していますが、アジア人集団にはあまり適していません。

競合他社とは違い、当社はプロセスを開始から終了まで管理します。当社には自社ラボがあり、科学者、医師、社内の栄養士がいます。また、当社の科学的知識に基づいてさまざまな予測モデルを開発したバイオインフォマティクスチームもあります。このチームは、お客様がDTCキットの結果にアクセスできるウェルネスアプリを開発しました。当社キットの中には、ユーザーに大量の情報を提供するものがあり、圧倒されてしまうかもしれません。例えば、Genesis 2.0では360を超える項目の健康とウェルネスに関するデータを提供します。このアプリは、当社が提供する結果に命を吹き込みます。このアプリの中では、結果を詳細に説明する論文を共有しています。

質問:日本には遺伝子検査の実施や遺伝子情報の安全な取扱いに関するガイドラインはありますか?

MM:当社は創立以来、日本における遺伝子検査のガイドライン作成のために政府と協力しています。当社は、日本の個人遺伝情報取扱協議会(CPIGI)認定プログラムのメンバーです。当社のGeneLife製品はCPIGI認定を受けているため、当社がお客様の個人情報を倫理的に保護することが保証されています。私たちは、遺伝子情報は個人に関する最もプライベートな情報であると考えており、それを保護することを重視しています。

「当社は、アジア人集団により適した遺伝子検査ソリューションの開発でイルミナと提携しました。これは私たちのパートナーシップで得られた利点の1つとなっています。」

質問:ジェネシスヘルスケアではDTC遺伝子検査サービスの販売促進をどのように行っていますか?

MM:当社ではブランドを一般消費者への直販、eコマース、小売店経由で販売しています。GeneLifeのリテールソリューションには大きなエコシステムがあり、薬局、デパート、スポーツジム、フィットネスセンターで当社のDTCキットが販売されています。当社は、初めてテレビでDTC遺伝子検査製品を宣伝した会社の1つでした。日本では野球が人気のスポーツですが、昨年の当社のスポークスパーソンの1人はニューヨークヤンキースの田中将大投手でした。また2018年には、仙台に本拠地のある野球チーム、東北楽天ゴールデンイーグルスのスポンサーでもありました。

今年は、東南アジアへの拡大の一環としてサッカーに注目しています。サッカーは東南アジア一帯で多くのファンがいます。現在、神戸のサッカーチームであるヴィッセル神戸のスポンサーをしており、新しいブランドアンバサダーは、元FCバルセロナのミッドフィールダー、アンドレス イニエスタです。

これらのプログラムは、市場における当社ブランドの認知度と知名度を高めてくれました。TVでの宣伝は当社ブランドにとってプラスであり、当社DTCキットの購入が促進されています。また、顧客の認知を高め、興味を引き付けるためにソーシャルメディアを使って色々なことをしています。

質問:ジェネシスヘルスケアの検査サービスにイルミナのプラットフォームを選んだ理由をお聞かせください。

MM:当社は遺伝子検査に非常に早い時期から参入しており、当社の歴史はイルミナと共に始まりました。当社創立者は、日本で初めてゲノムを解読された民間人で、イルミナの次世代シーケンス(NGS)システムで実施されました。遺伝子検査のソリューションとサービスの開発では、イルミナとの強固な関係を保っていました。このパートナーシップは深まり、当社では検査や取引量の増加に伴い、HumanCoreExome ArrayとNovaSeq 6000システムを購入しました。当社は、アジア人集団により適した遺伝子検査ソリューションの開発でイルミナと提携しました。これは私たちのパートナーシップで得られた利点の1つとなっています。イルミナとの提携は当社にとって非常に貴重な経験でした。

「健康とウェルネスを促進するため、お客様にご自身とご自分の遺伝的特徴に関する知識を提供することに引き続き重点的に取り組んでいきます。これは当社の主なミッションの1つです。健康は財産ですから。」

質問:今後5年間のジェネシスヘルスケアの目標を教えてください。

MM:18カ月前、当社はシンガポールと台湾に事業所を開きました。東南アジアの他の市場への拡大を目指しています。健康とウェルネスを促進するため、お客様にご自身とご自分の遺伝的特徴に関する知識を提供することに引き続き重点的に取り組んでいきます。これは当社の主なミッションの1つです。健康は財産ですから。また、病院や製薬会社の研究グループとの連携も継続しながら、未解明の疾患のための新しい治療ソリューションや診断ソリューションの開発において彼らをサポートするために遺伝子検査やデータベースへのアクセスを提供していきます。

ジェネシスヘルスケアの詳細情報や、予防的ウェルネスや個別化ウェルネスのために遺伝学を用いる同社のミッションは、こちらから:genesis-healthcare.jp

このインタビューに登場するイルミナの製品やシステムについての詳細は、以下のリンクからご覧いただけます:

NovaSeq 6000システムについては、jp.illumina.com/systems/sequencing-platforms/novaseq.html

Infinium CoreExome-24については、jp.illumina.com/products/by-type/microarray-kits/infinium-core-exome.html

参考文献

  1. Mordor Intelligence, Asia Pacific Genetic Testing Market (2018-2024). www.mordorintelligence.com/industry-reports/asia-pacific-genetic-testing-market.2019年12月11日アクセス。